国際的な動向と特許庁の取組第3部第1章特許行政年次報告書2019年版259②KIPOの2019年度の業務計画 2019年1月、KIPOは、2019年の主要政策の推進戦略と実行計画を提示した「2019年業務計画」を発表した。この2019年業務計画では、「知的財産市場を活性化させ、イノベーション成長を主導する」というビジョンのもと、(ⅰ)強い知的財産の創出に伴う産業イノベーションの主導、(ⅱ)知的財産が適正な価格で活用される市場づくり、(ⅲ)海外知的財産の先取りに伴うグローバル市場の開拓、(ⅳ)未来に備えた知的財産基盤づくりの4つの分野で12の課題を重点的に推進することが示されている。詳細は脚注1を参照。(4)制度改正の動向①法院組織法一部改正と国際裁判部の設置及び運営に関する規則の新設(2018年6月13日施行)・法院組織法の改正内容 特許法院が審判権を有する事件、知的財産権に関する訴えの第一審事件を担当する法院は、当事者の同意を得て、当事者が法廷で、(韓国語以外の)外国語により弁論することを許可することができる(第62条の2第1項新設)。 特許法院長、地方法院長は、外国語による弁論の許可があった事件(「国際事件」)を「国際裁判部」という専門部に専ら担当させることができる(第62条の2第2項新設)。・国際裁判部の設置及び運営に関する規則の概要 裁判所は、知的財産権等に関する事件のうち、(ⅰ)当事者が外国人である事件、(ⅱ)主な証拠調査が外国語で行われる必要がある事件、(ⅲ)その他これに準ずる国際関連性のある事件について、当事者の同意を得て、当事者が外国語で弁論することを許可する(第5条)。 許可されている外国語は英語だが、当事者の申請に基づいて、英語以外の外国語を許可することができる(第9条)。 国際裁判部は、特許法院とソウル中央地方裁判所に設置する(国際事件数に応じて大田、大邱、釜山、光州の各地方裁判所にも設置可能)(第3条)。②不正競争防止および営業秘密保護に関する法律の一部改正(2018年7月18日施行)・トレードドレスを保護対象として明文化(第2条第1号ロ目、ハ目) 「営業主体混同行為」(第2条第1号同号ロ目)および「希釈化防止規定」(同号ハ目)の適用対象である「標識」に、「商品販売・サービス提供方法または看板・外観・室内装飾等の営業提供場所の全体的な外観を含む」と規定して、トレードドレスが保護対象として明文化された。③商標法一部改正(2018年7月18日施行)・地理的表示団体表彰登録の出願人適格の緩和(第3条第2項) 地理的表示団体表彰登録の出願人適格が「その地理的表示を使用できる商品を生産・製造・加工する者のみで構成された法人」との文言から「生産・製造・加工する者で」との文言となり、流通・販売をする法人も出願人になり得るように出願人適格が緩和された。1 https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/ip/ipnews/2019/190129.html1
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