国際的な動向と特許庁の取組第3部第1章特許行政年次報告書2019年版263(4)TIPOの取組 TIPOは、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、半導体集積回路及び営業秘密を所管する、経済部の外局である。 2018年9月、TIPOは台湾関係業界の標準必須特許のライセンス交渉の参考となることを目的として、2018年6月にJPOが作成した「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」の中国語版を公表した。これにより、日本企業と台湾企業が標準必須特許のライセンス交渉をする際の共通の基盤が提供されることが期待されている。(5)制度改正の動向 2018年4月には、特許権の存続期間の延長登録にかかる審査基準及び特許権の存続期間の延長登録に関する認定規則の一部改正(2018年4月1日施行)が行われ、最初に取得した許可証における「有効成分」の認定基準が明確化された。また、2018年7月には、意匠の実体審査延期制度が導入された(2018年7月1日開始)。①特許権の存続期間の延長登録にかかる審査基準及び特許権の存続期間の延長登録に関する認定規則の一部改正(2018年4月1日施行) 専利法第53条には、「専利権を取得した医薬品、農薬品、又はその製造方法に係る発明の実施において、他の法律の規定により許可証の取得が必要であり、かつ、その許可証を特許出願の登録公告後に取得した場合、特許権者は、一回に限り、第一回の許可証をもって特許権の存続期間の延長出願をすることができる。ただし、当該許可証による特許権の存続期間の延長登録出願は一回に限る。」と定められている。 今回の改正では、最初に取得した許可証における「有効成分」の認定基準が、有効成分の薬理学作用を有する部分から、有効成分そのものに変更された。これにより、当該有効成分そのものとは異なる当該有効成分の塩、エステル、または水和物について取得した許可証は、それぞれ最初に取得した許可証として認められることが明確化された。②意匠の実体審査延期制度の導入(2018年7月1日開始) 出願日(優先日)から1年以内の期間で実体審査の開始日を指定することが可能となる制度であり、当該制度を利用することにより、また、最大6ヶ月の登録公告延期制度を併用することにより、登録公告の公開時期を調整することが可能となる。当該制度を利用するためには、申請に係る意匠出願が、拒絶理由通知や査定が発行されていないこと、及び、実体審査延期制度を適用しようとする出願から分割出願がされていないことの2要件を満たす必要がある。③専利法一部条文改正(2019年4月16日立法院可決)・登録査定後の分割の適用範囲及び期限の緩和 分割出願の期限が現行の特許登録査定後30日以内から、特許出願の初審における登録査定書又は再審査における登録査定書の送達後3ヶ月以内に緩和された。当該分割出願期限の緩和は実用新案についても適用される。・実用新案の訂正請求できる時点の制限、並びに実体審査制度の導入 実体審査を経ていない実用新案権の範囲が事後的に訂正され、第三者の権益に影響を与えることのないよう、実用新案における訂正請求できる期限を訂正し、且つ現在採っている形式審査から実体審査に改める。・意匠権存続期間の延長 意匠権の保護の強化のため、意匠権存続期間を12年から15年に延長する。
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