特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版266第1章国際的な知的財産制度の動向h. シンガポール 2018年5月、シンガポール知的財産庁(IPOS)のング コクワン長官補がJPOを訪問し、両庁間の協力関係等について意見交換を行った。 また、2018年9月、JPOはIPOS主催の知的財産セミナー(IP WEEK @SG)に参加するとともに、その関連イベントとして先端技術分野の知財保護をテーマとした特別セッションを開催した。また、その際に両庁の長官同士で会談を行い、両国の知財制度の最新状況について意見交換した。i .タイ タイ知的財産局(DIP)が採用した新人特許審査官の人材育成支援のため、JPOから専門家を派遣して研修を実施するとともに、そのフォローアップとして「タイ特許審査実務コース」研修に新人審査官等10名を招へいした。j. ベトナム 2019年2月、東京及び大阪において、JETROがベトナム知的財産セミナーを開催し、ベトナム国家知的財産庁(IP Viet Nam)職員から同国の知財制度に関する講演を行った。 また、JPOとIP Viet Namは、2019年4月1日から、IP Viet Namが受け付ける申請の上限を年間100件から200件に倍増させて、特許審査ハイウェイ(PPH)の試行をさらに3年間実施することに合意した。(2)近年の知的財産政策の動向①ASEAN全体の動向及び取組 ASEANは、2015年11月の第27回ASEANサミットにおいて、知的財産庁の強化と知的財産インフラの整備、地域的知的財産プラットフォームとインフラの整備、ASEAN知的財産エコシステムの拡大、資産創出と商業化を促進するための地域的メカニズムの強化を目標とした「ASEAN知的財産権アクションプラン(2016-2025)」を採択した[3-1-9図]。 また、ASEAN諸国では、各国での特許審査の迅速化のため、ASEAN特許審査協力(ASPEC:ASEAN Patent Examination Cooperation)プログラムを2009年6月より開始している。これは、出願人が、ASEAN諸国内の複数の特許庁に対し同一の特許出願を行った場合、早期に審査を終了した特定の特許庁の審査結果を他の特許庁に審査の参考資料として提出することを可能とするものである。これにより審査の質の向上や審査期間の短縮といった効果が期待されている1。1 他の特許庁による審査への拘束力を持つものではない。2018年9月時点で405件の申請があったと公表されている (https://www.aseanip.org/Services/ASEAN-Patent-Examination-Co-operation-ASPEC/What-is-ASPEC)。14つの観点で戦略目標を分類知財庁の強化とASEAN地域におけるIPインフラの整備による、より堅牢なASEAN知財制度の整備具体的な取組み例)✓ ワークロードと重複的な活動の軽減のためのワークシェアリングの拡大✓ 特許及び意匠審査マニュアルの更新・作成複数の地域的知財プラットフォームとインフラの整備具体的な取組み例)✓ 技術移転オフィスや電子特許図書館を含む、総合知財サービスの新しいネットワークの開発✓ ASEAN知財ポータルの運用体制の一元化と改善ASEAN知財エコシステムの拡大具体的な取組み例)✓ ASEAN知財ネットワーク(知財、司法、税関及びその他の執行機関)の設立資産創出と商業化を促進するための地域的メカニズムの強化具体的な取組み例)✓ 中小企業及びクリエイティブ産業への支援整備を含め、知財の保護と活用を促進するための知財に対する意識と敬意の向上3-1-9図 ASEAN知的財産権アクションプラン2016-2025の概要(資料)特許庁作成

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