特許行政年次報告書 2019年版
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国際的な動向と特許庁の取組第3部第1章特許行政年次報告書2019年版275(2)その他の中南米諸国 中南米諸国の知的財産庁は、互いに近隣知的財産庁との連携を深めている。具体的な先行技術文献サーチ・審査協力のための枠組みとして、中米諸国には「中米諸国並びにドミニカ共和国向け特許出願検索管理サポートシステム(CADOPAT)3」、南米諸国には産業財産における地域協力システム(PROSUR)によるウェブプラットホーム「e-PEC」が設けられている。 メキシコは、2013年2月にマドリッド協定議定書に加盟した。我が国との関係では、2011年7月からPPHの試行を開始し、2012年11月に本格実施に移行している。また、JPOとINPIとは2012年2月に、知的財産制度・運用に関する情報交換、人材育成、情報技術の利用等に関する協力覚書に署名を行った。2018年6月、この協力覚書を改定し、PPHを含む実体審査における協力、両庁間の産業財産権情報データの交換、各庁の国内産業財産権制度に関する情報を英語で公衆へ発信するための協力を拡充した。更に、2018年9月、JPO幹部がINPIを訪問し、両庁間の協力拡大を目的として意見交換を実施した。また、国際審査官協議を2012年から開始しており、これまでにJPOの特許審査官のべ4名をINPIへ派遣し、INPIからのべ4名の特許審査官を受け入れた。 コロンビアは、2012年5月にマドリッド協定議定書に加盟した。また、我が国との間で2012年12月からEPA交渉を行っており、EPAが発効すれば、両国間の経済関係の一層の発展が期待される。JPOとの関係においては、2014年8月に協力覚書に署名しており、同年9月にPPHの試行を開始し、国際審査官協議を2016年から開始している。また、知的財産制度・運用に関する情報交換や専門家派遣等の協力も進めてきており、2014年12月に我が国からコロンビアへ、2015年12月にコロンビアから我が国への専門家派遣が行われた。 アルゼンチンは、JPOとの関係においては、2015年から招へい研修を開始するなど、協力関係を深めてきた。2015年10月には、アルゼンチン知財庁とJPOとの間で、知財制度の理解促進、審査効率や処理能力の向上に関する経験の共有、及びセミナーの開催によるユーザーへの情報発信等によるユーザーとの交流促進を主とした協力覚書に署名がされた。また両庁は、2016年4月に国際審査官協議、2017年4月にPPHの試行をそれぞれ開始している。また、2016年より、我が国とアルゼンチンの間の官民による情報交換及びビジネス環境の改善、両国の貿易・投資の促進を目的とした日亜貿易投資合同委員会が年1回の頻度で開催されており、知的財産分野においても協議が行われている。 チリは、JPOとの関係においては、これまでも審査官向け招へい研修への受け入れ等の協力を行ってきたが、JPOとチリ産業財産権庁は2016年10月、両国の知的財産制度の理解促進、人材育成分野における協力、産業財産権の重要性の普及啓発の促進等、その関係をより強化することを目的として、協力覚書に署名した。また両庁は、2017年8月に、PPHの試行を開始している。

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