国際的な動向と特許庁の取組第3部特許行政年次報告書2019年版279第2章(1)五庁(IP5)会合①概要 2017年の世界の特許出願件数約317万件のうち、日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、欧州特許庁(EPO)、中国国家知識産権局(CNIPA)、韓国特許庁(KIPO)の五庁への出願は約268万件と8割以上を占めている。五庁は知的財産における世界的な取組をリードするため、2007年5月に米国・ハワイにて五庁長官会合を初めて開催し、特許分野における制度運用調和・審査結果の相互利用・審査の質の向上・特許情報サービスの改善等の課題について3つの作業部会(WG1:分類調和、WG2:情報技術関連、WG3:審査関連)等で検討を継続的に行っている。 2018年6月に開催された第11回五庁長官会合では、これまでの五庁協力の進捗と成果を評価し、今後リソースを集中するプロジェクトの明確化を行った。また、グローバル・ドシエ(下記②bを参照)に関連する優先的な取組みについて、今後2-3年間の作業方針に合意し、具体的な作業計画を策定した。さらに、PCT協働調査について、2018年7月1日からの試行開始に合意した。1.多国間、二国間会合における取組②主要プロジェクト概要a. 作業部会1:分類調和 五庁協力のもと、各庁の詳細な内部分類を用いて、国際特許分類(IPC)を細分化させる取組を実施している。現在、(i)整合している内部分類をIPC 化する活動(Activity i:内部分類改正の結果、整合する場合を含む)、及び、(ii)新規技術に対応した分類を協働して創りIPC化する活動(Activity ii)からなる、GCI(Global Classification Initiative)の枠組みで進められており、IPCの細分化の取組は着実に実施されている。2018年度は、新たに29の分類改正プロジェクトが世界知的所有権機関(WIPO)のIPCリビジョン作業部会での検討段階に進んだ。 特に、2017年から活発に議論されている、いくつかの第四次産業革命関連の分類改正プロジェクトについて、2019年3月、JPOが取りまとめているIoTに関する分類改正プロジェクトを含む3つのプロジェクトが五庁で合意され、IPCリビジョン作業部会での検討段階に進んだ。b. 作業部会2:情報技術関連(ⅰ)グローバル・ドシエ1 グローバル・ドシエとは、各国特許庁のシステム 企業がグローバルに事業展開を行うためには、自国外においても安定した知的財産の保護を受けられることが必要不可欠である。IT技術の進展、経済連携協定の締結等を通じて、日本企業の海外進出が進むことが予想される中、知的財産権をあらゆる国で円滑かつ予見性高く取得し、活用できる環境がますます強く求められている。日本国特許庁では、日米欧中韓の五庁会合や日中韓特許庁会合等において実体的側面での調和に向けた議論や共同プロジェクトを推進するだけでなく、新興国・途上国に対して、知財専門家の派遣や招へい研修などを通じて、知的財産制度の整備を支援するなど、国際的な枠組みの中においてグローバルな知的財産環境の構築を目指している。グローバルな知的財産環境の整備に向けて第2章1 第2部第5章2.(2)グローバル・ドシエ参照
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