特許行政年次報告書 2019年版
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国際的な動向と特許庁の取組第3部特許行政年次報告書2019年版281第2章ンダストリー・コンサルティング・グループ(ICG)会合を開催し、実務者レベルでグローバル・ドシエに関する様々なトピック及び五庁でのワークシェア、制度調和等について意見交換を行った。(2)意匠五庁(ID5)会合①概要 意匠五庁(ID5)会合は、JPO、USPTO、欧州連合知的財産庁(EUIPO)、CNIPA、KIPOが、意匠分野における主要五庁間の国際協力を推進することを目的として、2015年12月に創設(於、米国・アレキサンドリア)した枠組みである。 2018年11月のID5第4回年次会合(於、韓国・ソウル)では、GUIに代表されるデジタル技術由来の新しいデザイン(新技術意匠)の保護に関する実務、意匠の保護要件、部分意匠、グレースピリオドに関する五庁の制度比較調査結果等を取りまとめるとともに、「ID5ユーザーセッション」を開催し、これらの調査結果について、五庁の意匠制度ユーザーへ情報共有を行った。 特に、新技術意匠の保護については、第四次産業革命の進展を背景にその利用が拡大する中、ID5が、共に新技術意匠の保護強化をめざすことの重要性についてまとめた「ID5共同声明」を採択した。2019年のID5第5回年次会合(於、日本)では、これまでの五庁協力の成果を踏まえつつ、意匠実務の国際協調や意匠保護の質的向上に向けた更なる協力の方向性について検討を行う予定である。②プロジェクトの概要(括弧内は各プロジェクトのリード庁)a. 継続検討中のプロジェクト「ID5庁による優先権の実務に関する研究」(CNIPA) 五庁における優先権制度に関する法令及び実務の情報を収集・整理し、比較研究を行うプロジェクト。プロジェクトの成果物として、各庁の外国優先権制度に関する法令の規定や審査基準等に基づく実務運用の比較をまとめた調査報告書を、ID5公式ウェブサイトにおいて公表している。さらに、各庁の分割出願制度に関する法令の規定や実務運用の比較を調査報告書に追加する予定である。「ID5による優先権書類の交換に関する研究」(CNIPA・USPTO) 五庁における優先権書類の電子的交換システムの導入可能性について検討するプロジェクト。WIPOのDAS(デジタル・アクセス・サービス)等を通じた優先権書類の電子的交換の実現に向けた五庁協力を継続していくことが予定されている。「製品表示に関する実務の比較研究」(EUIPO) 五庁における製品表示(意匠に係る物品)の取扱いに関する法令及び実務の情報を収集・整理し、比較研究を行うプロジェクト。プロジェクトの成果物として、各庁の制度に関する法令の規定や審査基準等に基づく実務運用の比較、並びに、製品表示が意匠の保護範囲に与える影響についての相互理解を深めた上で、ID5共通の製品表示リストを開発する可能性について検討する予定となっている。「潜在的な経済要因及び各知財庁の施策がグローバルな意匠出願に与える影響の分析」(EUIPO) 各庁における将来の予算や人員配分、最適な事業計画のために、潜在的経済要因や知財庁の施策効果等を考慮した、より正確な出願件数予測ツールの開発について検討するプロジェクト。各庁における予測手法についての相互理解を深めた上で、出願予測ツール開発の実現可能性について検討する予定となっている。b. 新規採択プロジェクト(2018年採択)「品質管理に関する研究」(CNIPA・EUIPO) 意匠実務の品質管理に関する五庁間の相互理解と信頼の醸成、ユーザーに対する高品質サービスの提供を目的に比較調査研究を行うプロジェク

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