特許行政年次報告書 2019年版
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国際的な動向と特許庁の取組第3部特許行政年次報告書2019年版283第2章「意匠出願へのグレースピリオドの適用に関する比較研究」(JPO・USPTO) 五庁が意匠出願に対して適用するグレースピリオドに関する法令及び実務の情報を収集・整理し、比較研究を行うプロジェクト。プロジェクトの成果物として、各庁が適用する法令の規定や審査基準等に基づく実務運用の比較研究の結果をとりまとめ、その報告書をID5公式ウェブサイトにおいて公表している。「意匠イノベーションのための効果的な保護手段としての部分意匠の比較研究」(JPO・USPTO) 五庁における部分意匠の保護に関する法令及び実務の情報を収集・整理し、比較研究を行うプロジェクト。プロジェクトの成果物として、各庁が適用する法令の規定や審査基準等に基づく実務運用の比較をまとめた調査報告書をID5公式ウェブサイトにおいて公表している。「意匠の保護要件に関するカタログ」(KIPO) 五庁における意匠の保護要件に関する法令及び実務の情報を収集・整理し、比較研究を行うプロジェクト。プロジェクトの成果物として、各庁における意匠の保護対象、登録要件・特許性要件に関する法令の規定や審査基準等に基づく実務運用の比較、並びに、関連する審判決情報をまとめた調査報告書を、ID5公式ウェブサイトにおいて公表している。「ID5ウェブサイトの開発及び維持」(KIPO) ID5が、参加各庁間及びユーザーとの間で、協力プロジェクトに関する情報及び意匠保護に関する各庁の制度や施策等を共有するためのウェブサイトを開発し、運営するプロジェクト。ID5公式ウェブサイトにおいて、ユーザーへのID5関連情報提供を行っている。(3)商標五庁(TM5)会合①概要 「TM5」は、JPO、USPTO、EUIPO、CNIPA1、KIPOの商標五庁間の協力により、各国企業の商標が世界各国で適切に保護、活用される環境整備を図ることを目的として2011年12月に創設された枠組みである。 2018年11月に韓国・ソウルで開催された第7回TM5年次会合では、JPOがリードする「悪意の商標プロジェクト」、「イメージサーチプロジェクト」等を含む計14の協力プロジェクトについて各リード庁から進捗の報告及び今後の進め方に関する提案が行われ、新たに1つの協力プロジェクトが採択された。また、会合2日目には、各国の業界団体・代理人団体等のユーザー団体を招いたユーザーセッションを開催し、「品質管理」「AIを活用したイメージサーチ」「第四次産業革命」等のテーマについて意見交換を行った。②日本リードのプロジェクトの概要a. 悪意の商標プロジェクト 本プロジェクトは、近年、世界的な問題となっている「悪意の商標」について、TM5各庁の制度・運用に関する情報交換を行うとともに、ユーザーに対して情報提供を行うことを目的としている。 これまで、3回のセミナーを開催したほか、「悪意の商標」に対応するためのTM5各庁の制度・運用のとりまとめ及び報告書の公表を行った。また、2017年5月、TM5各庁における悪意の商標出願に関する事例を掲載した「悪意の商標出願事例集」を作成し、ユーザーに広く周知するため、国際商標協会(INTA)2と共催でジョイント・ワークショップを開催した。「悪意の商標出願事例集」は、TM5ウェブサイト3において公開している。今後は、TM5以外の国の事例を追加した拡充版の事例集を作成する予定である。1 従前、専利は国家知識産権局(CNIPA)、商標は国家工商行政管理総局(SAIC)が所管していたところ、2018年3月の第13期全国人民代表大会において、中国政府(国務院)機構改革方案が可決されたことを受け、専利、商標ともにCNIPAが所管することとなった。2 国際商標協会(INTA):191カ国の政府機関、教育機関、企業など7200以上の会員からなる団体。3 http://tmfive.org/3

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