国際的な動向と特許庁の取組第3部特許行政年次報告書2019年版285第2章②日中韓特許庁シンポジウム JPO、CNIPA、KIPOは、三庁間協力の成果を紹介するとともに、日中韓における知財政策の在り方について産官学各界を交えて議論する場として、2013年より日中韓特許庁シンポジウムを毎年開催している。 2018年12月には、中国・武漢にて第6回シンポジウムを開催し、「新たな時代、より強力な知的財産保護」をテーマに各国有識者による講演とディスカッションが行われた。③各プロジェクトの概要 第18回日中韓特許庁長官会合において議論が行われた各プロジェクトの内容は以下のとおりである。a. 日中韓デザインフォーラム 2009年12月の日中韓特許庁長官会合での合意に基づき、日中韓の意匠制度に関する情報交換と相互理解の促進を目的として、日中韓デザインフォーラムを、2010年以降毎年開催している。 2018年5月には、「デザイン経営と意匠制度の未来」をテーマとして第9回「日中韓デザインフォーラム」を東京で開催した。フォーラムでは、宗像特許庁長官による開会挨拶の後、デザインを経営資源の一つとして活用する日中韓のグローバル企業の経営幹部や各国政府の意匠担当幹部による講演等を通して、企業における「デザイン経営」の実践や意匠制度の活用について、活発な議論が行われた。b. 日中韓審判専門家会合(JEGTA1) 2012年11月の第12回日中韓特許庁長官会合において、日中韓の審判部門における実務者レベルの議論を行うことに合意したことを受け、2013年8月に第1回会合を東京で開催した。2018年9月には、第6回会合を中国・北京で開催し、各庁の最新状況に関する情報交換のほか、無効審判の審決の書き方や、今後の協力について意見交換を行った。c. 日中韓人材協力会合 2009年12月の第9回日中韓特許庁長官会合において、日中韓各々の知的財産人材育成機関における研修等の相互協力について議論を行う機関長会合の開催が合意されたことを受け、2010年より毎年開催している。 2018年12月には、第9回会合が中国・武漢で開催され、各機関が提供する企業向け研修について対象者や概要等を整理することや、eラーニングに関する相互協力を進めること等に合意した。④日中韓商標専門家会合・シンポジウム 第18回日中韓特許庁長官会合における、商標分野での協力の合意を受け(上記①参照)、2019年3月、中国・北京において第1回日中韓商標専門家会合及び第1回日中韓商標シンポジウムを開催した。日中韓商標専門家会合では、各庁の商標分野の最新動向や商品・役務の類否判断に用いるコードについて情報交換を行った。また、日中韓商標シンポジウムにおいては、各庁より最新施策について、ユーザーより商標実務に係る経験について、それぞれ発表された。(6)日米協力 2018年6月、JPOとUSPTOは協力覚書を締結し、意匠審査実務についての相互理解の深化を図るための意匠審査会合の定期開催や、より効果的かつ整合的な意匠審査実務を促進するための共通ツールを探求すること等に合意した。これを踏まえ、2019年5月、米国において第一回日米意匠審査会合を開催し、両庁の意匠審査官間で両国の意匠制度や審査実務等についての情報交換を行った。1 JEGTA:Joint Experts Group for Trial and Appeal
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