特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版298第2章グローバルな知的財産環境の整備に向けて(3)新興国の情報化等への協力①ITインフラ整備に関する協力 ASEAN諸国を始めとする新興国は、商品製造拠点や成長市場として重要性が一層高まっており、これらの新興国において、我が国企業等のビジネス展開を円滑なものとすべく、ITインフラの整備による知的財産行政の効率化が期待されている。 この状況を踏まえて、日本国特許庁は、ASEAN諸国における審査の効率化と質の向上を目指し、我が国からWIPOへの任意拠出金を財源とした信託基金(WIPOジャパンファンド)を通じて、ASEAN諸国のITインフラ整備を支援している。具体的には、ASEAN各庁における出願書類等の紙書類の電子化支援1、ワークフロー最適化支援、新興国向けITシステムの開発支援、WIPO-CASE2機能向上、ASEAN各庁の公報データを一括参照可能とするASEAN知財情報のポータルであるASEAN PATENTSCOPEの構築支援、IT人材育成のためのワークショップ等3の開催、WIPO-CASEを活用したASEAN審査協力プログラムの促進などを行っている。②日本国特許庁の審査関連情報の提供 我が国の審査結果の有効活用により、海外の知的財産庁の審査負担を軽減し、海外における我が国の出願人の権利取得を迅速化することを目的として、日本国特許庁の審査関連情報を提供する「高度産業財産ネットワーク(AIPN:Advanced Industrial Property Network)」を海外の知的財産庁に提供している。 AIPNにより、海外の知的財産庁の審査官は、インターネットを通じて日本国特許庁の出願の審査手続書類、経過情報、引用文献情報、特許付与後クレームの審査関連情報やパテントファミリー情報等を英語で入手することができる。2019年4月現在、69か国・機関においてAIPNの利用が可能である[3-2-2図]。1 第2部第7章2.(4)①出願書類等紙書類の電子化支援 参照2 第2部第7章2.(4)④WIPO-CASE関連 参照3 第3部第2章3.(2)⑤d. WIPO-CASEナショナルワークショップ 参照※2019年4月時点日本国特許庁の審査関連情報を外国特許庁に英語で発信①海外特許庁で迅速・的確な審査に貢献。海外特許庁の審査の効率性が向上。②我が国出願人の海外における円滑な権利取得を促進。3-2-2図 AIPNの利用可能国・地域

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