特許行政年次報告書 2019年版
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知的財産をめぐる動向第1部第2章特許行政年次報告書2019年版47(1)産業財産権等使用料の国際収支 我が国企業のグローバル化が進展する中で、知的財産の国際取引も活発化している。財務省が公表している国際収支統計によると、我が国の産業財産権等使用料1の国際収支は、2018年には過去最大の3.5兆円の黒字となった[1-2-14図]。2.知的財産権の利活用の状況(2)特許権の利用状況 知的財産活動調査では、知的財産権の利用状況についても明らかにしている。なお、全体推計値については、調査票の回答結果を基に我が国全体について推計を行った数値2であることに留意する必要がある。 国内での利用状況としては、2016年度から2017年度にかけて特許権所有件数3は約19,000件増加している[1-2-15図]。 2017年度における利用率(利用件数4/所有件数)は48.4%となり、2014年度以降50%を下回っている。また、防衛目的5件数の割合は37.0%となっている[1-2-15図]。 特許権の利用率は業種によって異なっている。「その他の製造業」において利用割合が高く、「金属製品製造業」が続いた[1-2-16図]。 外国での利用状況としては、2017年度は47.0%となっている[1-2-17図]。1 産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)の使用料のほか、ノウハウ(技術情報)の使用料やフランチャイズ加盟に伴う各種費用、販売権の許諾・設定に伴う受払等を計上している。また、これらの権利に関する技術、経営指導料も含む。2 全体推計値は、母集団を業種別・出願件数階級に層化し、各層の推計元標本についての集計結果を標本数で除し、母集団数を乗じることによって算出した。3 特許権所有件数は、内国人現存権利数の確定値である。「うち利用件数」及び「うち未利用件数」は、知的財産活動調査における全体推計結果より権利利用率を算出し、確定値に乗じることで得ている。4 利用件数とは、権利所有件数のうち「自社実施件数」及び、「他社への実施許諾件数」のいわゆる積極的な利用件数の合計である。なお、未利用件数とは自社実施も他社への実施許諾も行っていない権利であり、防衛目的権利及び開放可能な権利(相手先企業を問わず、ライセンス契約により他社へ実施許諾が可能な権利)を含む。5 自社実施も他社への実施許諾も行っていない権利であって、自社事業を防衛するために他社に実施させないことを目的として所有している権利。(年)(兆円)-2.0-1.00.01.02.03.04.05.0受取(兆円)収支(兆円)20182017201620152014201320122011201020092008200720062005200420032002200120001999199819971996支払(兆円)1-2-14図 産業財産権等使用料(受取・支払)の推移(資料)財務省「国際収支統計」を基に特許庁作成1-2-17図 外国における特許権利用率の推移(全体推計値)010203040506070809010020172016201520142013利用率(%)(年度)未利用件数利用件数防衛目的件数53.431.315.246.039.714.247.233.419.448.538.413.147.039.313.7(資料)特許庁「平成30年知的財産活動調査報告書」

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