特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版62第5章分野別に見た国内外の出願動向 特許庁では、日本、米国、欧州、中国、韓国等の主要各国への特許の出願動向を調査している。まず、主要各国における特許の公開情報を基に、主要国への特許出願の動向を紹介する。そして、今後の進展が予想される重要な技術テーマを選定し、特許出願の動向を調査した結果を紹介する。(1)主要国への出願動向調査 IPC(国際特許分類)を基準にWIPO(世界知的所有権機関)が設定した技術分野(IPC AND TECHNOLOGY CONCORDANCE TABLE1)に基づいて、技術分野別の出願件数推移について、日本、米国、欧州各国2、韓国及び中国への出願を出願先国別に解析した結果を紹介する。 35の技術分野のうち、「電気機械、電気装置、電気エネルギー」、「電気通信」、「コンピューターテクノロジー」、「ビジネス方法」、「制御」、「バイオテクノロジー」、「高分子化学、ポリマー」、「エンジン、ポンプ、タービン」、「機械部品」及び「運輸」の10の分野について、1-5-1図ないし1-5-1.特許10図に示す。 日本への出願件数を見ると、2007年以降全ての分野において減少傾向が続いているが、「ビジネス方法」「制御」「バイオテクノロジー」及び「機械部品」の分野においては、2013年から2014年にかけて出願件数が上昇している。 中国及び韓国への出願件数は、分野に依らず全体として増加傾向にあり、特に中国への出願件数が急増している。「電気機械、電気装置、電気エネルギー」など、他国・地域が減少傾向であっても増加傾向を示している技術分野が多い。 米国への出願件数は、「コンピューターテクノロジー」及び「ビジネス方法」の分野において、2014年まで他国・地域の出願件数より数倍程度大きい年が続いているが、2015年以降に中国への出願件数が米国への出願件数より大きくなることが予測される。 欧州各国への出願件数は「エンジン、ポンプ、タービン」「機械部品」及び「運輸」の技術分野において、中国に次いで2番目に大きい件数を示している。 特許出願・意匠登録・商標登録出願の内容は、公報として広く一般に公開される。特許の公開情報は、企業や大学等における研究開発テーマや技術開発の方向性を決定する上で極めて有効なものである。また、意匠・商標の公開情報は、意匠・商標出願戦略、デザイン開発戦略、ブランド戦略等の策定を支援するための有益な情報になる。そのため、特許庁では、特許・意匠・商標の出願動向を調査し、それらの調査結果を情報発信している。本章では、2018 年度に実施した特許・意匠・商標の出願動向の調査結果を示す。分野別に見た国内外の出願動向第5章1 http://www.wipo.int/meetings/en/doc_details.jsp?doc_id=1176722 欧州への出願とは、オーストリア、ベルギー、スイス、チェコ、ドイツ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、イギリス、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、スロバキアへの出願及びEPC出願としている。

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