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小野長官就任御挨拶文

この度、本年7月1日付けで特許庁長官を拝命いたしました小野洋太です。就任に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

国内投資の拡大、賃上げという30年ぶりの「潮目の変化」が生じている日本経済において、この変化を推進するために、イノベーションの重要性がますます高まっています。特許庁は、イノベーションの原動力となる知的財産の保護・活用促進を担当する省庁であり、その責任の重大さに身の引き締まる思いがいたしますが、皆様のご協力を得て、各種施策を実施してまいります。

まず、知財の戦略的投資や活用を促す「知財経営」の浸透・定着についてです。本年6月に公布された産業競争力強化改正法において、中小企業やスタートアップ等の知財活用支援、オープン&クローズ戦略を実践する企業や大学等への支援を独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)の業務に追加しました。着実な施行に向けて、弁理士等の知財専門家の皆様と一層連携し、取り組んでまいります。

加えて、昨年3月に日本弁理士会、日本商工会議所、INPITとともに4者でスタートした「知財経営支援ネットワーク」の更なる連携強化を図っております。今年度からは、新たに「知財経営支援モデル地域創出事業」をスタートしており、引き続き、地域企業の知財活用の促進等を後押ししてまいります。

次に、生成AIの利活用や国境を跨いだIT関連の発明などへの対応です。デジタル技術の進展など経済社会の変化が速い中、知財制度もこれらに対応していかねばなりません。特許庁ではこれらの論点を引き続き整理・検討してまいります。

また、経済安全保障法に基づく特許出願非公開制度が本年5月より始まりました。我が国の経済活動やイノベーション推進と安全保障の両立という観点に留意しながら関係省庁と連携してしっかりと取り組んでまいります。

さらに、来年開催される大阪・関西万博においては、特許庁も出展し、社会課題解決における知財制度の役割の重要性や、活用推進に向けたアイディア等を強力に発信していきます。

併せて、知財の適切な保護と活用に向けた国際的な環境整備に貢献すべく、世界知的所有権機関や海外知財庁との連携、新興国・途上国知財庁への支援を精力的に進めてまいります。

こうした施策を着実に進めると同時に、特許等の審査について「世界最速・最高品質」を引き続き堅持すべく、業務のDX化等にも推進していく所存です。

末筆になりますが、知財行政に一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の益々の御多幸を心よりお祈り申し上げます。

特許庁長官
小野 洋太

[更新日 2024年7月24日]