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なるほど!知財セレクション
社会で日々生まれる問題やニーズの解決には、実は多くの知財が貢献しています。このページでは、そうした知財と、知財に支えられた製品・サービスをご紹介。私たちの未来を切り開くグッドアイデアをセレクトしました。
COMPANY株式会社アスカネット
PRODUCT非接触システムを実現 空中ディスプレイ「ASKA3Dプレート」
ガラス板のような形状の特殊な「3Dプレート」。光線が通過することで、何もない空中に鮮やかな映像や物体を浮かび上がらせる。センサーや触覚を加えれば、非接触型の空中ディスプレイとしても利用が可能。
https://aska3d.com/ja(外部サイトへリンク)
特許について >> 製造が容易でより鮮明な立体像を映し出すことが可能な立体像結像装置を製造する方法 ほか
新型コロナウイルス感染症拡大により非接触へのニーズが高まる中、広島の会社が特許を有する特殊プレートに熱視線が注がれています。大坪誠氏が研究開発した「ASKA3Dプレート」は、液晶画面の光を透過させることで、何もない空間にその画面の映像を結像できる不思議な透明プレート。赤外線センサーを組み合わせれば、まるでSF映画のように、空中で指を動かすだけで操作できる空中タッチパネルとして活用できます。銀行のATMをはじめ日常生活の中での実用化がスタートしており、10月に完成した福岡「天神ビジネスセンター」では来訪者受付システムとして導入されています。
「ASKA3Dプレート」の起源は、今から30年前。北九州にある鉄鋼関係のエンジニアリング会社で製鉄所の生産技術における研究開発に従事していた大坪氏が、3次元という技術に興味を持ったところから構想が始まりました。東京出張の際に乗った新幹線の窓ガラスから着想を得て、立体像結像装置を発明し、最初に特許を出願したのは1997年のことです。その後研究を進めるも、当時の社長から「鉄鋼関係でのビジネス化は難しい。自分でベンチャー会社を立ち上げて頑張れ」と激励され、独立。国立大学と産学連携での研究を進めたものの、数年で資金難に陥りました。
研究存続の危機に直面しても諦めなかった大坪氏は、研究の場を模索し続けます。そのとき出会ったのが、広島が本拠地のアスカネットでした。2011年に開発者として入社し、「ASKA3Dプレート」の核となる特許を登録。その後、ゼロからの商品化に取り組みます。スタッフと共に仮想スタジオで光学シミュレーションをし、委託加工会社とディスカッションをして原理共有しながら、量産化できる形にするためのトライアンドエラーを重ねる日々。積年の思いが実を結び量産化が実現したのは、2017年のことでした。
「思いをかたちに」という経営理念と「未来に感動を」という企業メッセージを掲げるアスカネットは、人々の喜びや驚き、便利さを追求し続けてきた会社。「ASKA3Dプレート」は、入射角を広げさらに実用的に改良する研究が進められています。現在、空中ディスプレイ導入の実証実験も進行中。今後は認知度も上がっていきそうです。
PROFILE
株式会社アスカネット
[所在地] 広島県広島市安佐南区祇園3-28-14
[TEL] 082-850-1200(代)
[URL] https://www.asukanet.co.jp(外部サイトへリンク)
[設立年] 1995年
[業種] サービス業(フォトブック事業、フューネラル事業、空中ディスプレイ事業)
[従業員数] 375名