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なるほど!知財セレクション
社会で日々生まれる問題やニーズの解決には、実は多くの知財が貢献しています。このページでは、そうした知財と、知財に支えられた製品・サービスをご紹介。私たちの未来を切り開くグッドアイデアをセレクトしました。
COMPANY犬の靴屋さんDogSoxx®
PRODUCT履かせやすくて、脱げにくい犬用シューズ「DogSoxx®」
履きやすさを損なうことなく、脱げづらさを向上させた画期的な構造の犬用シューズ。本体の内面に凸状の弾性部材を設けることにより、フィット性が向上するとともに、犬の足が抜ける方向に動こうとした場合にも、当該弾性部材が引っ掛かって脱げづらくなる。また、凸状部材が弾性を有するため、犬の履き心地を損なうこともない。
特許について >> 動物用の履物、特に、犬などのペットに適した履物の改良に関する発明
ドッグソックス開発のきっかけは、愛犬ララちゃんの〝老い〟だったと開発者の千葉氏は語ります。亡くなる一年前ごろから足の裏や肉球が硬くなり、満足に歩けなくなってしまったララちゃん。外に出歩けなくなると一気に老け込むのは人も犬も同じようで、一日のほとんどを寝たきりで過ごすように。そんなときネットで見つけたのがペット用のシューズでした。履かせてみると見事歩けるようになったものの、シューズが脱げやすい、そもそも履かせるのが難しいといった課題も見えてきました。
新しくお迎えしたワンちゃんには、若いうちからシューズで肉球を保護してあげたい——。そんな想いから、ゼロからCADと3Dプリンターの技術を学び、ペット用シューズの開発に取り組みます。何度も試作するうちに、ラバーブーツにチューブ状のストッパーを付けることで脱げにくくなることを発見。また、シューズの後ろ側に切れ目を入れ面ファスナーで付け外しできるようにすることで、着脱も簡単に。知的財産管理技能士の資格を持つ千葉氏は、このアイデアを保護すべく、自身で申請して意匠・商標を取得します。そして弁理士と協力して特許取得へ向け動き出すと同時に、ドッグソックスの事業化に向けた準備を開始しました。
しかし、大変なのはここからでした。当初予定していた金型でのシューズ量産は投資金額に折り合いがつかず断念。代案として考えたのが、試作品製作に使っていた3Dプリンターでの量産でした。これは決して簡単な決断ではなく、シューズに適した素材探しと生産工程の再検討に一番の苦労がありました。一方で3Dプリンターの採用により、サイズの変更や細部の微調整に柔軟に対応できるメリットも。オーダーメイド感覚でシューズを提供できることもあり、ユーザーの満足度は非常に高いようです。
課題は生産個数の少なさ。現状は一人で製作しているため、販売開始後数時間での完売が常態化しています。今後は法人化、社員の雇用などを通して、量産体制を拡充し、より多くのワンちゃんにシューズを提供したいと千葉氏は語ります。
ペットもシューズを履くのが当たり前の世界をつくる——。そんな千葉氏の夢をドッグソックスが実現する日はそう遠くないかもしれません。
PROFILE
犬の靴屋さんDogSoxx®
[URL] https://dogsoxx.jp/(外部サイトへリンク)
[設立年] 2019年
[業種] 小売業(犬用シューズの製造・販売)
[従業員数] 1名