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Vol.52
広報誌「とっきょ」2022年3月10日発行

注目のあの話題を徹底解説!

知財TOPICS

特許や意匠、商標など知財にまつわる注目の最新ニュースについて、弁理士の茅原裕二先生がわかりやすく解説!
今回は、ヤマト新クロネコマークの商標登録についてご紹介します。

私が解説します!
茅原裕二氏のプロフィール写真

茅原かやはら裕二ゆうじ先生

2003年弁理士登録。特許事務所にて弁理士として務めた後11年の東日本大震災を機に独立し、「わらしべ特許商標事務所」を設立。同年書籍「佐藤さんはなぜいっぱいいるのか?」(講談社)の出版を機に、特許・商標などの知財をビジネス上の目印に活用することを広めるべく「目印コンサルタント®」として活動している。

TOPIC
「クロネコのマークが少し変わります。」ヤマトHD が 64 年ぶりにロゴマークをリニューアル
クロネコのマーク

ヤマトホールディングスは、2021年4月1日より新しい「クロネコマーク」と、新たな価値提供を象徴する「アドバンスマーク」の使用を開始した。64年間使用してきたクロネコマークが変更されるのは、1957年の制定以来、初めてのこととなる。11月には商標権を取得した。

FOCUS
経営体制の再編とともに新たなロゴマークに進化

2021年4月のヤマト運輸を中核とする経営体制の再編と併せて、ロゴマークを変更したヤマトHD。新しい二つのマークは、会社の意思とビジョンを表している。都市や街、地域の環境により調和し、溶け込みながら、サービスをさらに進化させていく意思の表明として、より未来志向のデザインに磨き上げた。3年程度を目標に、新たに使用する車両や営業所に反映させながら、順次広げていく。

クロネコのマーク
茅原先生解説
時代とともに変化する商標に注目

クロネコのマークは、ヤマトHDの企業イメージを決める最も重要な目印(商標)です。目印は、使用し続けることにより、消費者に認識され、そのイメージが定着し、そしてそこに信用が蓄積されていきます。従って、目印を変えるという行為は今まで蓄積してきた企業イメージを失う可能性がある危険な行為であるともいえます。それでもなぜ、ヤマトHDは目印を変えたのか? それは、時代の変化とともに消費者のニーズが変化し、これに伴って目印の持つイメージが変化してしまうからです。ある意味、目印には時代の変化に応じてメンテナンスが必要だといえます。

この時代の変化を敏感に感じ取って目印を変化させた代表的なものとして、福助のいわゆる福助マークがあります。この福助マークはその時代を反映し、顔や衣装を少しずつ変化させてきており、2003年には若者消費者のニーズをつかむべく近代的なロゴマークになりました。変化はとっても勇気がいることだったと思いますが、新たな時代に向けて挑戦するという企業姿勢がうかがえます。さらに、福助マークは次の100年に向かって新たな一歩を踏み出すべく2020年にも変化しました。しかし、この新たな福助マークは、さらに近代化したものというわけではなく、むしろ初代福助マークに近いものです。目印のデザインだけ見れば、時代に逆行しているように見えますが、レトロブームが起きる現代社会、インバウンド需要の増大などを考慮すれば、むしろ時代の変化にマッチした目印であるといえると思います。

このように時代の変化に対応して劇的に目印を変化させる企業がある一方、知らぬ間に顔がイケメンになっている目印もあります。その代表的なものは、「グリコ」のいわゆるゴールインマークです。現在のゴールインマークは8代目ということですが、女子学生の「顔が怖い」という一言を契機に時代の変化に合わせてイケメンになっていったようです。

シンボルマークの変化
福助 グリコ のマーク
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