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Vol.53
広報誌「とっきょ」2022年8月1日発行

なるほど!知財セレクション

VOL.5
VR端末を通じて遠隔での接客ができる
PCとVR端末間での接続、およびVR端末の位置や視線方向などの情報について、
クラウドを通じてやり取りを実現する
(特許第6400879号、米国特許第10493360号など)

COMPANYナーブ株式会社

PRODUCTディスプレイ共有(VR内見®

VR端末の情報をPC側で受信できる技術を活用し、VRでの賃貸物件の内見を実現するサービス。接客者はユーザーがVR端末で見ている内容や注目している箇所を接客中にリアルタイムで確認し、その場で適切な助言を提示できる。また、インターネット経由でも情報の共有が可能なため、接客者は、目の前にいるユーザーに対してはもちろん、ユーザーが遠く離れた場所にいても遠隔による接客も可能となる。

ディスプレイ共有(VR内見®) 「CREWL」
同社は知的財産権の保護を積極的に行っており、およそ15件の特許を取得・出願している。ディスプレイ共有に加え、デジタルサイネージとしても使えるVR接客端末「CREWL」(写真下)も特許を取得済み(特許第6454821号)。

VR映像は送らなくていい!
発想の転換で快適な内見を実現

入学や就職、結婚などを機に新しいマンションやアパートを借りる……誰でも一度は経験したことがあると思います。このとき、悩ましいのが生活に適した家の間取りや広さ。二人で暮らすなら40平米で十分なのか、50平米は必要なのかなど、数字だけ見てもなかなかイメージできない人が多いのではないでしょうか。

こうした不動産賃貸の悩みを解決するソリューションとしてナーブ株式会社が展開するのが、VRで物件を内見する「VR内見®」です。「百聞は一見に如かず」と代表の多田英起さんが言うように、3次元の空間で物件を内見することで、自分に合った広さかどうかを体感することができます。発明のきっかけは約7年前の同社オフィスの引っ越しでした。物件を内見した際の感想を社員間で共有するのが大変だったそうで、その際自社のVR技術を活用したことが現在のサービスへとつながったとのこと。

このVR内見®を実現するのが「ディスプレイ共有」という技術です。これは内見をしている人が見ている高画質な映像をスタッフの側でリアルタイムに確認したり、注目してほしいポイントを操作できたりするもので、効率的に接客ができるようになります。ディスプレイ共有の革新的なところは、これをインターネット経由で実現した点にあります。

「利用者目線では難しいことをしているように見えないのが、この技術の面白いところ」と多田さんは言います。というのも、VRの映像はデータ量が膨大で、それをリアルタイムで複数人で共有するとなるとネットワークに大きな負荷がかかります。データ量を抑えるため映像の品質を下げるなど、何かしらの制約なしに実現することは困難とされていました。

そこで多田さんが考えたのが、「映像そのものではなく、お客さんがどこでどういった角度で見ているかという情報だけに絞ってデータをやり取りする」という手法。位置と角度の情報だけならデータ量はごくわずかで済むため、安定してデータを送受信することができます。この情報をスタッフ側が持つ映像データに反映すれば、顧客が見ているものをリアルタイムで確認でき、VR経由でも適切なアドバイスが可能に。これにより、対面に近い内見が実現できるようになったのです。

高画質・低遅延でVRでのコミュニケーションを実現するこの技術は、旅行やショッピングなど幅広い分野での活用が期待されています。他社との協業も視野に入れ、多方面でのVR活用を模索する多田さん率いるナーブ株式会社は、果たしてどのような未来を見せてくれるのでしょうか。VRがもたらす新しい購入体験はもうすぐそこまで来ています。

PROFILE

ナーブ株式会社

ナーブ株式会社 [所在地] 東京都千代田区有楽町 1-10-1 有楽町ビル4F
[TEL] 03-6635-6199
[URL] https://www.nurve.jp (外部サイトへリンク)
[設立年] 2015年
[業種] ソフトウェア業
[従業員数] 17人

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