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特許庁広報室がユーザー目線で全力取材
今回訪れたのは審査第一部 環境・基盤意匠です。意匠審査を担う審査官たちはまさにデザインのプロ。その業務は想像以上に高度で、ハードでした。
製品デザインを模倣品から守ることなどを目的とした意匠出願の審査を行うのが、私たち意匠審査官の主な役割です。そのうち、家具などの住宅設備用品、マンホールなどの土木建築用品に加え、新たに保護可能となった建築物や内装の審査を担当するのが環境・基盤意匠です。
環境・基盤意匠を含む意匠審査部門は、意匠審査官約50人で構成され、年間約3万2千件の意匠出願を審査しています。既に同じような意匠が公開されていないか調査する先行意匠調査では、国内外の登録意匠やカタログ、インターネット上の情報などを蓄積したデータベースを用いて、数万件ものデザイン情報と照らし合わせながら地道に作業する必要があり、集中力や根気が要ります。
しかも意匠審査には、出願された意匠の特徴や意味するところ、創作者の意図を読み取る力が求められ、デザインの幅広い知識が不可欠です。
そのような難しさもある仕事ですが、意匠権に基づいて模倣品や類似品を差し止めたというニュースを見るなど、意匠権が実際に活用されていることを知った時には、やりがいを感じます。
デザインの試験を通過して採用される国家公務員は意匠審査官のみです。これからもプロとして誇りを持ちながら、意匠出願の審査を通じて産業界の発展に貢献していきたいと思います。(審査第一部 環境・基盤意匠 上席総括審査官 久保田大輔さん)
意匠法改正で2020年から新たに保護されるようになった画像・建築物・内装の意匠の調査方法を知りたい方に向けてマニュアルを作成しました。意匠出願に役立つ情報も公開しているのでぜひご覧ください。
展示会やウェブサイトなどで意匠を公開した後に意匠出願をしても、意匠登録を受けることはできません。ただし要件を満たせば、例外的に意匠権の取得が認められる場合もあります。
新保護分野であるため、過去から現在までのデザインについて、新たに審査資料を蓄積し、インターネット上の最新情報なども確認しながら、新規性(今までにない新しい意匠であるか)などの検討をしています。