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Vol.56
広報誌「とっきょ」2023年3月6日発行

なるほど!知財セレクション

VOL.8
置くだけで食品の鮮度を保つ次世代システム
独自の電子回路を用いて発生させた空間電位から生まれる、水分子と共振する波長を活用した鮮度保持装置
(特許第5683032号など、中国を含む海外でも権利取得済)

COMPANYDENBA JAPAN株式会社

PRODUCT鮮度保持装置「DENBA+®」

特殊な電子回路を組んで超低周波で水分子を共振させる鮮度保持装置。冷蔵庫などに取り付けるだけで、食材の鮮度を通常の約2倍から4倍長持ちさせる。SDGsへの関心の高まりを追い風に、食品の生産や物流、消費の各工程で多くの有力企業と提携。また、鮮度保持技術を組み込んだ冷蔵庫や倉庫、船舶(漁船)、輸送用トラックなどの開発も行っている。現在は技術の応用分野をさらに広げ、美容や医療でもサービス提供や研究開発を進める。

鮮度保持装置「DENBA+®」
水分子に波長を与えて共振させる。電子微細振動により、水分子をクラスター化。結晶の尖りがなく、細胞を壊さずに凍結が可能。
牛肉を使った鮮度の比較実験 イメージ画像
写真は牛肉を使った鮮度の比較実験。2週間経過で、通常保存(左)では脂身から赤身まで全体に変色が進み、腐敗臭も発生。水分子の共振を活用した「DENBA+」での保存(右)により鮮度が保たれる。

DENBAブランドを知財としてグローバルに広げる

SDGsの目標の一つ「食品ロス削減」への関心が高まる中、DENBA JAPAN株式会社の次世代型鮮度保持システムに大きな期待が寄せられています。「DENBA+®」は、既存の冷蔵庫や冷凍庫に取り付けるだけで、果実を2カ月後もみずみずしい状態に保ち、肉や魚の解凍時のドリップ(うま味などを含む肉汁の流出)の最大95%カットを可能にする、画期的な装置。開発から知財戦略のプロセスまで携わる近藤常務は「独自の電気回路で特殊な電場環境=電場をつくり出す『DENBA Technology』で、特許を取得。超低周波で食品内の水分子を共振させて細胞を活性化させ、鮮度保持を実現する独自技術は、流れている水がよどんだ水より劣化しにくいのと同様の原理です」と語ります。

同社の後藤社長は「今後は食品ロス削減が重要なビジネスになる」と予測し、もともと取り扱っていたセラミック活水器の技術を応用して、2014年に水分子活性化技術の研究を開始。食材は適正温度や保存状況が一つひとつ異なるので、開発当初は試行錯誤しました。また、家庭用冷蔵庫の6~7割は中国製のため、初期段階から中国他グローバルな市場を視野に入れた開発が行われました。中国の家電メーカーに自社製品を持ち込んで検証や鮮度保持技術の搭載を依頼しましたが、食品保存テストの理解も不足する現場では「研究室として使うためにテーブルを拭く」ことから学んでもらうなど、苦労は絶えなかったといいます。こうして技術面はもちろん、食品鮮度に関する知識もセットで提供し、人材育成も支援するなどして、中国での事業展開をかなえました。

中国進出を皮切りに、同社は海外展開を加速。「企業の価値は知財と密接に関連している、というのが社長の考え。米中韓と台湾の特許は押さえようと、PCT国際出願をし、現在は世界45カ国で特許を取得しています」と近藤常務。さらに、日本のPSE(電気用品安全法の基準)をはじめ世界各国の保安基準をクリアするのに加え、ブランドとして商標も取得する知財ミックス戦略を推進しています。「目前の利益追求にとどまらず、すぐにはまねできないレベルの認証を取得するのが大切。世界中の冷蔵庫や食品輸送のトラックにDENBAのデバイスが搭載されているのが理想の未来図ですね。美容や医療の分野にも応用を進めているので、一般消費者の方々との接点もより増えると思います」と、さらなる成長のビジョンを描いています。

PROFILE

DENBA JAPAN株式会社

DENBA JAPAN株式会社 [所在地] 東京都千代田区神田錦町3-15-6 名鉄不動産竹橋ビル
[URL] https://www.denba.co.jp (外部サイトへリンク)
[設立年] 2004年
[業種] 製造業(鮮度保持装置製造・販売など)
[従業員数] 50人(2023年1月時点)

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