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注目のあの話題を徹底解説!
特許や意匠、商標など知財にまつわる注目の最新ニュースについて、専門家が分かりやすく解説!
今回は、「日常にある知財をもっと身近に感じるためのコンテスト開催」というニュースをピックアップします。
WIPO日本事務所は、「Show and Tellプレゼンテーションコンテスト」を2023年9月28日に開催。「イノベーション・クリエーションの素晴らしさを、あなたの言葉で」をテーマに、応募者はShow and Tell方式で、自分の身近にある「発明」や「創造」といった知的財産についてプレゼンテーションを行った。
104名の応募者の中から事前ビデオ審査を経て、小学生の部・中学生の部・高校生の部・大学生の部の各部門で5名ずつ、合計20名のファイナリストが東京・赤坂インターシティAirに集合。幅広い分野から招かれた審査員(特許庁からは広報室長・富士春奈が出席)が、さまざまな角度から審査し、8名の受賞者が決定した。
[URL] コンテスト詳細・受賞者一覧・当日の動画はこちら(外部サイトへリンク)
知的財産の価値がますます高まるボーダーレスな時代において、発明者や科学者、エンジニア、創作者、芸術家などが一層評価されるよう、知的財産制度の意義や役割を「伝道師」として広く国内外に発信するとともに、国際機関の駐日事務所として、日本の知的財産ユーザーとの橋渡しに努めている。
2004年に米国の競争力評議会(Council on Competitiveness)が発表したパルミサーノ・レポートでは、イノベーションを「発明と洞察との交差点」と定義している。発明や創作が社会に浸透し、皆に受け入れられて初めてイノベーションになるという考えである。
Show and Tellというコンセプトを通して、発明や創作について考え、人に伝え、皆でアイデアを出し合うことの重要性を伝えるべく、WIPO日本事務所は「Show and Tellプレゼンテーションコンテスト」を開催した。「Show and Tell」とは、英語圏の初等・中等教育を中心に活用されている教育方法である。自分にとって大事なモノやトピックについて、大勢の前で発表し、モノを見せることを意味する「show」と、伝えることを意味する「tell」を組み合わせて「Show and Tell」という。発表に対する質問やコメントを通じて分かち合う時間を意味する「Sharing time」とも呼ばれる。発表する力だけではなく、個性を尊重しながら、チームワークや聞く力をも養うことができる。
WIPOでは以前よりビデオや写真、詩などを題材に取り上げたコンテストを実施しているが、WIPO日本事務所は2023年度、プレゼンテーションという切り口で新たなコンテストを企画した。20名のファイナリストのプレゼンテーション内容は、環境、先端技術、発明品やアイデアなど多岐にわたり、「オリジナリティー」・「課題解決」・「社会貢献度」・「ストーリー性」・「表現力」の5つの項目に基づき、国内外の外部審査員によって評価された。次代を担う若者たちを含め、こうしたShow and Tellにおける教育手法が活用され、多様な考え方を互いに尊重しつつ、発明や創作を保護する知的財産制度とともに、オープンイノベーションが一層促されることを期待したい。