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こころと体にうれしい 知財セレクション
COMPANY広葉樹合板株式会社
PRODUCT仮眠ボックス「giraffenap」
ベッドの約半分のスペースに設置できる、立ったまま寝る仮眠ボックス。設備の増強や工事の手間もほとんどなくオフィスに導入可能。近未来をイメージしたデザインで高い防火性能と静音性を有する「スペーシア(SPACIA)」と、空気清浄システム(CUSP-GEM)を備える和風デザインの「フォレスト(FOREST)」の2パターンが用意されている。
世界的に見て、睡眠時間が短いといわれる日本人。1日の睡眠が7時間を下回る人が実に7割近いという調査結果もあり※1、日本人の睡眠問題をテクノロジーで改善しようとする動きも盛んになってきています。今回紹介する「giraffenap(ジラフナップ)」もその一つ。北海道旭川市の広葉樹合板株式会社が製造・販売を行っています。
「giraffenapはオフィスに設置可能な仮眠ボックス。頭・お尻・すね・足裏の4カ所を支えて、立ったまま睡眠を取れます。20分程度仮眠することで、疲労や集中力が回復し、仕事のパフォーマンスが向上するんです」と話すのは同社代表取締役の山口裕也さん。
開発のきっかけは、2021年に開催された北洋銀行主催の知財ビジネスマッチングイベントへの参加でした。そのなかで、山口さんは株式会社イトーキが持つ開放特許「人体収納用構造体及び睡眠用筐体」のことを知ります。もともと日本人の睡眠問題に関心があった山口さんは製品化への可能性を感じ、ライセンス契約を打診。翌22年7月に調印式を行い、製品化に向けた研究・開発がスタートしました。
「さまざまな体格の人が利用できるように、体を支える器具の位置を調整できる昇降機能を取り付けたのですが、ベストな角度や位置の調整に四苦八苦しましたね。『安全で心地よい』ということが何よりも大切なので、転倒するリスクは絶対に避けたかったんです」と山口さん。また、開発に際して北海道大学と台湾の国立成功大学との共同研究にも取り組み、立ったまま寝た場合に睡眠段階2(軽い寝息をたてる程度の睡眠状態)まで到達し、その状態を30分以上継続できることが実証されました。あえて立ったまま眠ることで、熟睡しすぎず、素早く仕事に復帰できるといいます。
試行錯誤を経て、giraffenapは昨年8月に製品を発表、今年1月から受注生産を開始しました。「皆さん、はじめは立ったまま寝ることに懐疑的なのですが、予想以上にリラックスできて驚いたという声が多いです」と山口さんは反響を話します。製品化に合わせて、商標登録や、内外装デザインの意匠登録も実施。PCT国際出願も進め、世界進出を見越した知財戦略を行っています。
「眠気を感じた時に、我慢することなく堂々と仮眠を取れる社会になってほしい。giraffenapがその一助になればと思います。将来的には、駅ビルや空港などの交通機関への設置も積極的に進めていきたいです」と山口さんは展望を語ります。
※1 厚生労働省「令和3年度・健康実態調査結果の報告」より
PROFILE
広葉樹合板株式会社
[所在地] 北海道旭川市東鷹栖東2条2丁目137番地372
[URL] https://www.koyoju.co.jp (外部サイトへリンク)
[設立] 1971年
[業種] 製造業
[従業員数] 39人