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こころと体にうれしい 知財セレクション
COMPANYUCC上島珈琲株式会社
PRODUCT日本初の独自製法の飲まないコーヒー「YOINED」ヨインド
凍結粉砕したコーヒー豆と、焙煎した豆から抽出したコーヒーオイルを油脂でコーティングし、チョコレート状の固形に仕上げたコーヒー食品。豆本来の甘み・酸味・苦味が作り出す芳醇な香りと余韻を楽しめる。2024年11月1日からUCC公式オンラインストア、上島珈琲店などで再販開始(数量限定)。6枚入り2700円(税込)。
朝食や午後のおやつ時間などで、安らぎをもたらしてくれる身近な嗜好品・コーヒー。実は、挽いた豆をドリップして味わう飲料としての一般的な楽しみ方では、捨ててしまう抽出後の粉にも味、香りが残っており、豆が持つ味や香りの全てを味わい尽くせていないことをご存じでしょうか。今回ご紹介するのは、「豆本来の風味を余すところなく堪能できないか」という思いから、UCC上島珈琲株式会社が20年以上の歳月をかけて生み出した「YOINED」です。
まるでチョコレートのような見た目ですが、カカオ豆は不使用。コーヒー豆をそのまま粉砕して固形に仕立てています。口に入れると、鮮烈な香りが口から鼻にかけて広がり、香りの「余韻」に浸ることができます。
YOINEDの開発を手掛けた岩井和也さんによれば、開発の始まりは1990年代後半にさかのぼります。「究極に豆を細かく挽くことで豆本来の風味を味わえるようにする試みが、何人もの研究者の手で脈々と続けられてきました。2010年代には、豆をマイナス196℃で凍結して粉砕する手法を採用して、人間の舌で味を感じ取れる限界である20μmまで細かくすることに成功したのですが、その分すぐに香りが飛んでしまい、保存が難しいという新たな壁に直面したんです。そこで、香味成分を多く含んだコーヒーオイルと油脂でコーティングし、固形として味わうという発想が生まれました。改良を重ねて生み出したこの製法は、21年に特許も取得しています」
「飲む」から「食べる」への発想の転換。YOINEDプロジェクトマネージャーの小坂朋代さんは、手探りの挑戦が続いたと振り返ります。「過去にないカテゴリーの商品なので、例えば風味を保つ包装技術一つ取っても社内では持ち合わせていませんでした。研究開発部をはじめ包装、物流、品質保証など社内の各部門のエキスパートが知見を持ち寄って商品化しました」
YOINEDは23年10月末に予約販売を開始。わずか数日で初回分が売り切れるという大反響で、24年11月から1年ぶりの販売を行っています。今回の再販では、日本酒をはじめとしたお酒とのマリアージュという新たな提案も。「当社のパーパスの『より良い世界のために、コーヒーの力を解き放つ。』の象徴として、コーヒーの可能性をさらに広げる挑戦を続けていきます」(小坂さん)
PROFILE
UCC上島珈琲株式会社
[所在地] 兵庫県神戸市中央区港島中町7-7-7
[URL] https://www.ucc.co.jp (外部サイトへリンク)
[業種] 製造業
[従業員数] 802人(2023年12月末)