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こころと体にうれしい 知財セレクション
COMPANY漆工芸大下香仙株式会社
PRODUCT蒔絵・螺鈿細工のアクセサリー「Classic Ko」
初代・大下雪香による創業以来、約130年にわたり加賀蒔絵を作り伝える漆工芸大下香仙工房のアクセサリーブランド。蒔絵・螺鈿などの伝統技法で表現された、現代的ながらも、クラシカルな気品漂う東洋と西洋が混在したモチーフが特徴。イヤリング、ネックレス、指輪、ブローチなどを手掛ける。
古くは奈良時代から用いられている、日本独自の装飾技法・蒔絵。漆で模様を描いた漆器などの表面に金銀錫粉を蒔きつけて付着させる技法が特徴です。食器や家具をはじめ、美術工芸品に用いられることが多いですが、今回紹介するのは、この蒔絵や螺鈿といった伝統技法を現代のアクセサリーに施した「Classic Ko」というブランド。1894(明治27)年の創業以来、石川県加賀市で代々蒔絵を作り伝える漆工芸大下香仙工房が手掛けています。
花鳥風月に代表されるような日本の伝統模様とは異なる、東洋と西洋が混在した独創的なモチーフをあしらったデザインが特徴。
「先代の頃までは、茶器や棗といった茶道具への装飾を主な生業としていました。しかし、時代の移り変わりとともに茶道具の売れ行きが落ちてきたため、ブランドを作り製造・販売まで一貫して行うことで新たな可能性を探りました」と語るのは、現代表の5代目大下香征(正之)さん。
アクセサリー作りは工房初の試み。試行錯誤の連続だったそうです。
「金具加工専門の工房の方と試作を繰り返しながら、手探りで使用感のいいアクセサリーの制作を進めていきました。当初は百貨店で販売しても、お客様の『蒔絵』のイメージが古色蒼然たるもので、関心を持つ人がいてもなかなか購入に至らなかった。そこで、現代の着こなしに合わせて相性のいい柄や色味を取り入れていくようになりました」
ブランド名は「古典的、一流、時代に左右されない」などの意味を持つClassicに、雅号の「Ko」を合わせたもの。当初考えていた名称が他社と重複していたため、J-PlatPatなど知財検索サービスを使い詳細な調査を行ったうえで、今の名称に落ち着きました。知財の重要性を実感した香征さんは、石川県産業創出支援機構やINPIT石川県知財総合支援窓口の助言も受け、2016年に商標権を取得。中国への展開を見据え、21年には中国でも商標登録をしています。
国内に加えて海外のお客様からの購入も多いClassic Ko。
「もちろん伝統的な日本の意匠を好む外国の方もいますが、『今の日本人がいいと思うもの』を欲しいという方が多い。そうした層に響いていると実感しています」と香征さんは手応えを語ります。
「伝統工芸的なものを好むコアな人だけでなく、幅広い人に響く作品を作り、届けることが大切。そういう意味ではワークショップなどで蒔絵の魅力を知ってもらうことも大事だと考えています。今後は制作・販売にとどまらない多角的なアプローチで、関わりのある人(交流人口)を増やす試みを続けていきたいです」
PROFILE
漆工芸大下香仙株式会社
[所在地] 石川県加賀市二子塚町103-2
[URL] http://www.classic-ko.jp (外部サイトへリンク)
[創業] 1894年(2022年法人化)
[業種] 製造業
[従業員数] 4人(2025年1月末)
画像提供:漆工芸大下香仙株式会社
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