ノーベル賞と特許について
ノーベル賞と特許
ノーベル賞の受賞対象のうちの多くは、原理・原則の発見など、論文に掲載されるような基礎研究的な成果ですが、研究過程において特許出願がなされていることがよくあります。自然科学分野の研究者の間でも、特許を活用する意識が根付いていることが伺われます。
2020年時点でのノーベル賞日本人受賞者の方々のうち、日本国特許を取得された方についての情報は、「ノーベル賞と特許」に関するパネル展示についてをご覧下さい。
2022年のノーベル賞受賞者の特許
2022年の自然科学研究者によるノーベル賞受賞者のうち、特許出願が確認できた方[注記1]をご紹介します。
医学・生理学賞「人類の進化」
受賞者名 : スバンテ・ペーボ氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 特開平10-225297号公報
第二の熱安定性DNAポリメラーゼの添加によるDNA分子のカップルしてない直接の指数関数増幅および配列決定方法ならびにその応用
- 【特開平10-225297号公報 図1】

- 特開平10-295400号公報
DNA分子の直接的な指数関数的増幅および配列決定のための方法並びにその用途
- 【特開平10-295400号公報 図1】

化学賞「クリックケミストリー」
受賞者名 : キャロリン・ベルトッツィ氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 米国出願公開第2006/0110782号明細書
Compositions and Methods for Modification of Biomolecules
- 【米国出願公開第2006/0110782号明細書 図1】

受賞者名 : モーテン・メルダル氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 特表2019-535704号公報(PCT/EP/2017/078766)
結合性ペプチド
- 【特表2019-535704号公報 図1-1】

受賞者名 : バリー・シャープレス氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 特表2006-502099号公報(PCT/US/2003/017311)
銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション
- 【特表2006-502099号公報 図1B】

物理学賞「量子もつれ」
受賞者名 : アラン・アスペ氏
受賞者名 : ジョン・クラウザー氏
受賞者名 : アントン・ツァイリンガー氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 国際公開第2020/143927号
Source for High-Dimensional Entangled Photon Pairs
- 【国際公開第2020/143927号 図1】

- 米国特許出願公開第2015/0177128号明細書
Quantum Imaging with Undetected Photons
- 【米国特許出願公開第2015/0177128号明細書 図1】

2021年のノーベル賞受賞者の特許
2021年の自然科学研究者によるノーベル賞受賞者のうち、特許出願が確認できた方[注記1]をご紹介します。
医学・生理学賞「温度と接触の受容体の発見」
受賞者名 : デビッド・ジュリアス氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 特表2001-514879号公報 (PCT/US98/17466)
カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする核酸配列ならびにその使用
- 特表2002-503451号公報 (PCT/US99/01418)
カプサイシン受容体をコードする核酸配列
- 【特表2001-514879号公報 図1B】

受賞者名 : アーデム・パタプティアン氏
化学賞「不斉有機触媒の開発」
受賞者名 : デービッド・マクミラン氏
受賞技術と関連する特許出願[注記3]
- 特表2003-520261号公報(PCT/US01/02022)
非金属有機触媒組成物を使用する基質の化学変換
- 特表2003-520274号公報(PCT/US01/01935)
反応触媒としてのイミダゾリジノンの酸付加塩
- 【特表2003-520261号公報 図1】

受賞者名 : ベンヤミン・リスト氏
ノーベル経済学賞と特許
特許と関連があるのは自然科学分野だけではありません。実は、ノーベル経済学賞の受賞者の中にも特許出願を行っている方がいらっしゃることはご存じですか?
ここでは、2013~2022年のノーベル経済学賞受賞者のうち、特許出願が確認できた方[注記1]をご紹介します。
2020年「オークション理論の改善、新しいオークション形式の発明」
受賞者名 : ポール・R・ミルグロム氏
代表的な特許出願[注記4]
- 米国出願公開第2007/0192233号明細書
プロキシ入札による連続クロックオークション
図2:
2013年「資産価格の実証分析」
受賞者名 : ロバート・J・シラー氏
代表的な特許出願[注記4]
- 特表2003-510670号公報(PCT/US98/22224)
プロキシ資産を作成、配分、管理するためのプロキシ資産管理システム
図2:
産業技術に関わる特許発明とノーベル賞
2000年の物理学賞はジャック・キルビー氏のICの基本特許に関する技術を対象に授与され、また2019年の化学賞を受賞した吉野彰氏も自身で特許発明が評価されたと述べるなど、実用化・商業化に向けた研究が直接ノーベル賞の受賞対象となることも増えています。
2019年のノーベル化学賞の選考委員長を務めたクラース・グスタフソン教授がメディアの取材に応じた際、選考では「学術論文だけでなく、特許も『専門家の評価を聞き、詳細に分析した』と話した。」と伝えられており[注記5]、今後も産業技術に関わる特許発明が受賞対象になる可能性は高いと考えられます。
注記
- [注記1] 特許庁のクラスタ検索システムを用いた公開後国内特許及び外国特許検索において、発明者名検索でヒットした者
- [注記2] 同一の優先権基礎出願を有するファミリー出願はまとめて1件として計上
- [注記3] 特許庁調べによる。
- [注記4]ノーベル賞受賞理由との関連性にかかわらず記載しています。
- [注記5] 読売新聞記事(2019年12月10日)
[更新日 2022年11月2日]
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電話:03-3581-1101 内線2108
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