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第12回APEC知的財産権専門家会合について

平成13年4月
特許庁

平成13年3月20日(火曜日)-21日(水曜日)、オーストラリアのシドニーにおいて、第12回のAPEC知的所有権専門家(IPEG)会合が開催されました。会合には、議長を務める我が国、ホスト国のオーストラリアをはじめ、16ヶ国・地域から知的所有権庁の長官などの政府代表が出席しました。

翌22日(木曜日)には、民間からの参加者も含めたセパレート会合が開催されました。会合の概要は以下の通りです。

1.APEC知的所有権専門家会合

(1)背景

第12回IPEG会合は、知的所有権分野の新しい「共同行動」(CAP: Collective Action Plan)が先のAPEC貿易投資委員会にて了承された後、初めて開催された会合でした。今回会合の主な目標は、新しいCAPの下での活動を円滑に開始させることであり、この目標はメンバーによる多数のプレゼンテーションと活発な意見交換により達成されました。特に、1)議長プレゼンテーションにより、特許制度の実体的調和やメンバー間のサーチ審査協力の必要性について問題意識が共通化された点、2)知的所有権関連手続きの電子化に関し、利用率向上のための戦略を検討することが合意された点、3)効果的な知的所有権エンフォースメント制度確立の必要性が再認識された点は、今回会合の大きな成果です。主な議論は以下の通りです。

(2)今回会合の主な議論

(a) 知的所有権政策対話の深化
議長より、世界的な特許出願の激増は、ほとんど外国への出願によるものであることや、特許制度の実体的調和、メンバー間のサーチ審査協力の必要性の背景として、膨大な出願の重複が生じている実情が紹介されました。

(b) 簡易・迅速な権利取得

  • 国際的な出願重複の問題意識を共有し、特許制度の実体的調和やPCTリフォーム等の国際ルールメーキングの意義が強調され、当項目で議論していく方向で各メンバーの理解が一致しました。
  • 日本より、特許制度の実体的調和について状況を紹介しました。またアメリカも、先願主義移行を含めたパブリックコメント聴取手続の開始をアナウンスしつつ、特許制度の実体的調和の重要性を強調しました。
  • 途上メンバーへのサーチ・審査協力に関し、修正実体審査(MSE)、PCTの有効活用、無条件認証の選択肢ごとの利点と欠点が提示されました。業務重複の排除とコスト削減の重要性についてのメンバーの認識は一致し、今後も意見交換を続けることが確認されました。

(c) 知的所有権関連手続の電子化
アメリカ、オーストラリア、メキシコ、韓国より電子出願の状況説明があり、日・韓以外では特許の電子出願利用率が低い実体が明らかになりました。電子出願に対するユーザーレジスタンスの解消などの電子出願利用率向上のための戦略を今後の議論対象とすることで合意しました。また、今後ユーザー啓蒙のための官民ワークショップ開催も検討します。

(d) 新分野における適切な知的所有権保護

  • アメリカとメキシコより、バイオ関連発明に関する自国の状況報告がありました。先進メンバーと途上メンバーの制度・実務の相違などについて、今後も情報交換、意見交換を行うことが確認されました。
  • アメリカ、オーストラリアより自国のコンピュータ関連発明に関する状況報告があり、日本からも新審査基準及び関連諸施策について説明を行いました。途上メンバーは問題認識を持ち始めた状況で、今後も情報交換することが確認されました。
  • メキシコより、地理的表示のリスト交換をメンバー間で行なうことが提案され、合意されました。
  • アメリカの提案により、次回以降、国際裁判管轄について議論することが合意されました。

(e) 知的所有権制度運営の改善のための協力
TRIPS履行により問題が制度整備から円滑運用に移行しつつある状況を踏まえ、韓国、香港、シンガポール、日本より運用協力のプレゼンテーションを行い、TRIPSの継続的な履行という貿易大臣会合のコミットに沿って活動を開始しました。

(f) 効果的な知的所有権エンフォースメント制度の確立
日本より、ベストプラクティス提案を説明しました。後述のセパレート会合でも指摘がありましたが、効果的エンフォースメントには官官、官民、民民の間の連携や公衆啓発などの多面的取り組みが必要であり、今後民間や知的所有権庁以外の政府機関との連携を深めていくことを検討する必要あることを確認しました。

(g) 知的所有権資産管理の促進
政府機関による違法ソフトウェア使用対策につき、アメリカが各メンバーの措置の調査報告を行いました。

(h) 知的所有権に関する意識の高揚
香港・シンガポールより、知的所有権に関する意識の高揚施策が報告されました。

(i) 適切な知的所有権保護を通じた技術移転の促進
日本より、「日韓特許技術交流フェア」を報告しました。来場者の強いニーズが確認された反面、出展企業側に外国における知的所有権保護への潜在的不安感があり、出展者集めが困難であった経験から、有効な知的所有権保護が技術移転のキーであると強調しました。

出席者の写真

(写真提供:オーストラリア外務貿易省)

2.IPEGセパレート・エンフォースメント会合

  • セパレート会合は、政府間会合であるIPEGを補完して民間との意見交換を促進する目的で、前回IPEG会合から始められた会合です。今回は前回に引き続き、エンフォースメントをテーマに開催されました。
  • 「コンピュータ・ソフトウェアの権利行使の問題」、「ブランド品の権利行使の問題」、「団体管理システムにおける権利行使」、「知的所有権管理への戦略的アプローチとしての権利行使」の4つの分科会の議論が全体会合で報告・総括され、1)権利者の取り組みの強化、2)取り締まり機関・公衆への教育、3)権利者同士の戦略的連携、4)戦略的官民連携の必要性、5)APECメンバー間の協力等が指摘されました。

[APEC知的財産権分野の活動]からリンク

[更新日 2001年4月27日]

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