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第13回APEC知的財産権専門家会合について

平成13年7月16日(月曜日)-17日(火曜日)、チャイニーズ・タイペイ(台湾)の台中において、第13回のAPEC知的所有権専門家(IPEG: Intellectual Property Rights Experts Group)会合が開催されました。会合には、議長を務める日本、ホストのチャイニーズ・タイペイをはじめ、14ヶ国・エコノミーから知的所有権庁の長官などの政府代表が出席しました。
続いて19日(木曜日)には、民間からの参加者も含めたシンポジウムが開催されました。会合の概要は以下の通りです。

1.APEC知的所有権専門家会合

(1)背景

今次IPEG会合は、知的所有権分野の新しい「共同行動」(CAP: Collective Action Plan)がAPEC貿易投資委員会にて了承された後、二度目の会合であり、前回会合にて開始された新CAPに基づく活動を軌道に乗せることができました。

(2)今回会合の主な議論

(a)知的所有権政策対話の深化
今後も政策対話や情報交換を継続することが合意されました。

(b)簡易・迅速な権利取得

  • オーストラリア、韓国、フィリピン等より、マドリッド議定書、PCT等の国際的知的所有権制度への参加状況が報告されました。
  • 日本より、先のWIPO特許法常設委員会での実体特許法条約(SPLT: Substantive Patent Law Treaty)に関する議論を紹介しました。併せて、法律、運用についての情報交換を提案し、合意されました。また米国より、特許実体要件の国際調和に関するパブリックコメント聴取の結果に基づきWIPOに意見書を提出した旨報告がなされました。
  • 周知商標の保護が及ぶ物品の範囲、周知商標のサーチ方法等について議論がなされました。
  • 日本より、各エコノミーが自国の現状に応じて可能なサーチ・審査協力形態を検討することを促すとともに、協力の実施に際して、インターネットを利用することにつき、次回会合にて提案を行うこととしました。また他特許庁のサーチ・審査結果の利用において言語の相違が障害であるとの指摘に対して、自動翻訳の利用が有効である旨示唆されました。

(c)知的所有権関連手続の電子化
中国香港より、各エコノミーからの情報を勘案し作成された電子出願利用促進のための戦略に関する非公式文書が報告され、各エコノミーがユーザーと共同して電子出願利用促進のための作業を進める必要性が強調されました。各エコノミーから、自国における電子出願の現状について報告がなされました。オーストラリアによるIPEGウェブサイト開発作業を継続することが合意されました。

(d)新分野における適切な知的所有権保護

  • コンピューター関連発明に関して、オーストラリアより、ビジネス方法発明(スマートカード)に係る侵害事件の判例が一例として紹介され("an artificially created state of affairs of utility in the field of economic endeavor")、日本及び米国より自国における特許性判断について情報が提供されました。
  • メキシコより、自国における地理的表示保護に関して、原産地表示の登録、団体商標の登録等の紹介がなされました。また、各エコノミーで保護されている自国の地理的表示の例のリストを作成することが合意されました。さらに、地理的表示の保護とTRIPS協定の規定、インターネット・ドメインネームとの関係についても議論されました。
  • 国際私法に関するハーグ会議に関して、米国より背景及び現状の報告がなされ、オーストラリアからも知的所有権の国際裁判管轄について議論することの重要性が指摘されました。
  • 遺伝資源、伝統的知識、フォークロアに関して、米国より先のWIPO遺伝資源会合について、またチャイニーズ・タイペイとオーストラリアより自国の取り組み及び見解について報告がなされました。

(e)知的所有権制度運営を改善するための協力
韓国より自国の人材育成等の取り組みについて報告がなされました。日本からも制度運営における協力について報告を行いました。

(f)効果的な知的所有権エンフォースメント制度の確立
日本より、展示会での模倣品展示を防止するためにAPEC統一ガイドラインを作成することを提案しました。また、模倣品輸出を管理するために法律等を調査することがフィリピンより提案され、合意されました。

(g)知的所有権資産管理の促進
米国より、自国におけるソフトウエア資産管理を強化するための取り組みが報告されました。

(h)知的所有権に関する意識の高揚
オーストラリア・メキシコ・韓国・中国香港より自国における知的所有権意識高揚施策が報告されました。

(i)適切な知的所有権保護を通じた技術移転の促進
日本より、技術移転の基本分析について、具体的なアプローチ、技術移転の方法、技術移転の鍵となる要素を含めた検討を提案し、有効な知的所有権保護保護が技術移転の鍵である旨を指摘しました。

(3)IPEGの次期議長

APECのボランタリズムやシェアド・リーダーシップ等の原則の重要性を鑑みて、次期IPEG議長の立候補が募られることとなりました。3期連続してIPEGの議長を務めてきた日本は、2002年3月開催予定の第14回IPEG会合において、次期議長にその役割を引き渡す予定です。

写真
(写真提供:台湾経済部智慧財産局)

2.APECシンポジウム

19日(木曜日)に開催されたAPECシンポジウムは「ニューエコノミーにおける知的所有権」と題され、1.デジタル関連項目(ビジネス方法特許、ドメインネームとインターネット上の商標侵害等)、2.特許侵害判断におけるクレーム解釈、3.特許の商業化と技術移転の3トピックスが取り上げられました。いずれもITブームに関連して注目されているトピックスであり、官民それぞれからの参加者によって情報の共有化と、活発な意見交換がなされました。

[APEC知的財産権分野の活動]からリンク

[更新日 2002年1月18日]

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