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平成22年3月5日~6日、広島において第30回APEC知的財産権専門家会合(APEC/IPEG: Intellectual Property Rights Experts Group)が開催されました。
会合にはAPEC19エコノミー(国・地域)(ニュージーランド、パプア・ミューギニアを除く全メンバー)から知的財産権庁の代表者等が出席しました。
我が国から、本年はAPECで掲げている「ボゴール目標」の節目の年であり、グローバル知的財産インフラストラクチャーに、より一層重点をおくべき旨を説明しました。
我が国から、他庁審査結果利用のために出願人が各庁の申請様式の共通性を向上させることを目指し、そのための当面の取組として、各庁の申請様式を提供するウェブサイトの設置の提案を行いました。この提案に対し、議長より、重要な取り組みとの発言があり、また米国から強い支持が表明されました。中国から慎重姿勢の意見が述べられたものの、最終的には中国も同意し、全会一致で提案が承認されました。
我が国から、承認を求め知財人材育成機関間共協働イニシアティブ(仮称:iPACイニシアティブ (“Intellectual Property Academy Collaborative Initiative”))について発表提案を行いました。この提案に対し、米国、メキシコ、ロシア、韓国、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、シンガポール、ベトナムが明示的に支持を表明されました。中国からは、多言語サポートが望ましいとの建設的な意見がありましたが、最終的には全会一致で提案が承認されました。
我が国から、情報技術ネットワークの観点から、イノベーション促進のためのグローバルな知財IT環境構築推進を紹介する発表を行いました。中国など複数のエコノミーから質問がなされました。
我が国より「我が国における著作権法改正の概要について発表を行いました。多くのメンバーエコノミーから質問があり強い関心が寄せられ、さらに台湾及び韓国からは今後の情報交換について要請がありました。
ロシアから知的財産の保護、使用及び執行分野における国家人材トレーニングのシステムに関する組織及び進展に関するAPECプロジェクトの提案がありました。米国、中国、メキシコ、ペルー、ベトナムから支持が表明され承認されました。
ペルーによる伝統的知識保護のための実施手段の成功体験に関するセミナー提案がなされ、承認されました。
オーストラリアから、テレビで放映された番組が1時間後には外国語の字幕付きでインターネット上に出回っているなどの深刻な現状について情報提供がなされました。
米国から、違法な映画録画に対する効果的な処理について発表がなされました。また、海賊版と国際組織犯罪に対する調査を、後日、米国特許商標庁より提供がなされるとの報告がありました。
中国から、知的財産権の乱用防止についての調査提案が行われたが、我が方より、権利の濫用は事例ごとに裁判所が判断することであるため、分析することが困難である旨説明、その他、アメリカ、ロシア、豪州、タイ、メキシコ、カナダからの懸念が表明され、合意には至りませんでした。
中国から、標準設定における知財の取扱い規定などの情報を共有しようとするセミナーの提案がなされましたが、詳細について更なる検討が必要であるとの意見があり、今時会合では合意に至りませんでした。
我が国から、次回IPEG会合の併設イベントとして、知的財産活用セミナーを提案しました。中国、韓国、ロシア、タイから支持が表明され、承認されました。
我が国から、第31回IPEG会合の案内を行いました。
次回のIPEG会合は、2010年9月に開催される予定です。
[更新日 2010年4月19日]