ここから本文です。
平成22年9月7日~8日、仙台において第31回APEC知的財産権専門家会合(APEC/IPEG: Intellectual Property Rights Experts Group)が開催されました。
会合にはAPEC14エコノミー(国・地域)(ブルネイ、カナダ、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、パプア・ニューギニア、フィリピンを除く全メンバー)から知的財産権庁の代表者等が出席しました。
我が国から、2011年3月末を目処に構築中である、知財人材育成機関間協働イニシアティブ(iPACイニシアティブ:Intellectual Property Academy Collaborative Initiative)に基づく情報共有・発信のウェブ・プラットフォームについて基本機能を説明しました。議長より、当該プラットフォームは、セミナー等の会合の結果を迅速に発信し共有する手段としても有用であるとの言及があり、また、韓国から、将来はWIPOと協力しAPEC域外へも対象を拡大しうるのではないかとの発言がありました。
我が国から、特許取得手続きにおけるAPEC協力イニシアティブに関連して同じく2011年を目途に構築中である、他庁審査結果活用のための申請様式(特許審査ハイウェイ(PPH)申請様式など)を提供するウェブサイトの概要を紹介しました。議長からは、この種の情報提供手段が必要であるとコメントされたほか、豪州及び韓国より、取組を評価する発言がありました。
また、米国から、PPH、チャイニーズ・台北(台湾)から外国のサーチ・審査結果を利用した早期審査プログラム、メキシコから、中米・ドミニカ共和国等向けサーチ・審査結果共有システムについて、それぞれ紹介されました。その中で、米国は、中国、スペイン、オーストリア、及びイスラエルとPPH開始の協議中であると報告しました。
我が国から、9月9日(木曜日)に開催するAPECシンポジウムに関して、目的及び各セッションの紹介を行いました。
韓国から、e-ラーニングコンテンツ「IP Xpedite」を利用した研修の提案が行われ、全会一致で承認されました。
チリから著作権の限界と例外に関するワークショップ開催の提案が行われましたが、米国より関係方面と話し合いたいとの発言があり、承認には至りませんでした。
中国から、標準化における知的財産権保護に関するセミナー開催の提案が行われました。慎重姿勢を示していた米国も内容改善を前提に協力する姿勢を示し、今後米国等が次回会合までに中国と協議していくことになりました。
中国から、知的財産権の不適切な使用の防止に関して各APECメンバーが有している法制や運用に関わる調査の提案が行われました。本提案は第26回会合から提案され続けているもので、タイ、チリ、ロシア、及びペルーから支持する発言がありましたが、我が国及び米国から反対する発言があり、今次会合でも合意には至りませんでした。
ペルーから、伝統的知識保護のための成功体験セミナー開催に関する提案が行われました。第30回会合でも提案が行われ承認されましたが、IPEGの上位機関である財政管理委員会(BMC)にて実施が見送られたため、今回再提案することとなり、全会一致で承認されました。
米国から、地理的表示(GI)と商標の関係に関して、先使用権の保護、及び、一般名称の継続的使用ができるように保護することの重要性を訴える発表が行われ、二国間協定で特定のGIを保護することは、これに反するおそれがあるとしました。
ペルーから、伝統的知識保護及び遺伝資源に関する効果的な保護を実施するための取組に関する発表が行われました。タイなど複数のエコノミーから質問がなされました。
次回のIPEG会合は2011年3月に米国ワシントンD.C.にて開催される予定です。
[更新日 2010年10月26日]