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平成23年3月4日~5日、ワシントンD.C.において第32回APEC知的財産権専門家会合(APEC/IPEG: Intellectual Property Rights Experts Group)が開催されました。
会合にはAPEC20エコノミー(国・地域)(マレーシアを除く全メンバー)から知的財産権庁の代表者等が出席しました。
我が国から、知的財産人材育成機関間協働((iPACイニシアティブ:Intellectual Property Academy Collaborative Initiative)イニシアティブに基づく人材育成機関の情報共有・発信のためのウェブ・プラットフォームについて、基本機能、使用方法等を解説しました。その際、活用のメリットを説明するとともに、積極的な活用と情報の掲載を各エコノミーに促しました。議長より、当該プラットフォームは有用であり、各エコノミーの積極的な情報提供が望まれると特に言及がありました。なお、本プラットフォームは2011年3月に一般公開されました。(http://ipac.apec.org/)
米国から、違法な映画録画に対する効果的な処理に関する最新情報に関する発表が行われました。違法な映画録画に対する効果的な処理は(イ)民衆の意識啓発、(ロ)民間セクターとの効果的な能力構築(ハ)法的な枠組設定、であると発言がありました。この米国からの提案を、オーストラリア、タイ、カナダ、ニュージーランド、メキシコ、チリが歓迎しました。我が国からも日本では映画盗撮防止法が2007年に制定され、2010年以降今日まで露天商による新作の海賊版DVDは見つかっていないと発言し、米国への支持を表明しました。
中国から、標準化における知財権保護のプラクティスに関するAPEC/IPEGセミナーに関するプロジェクト提案が行われました。多くのエコノミーから支持があったものの、米国は、知財権の不適切な使用の調査との内容面の重複から両プロジェクトを統合するべきとの立場をとったため、承認には至りませんでした。
中国から、APECエコノミーにおける知財権の不適切な使用防止のための法体制に係る調査に関する提案が行われました。米国より標準化セミナーとの統合、我が国より実用新案権制度の濫用の調査をそれぞれ提案したため、承認には至りませんでした。
チリから、著作権の限界と例外に関するワークショップの提案が行われました。米国等の指摘を受け、チリが前回会合時から変更した案を提出し、米国も承認しました。日本も、ノームセッティングではないことを確認した上で、承認しました。
我が国から、APEC人材養成作業部会(HRD:Human Resource Development Working Group)下のネットワークであるCBN(Capacity Building Network)プロジェクトの概要及びCBNで作成した国際企業の知的財産を守る取組に関するケーススタディについて説明しました。また、CBNは、人材育成の面でIPEGと協力したいと言及しました。
ABAC(APECビジネス諮問委員会)とIPEGの対話においては、「オンライン上の模倣品・海賊版問題」について、音楽、ゲーム、学術誌、スポーツ用品の各産業から、「経済成長のための最新技術の活用」について、大学、農業、電機、製薬の各業界から、それぞれの視点で発表があり、IPEG参加者と民間からの参加者との間で関心事項の共有及び議論がなされました。
次回のIPEG会合は2011年9月に米国サンフランシスコにて開催される予定です。
[更新日 2011年4月11日]