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平成23年9月16日~17日、サンフランシスコにおいて第33回APEC知的財産権専門家会合(APEC/IPEG: Intellectual Property Rights Experts Group)が開催されました。
会合には日本の他、APEC16エコノミー(国・地域:豪州、カナダ、チリ、中国、香港、韓国、メキシコ、パプア・ニュー・ギニア、フィリピン、ペルー、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国、ベトナム)から知的財産権庁の代表者等が出席しました。
日本より、6月にJPOが主催した五庁長官会合や7月に独(テゲルンゼー)にて開催された制度調和会議の概要等、制度調和に向けた最近の動向について報告し、今後もJPOは制度調和に向けて積極的に貢献していくとのメッセージを発信しました。米国、メキシコからは制度調和は重要であり、日本の姿勢を評価するとの発言がありました。
日本より、東日本大震災に対して各エコノミーが講じた救済措置に対し、改めて謝意を述べるとともに、今回の各エコノミーの具体的救済措置について類型化して報告を行いました。さらに、将来起こりうる災害への備えとして、各エコノミーの救済措置についてより詳細に体系化してまとめたものをAPECエコノミー全体で共有するための調査の実施を提案しました。これに対し、多くのエコノミーより被災者への弔意が示されるとともに、このような救済措置情報についての取りまとめは有用であると支持を受け、提案が承認されました。
日本より、2011年3月中旬に一般公開された、人材育成機関の情報共有・発信のためのウェブ・プラットフォーム(http://ipac.apec.org/)につき、利用状況の報告を行うとともに、より積極的な活用と情報の掲載、ユーザーへの周知を各エコノミーに促しました。
米国より、前回会合に引き続き、違法な映画録画に対する効果的な措置に関する最新情報に関する発表が行われ、1.民衆の意識啓発、2.民間セクターとの効果的な能力構築、3.法的な枠組設定、の3点が、違法な映画録画防止するために効果的であるとして、IPEG内での認識の共有を求めました。多くのエコノミーから支持があったものの、完全な合意には至らず、議論を継続することとなりました。
米国より、自由貿易協定(FTA)等でGI条項が導入されるようになったことを背景に、GI保護制度設立の上で考慮すべき原則に関するIPEGの提言(Recommendation)をまとめたいとの提案がなされました。日本を始め多くのエコノミーは、米国からの詳細な説明について謝意を示すとともに本国に持ち帰って検討したいと回答し、議論を継続することとなりました。
中国より、前回会合で提案のあった、標準化における知財権保護のプラクティスに関するプロジェクトについて、会期間に他エコノミーと協議をしつつ提案内容の修正を行ないたいとの報告がありました。
中国より、前回会合で提案のあった、APECエコノミーにおける知財権の不適切な使用防止のための法制度に係る調査プロジェクトに関し、提案プロジェクト内容を修正中であるとの報告がありました。
偽造品や不法取引ネットワークの現状、対策、国際協力について、警察、税関、ソフトウェア会社、製薬会社等からのパネリストから発表があり、質疑応答が盛んに行われました。
いかにして研究成果を産業化、商業化に結びつけるかについて、大学・研究所、技術移転機関(TTO)、製薬、学術誌の各業界から、それぞれの視点で発表があり、活発な議論が行われました。
次回のIPEG会合は2012年2月にロシア・モスクワにて開催される予定です。
[更新日 2011年9月22日]