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平成24年2月5日から6日、モスクワにおいて第34回APEC知的財産権専門家会合(APEC/IPEG: Intellectual Property Rights Experts Group)が開催されました。
会合には日本の他、APEC15エコノミー(国・地域:豪州、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、韓国、メキシコ、パプア・ニュー・ギニア、ペルー、ロシア、台湾、タイ、米国、ベトナム)から知的財産権庁の代表者等が出席しました。
日本より、東日本大震災の発生に伴う各国・地域の知財庁の救済措置に端を発し、将来起こりうる災害への備えとして各エコノミーの救済措置について体系化してまとめAPECエコノミー全体で共有するための調査について、前回会合での予備的な提案に引き続き、会期間に合意した調査票の補足説明を行い、調査開始の合意、情報提供の協力を求めました。これに対し、IPEG議長、タイ、メキシコ、米国、台湾より、互助的な取組であり有用であるとして支持が表明され、調査開始について承認されました。
日本より、2011年3月中旬に一般公開された、人材育成機関の情報共有・発信のためのウェブ・プラットフォーム(http://ipac.apec.org/)につき、利用状況の報告を行うとともに、より積極的な活用と情報の掲載、ユーザーへの周知を各エコノミーに促しました。
米国より、GI保護制度設立の上で考慮すべき原則に関するIPEGの提言(Recommendation)をまとめたいとの提案が前回会合に引き続きなされました。日本からは現在新たなGI保護の枠組みを政府内で検討中であるところ現段階での合意は難しい点を言及し、中国、タイ、ロシアを始め多くのエコノミーから、ケースバイケースで個別事案が判断されることが多いことから原則化は困難である点、規範作りはWTO等の別フォーラムで行うべきでAPECでは情報や経験の共有を中心とすべき点といった慎重な意見が相次ぎ、議論を継続することとなりました。
中国より、従前より提案されている、APECエコノミーにおける知財権の不適切な使用防止のための法制度に係る調査プロジェクトに関し、現在修正案につき政府内で検討中であり、引き続き各エコノミーの意見を歓迎するとの発言がなされたのみで、今回も合意には至りませんでした。
米国より、テナントの知財権の侵害行為に対する大家の責任に関する調査研究の開始提案が新たになされましたが、各エコノミーが慎重姿勢を見せ合意には至りませんでした。
メキシコのこれまでの議長国としての貢献を評価する意見が日本を始めとした各エコノミーからなされ、ロケ議長(メキシコ産業財産庁長官)の任期の延長について承認されました。
次回のIPEG会合は2012年5月にロシア・カザンにて開催される予定です。
[更新日 2012年2月15日]