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WTO・TRIPS協定に関する最近の議論

WTO、TRIPS理事会において、以下の決定がなされましたので、お知らせします。

1.公衆衛生に関する2003年8月一般理事会決定を反映させるTRIPS協定改正について(2005年12月6日一般理事会決定)

国内における医薬品の生産能力が不十分または無い国(主に途上国)においては、他国において製造された医薬品の輸入に頼らざるを得ない場合があるのですが、強制実施権下で他国において製造された医薬品を当該他国が輸出する行為はTRIPS協定第31条(f)注1に抵触する恐れがありました。
この問題に関し、2003年8月のWTO一般理事会において、強制実施権のもとで製造した、公衆衛生の問題への対応上必要な医薬品(HIV/AIDS薬等)を供給するために、一定の条件のもとで、TRIPS協定第31条(f)の履行義務を免除する旨の決定が行われました。
今次改正は、この一般理事会決定をTRIPS協定に反映し、一定の条件のもとでの第31条(f)の履行義務免除を恒久的とするものです。
2017年1月23日、WTO全加盟国の3分の2に当たる110加盟国が受諾したため、受諾した加盟国の間で改正協定の議定書が発効しました。(外務省の報道発表へ(外部サイトへリンク)
なお、我が国は2007年8月31日に改正協定の議定書を受諾しています。

(参考)WTO一般理事会文書(WT/L/641)

2.後発開発途上国(LDC)に対するTRIPS協定の履行の経過措置期間の延長決定について(2005年11月29日TRIPS理事会決定)

TRIPS協定第66条第1項注2では、LDCに対しTRIPS協定を履行するまでに10年の経過措置期間が与えられており、この経過措置期間は、当該規定上、2005年12月末に終了する予定でした。
一方当該条項には、正当な理由に基づくLDCからの要請により、経過措置期間を延長できる旨が規定されています。LDCからの延長要請に基づき、11月29日、当該経過措置期間を2013年7月1日まで延長(7年6月の延長)を認めることが、TRIPS理事会で決定されました。

(注1)TRIPS協定 第31条 特許権者の許諾を得ていない他の使用

加盟国の国内法令により,特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用(政府による使用又は政府により許諾された第三者による使用を含む。)(注)を認める場合には,次の規定を尊重する。
(注)「他の使用」とは,前条の規定に基づき認められる使用以外の使用をいう。
(f)他の使用は,主として当該他の使用を許諾する加盟国の国内市場への供給のために許諾される。

(注2)第66条 後発開発途上加盟国

  • (1)後発開発途上加盟国は,その特別のニーズ及び要求,経済上,財政上及び行政上の制約並びに存立可能な技術的基礎を創設するための柔軟性に関する必要にかんがみ,第65条(1)に定めるところによりこの協定を適用する日から10年の期間,この協定(第3条,第4条及び第5条の規定を除く。)を適用することを要求されない。貿易関連知的所有権理事会は,後発開発途上加盟国の正当な理由のある要請に基づいて,この期間を延長することを認める。
  • (2)先進加盟国は,後発開発途上加盟国が健全かつ存立可能な技術的基礎を創設することができるように技術の移転を促進し及び奨励するため,先進加盟国の領域内の企業及び機関に奨励措置を提供する。

[更新日 2017年3月21日]

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