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発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について

令和6年8月29日
特許庁
調整課
審査基準室

NEW 手引き及びQ&A集の改訂(令和6年8月)

問合せが多い事例を中心に「証明する書面」における記載の整理を行い、実情に合わせた事例を追加するなど、「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」及び「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」の改訂を行いました。

<改訂の概要>

(ⅰ)メールマガジンなどの電子メールの取扱いについて
メールマガジンについては、メールの件名等を記載することで、一般的な電子メールと同様に個々の送信先の記載は不要とする整理を行いました(手引きの3.3.2及び記載例13,14参照)。
(ⅱ)地域を特定した一斉販売の記載について
全国一斉販売、九州限定販売など、「地域を特定した一斉販売」という1つの行為とみなせる公開行為について記載をする場合には、各店舗名の記載は不要であるという整理を行いました。この場合において、特定される地域は、全国といった広範囲の地域に限らず、任意の範囲を指します(手引きの3.3.6及び記載例15、Q&A集のQ4-7参照)。
(ⅲ)新規性を喪失しない商談について
発明が特許法第29条第1項各号のいずれかに該当するに至ったのでなければ、新規性は喪失していないところ、特定少数の者で行われる商談で説明を行った場合には、その説明により発明が公然知られたものとは認められないため、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受ける必要はありません(Q&A集のQ3-3-2参照)。

1. 発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)について

わが国の特許制度においては、特許出願より前に公開された発明は原則として特許を受けることはできません。しかし、刊行物への論文発表等によって自らの発明を公開した後に、その発明について特許出願をしても一切特許を受けることができないとすることは、発明者にとって酷な場合もあり、また、産業の発達への寄与という特許法の趣旨にもそぐわないといえます。

このことから、特許法では、特定の条件の下で発明を公開した後に特許出願した場合には、先の公開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定、すなわち発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)が設けられています。

2. 発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続

発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、

  • (1)出願と同時に、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出し、
  • (2)出願から30日以内に、発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを証明する書面を提出する、

必要があります。

平成30年の特許法改正によって発明の新規性喪失の例外期間が6か月から1年に延長されたことに伴い、新たに「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」、及び「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」を作成・公表しました。これらは、平成30年改正後の特許法第30条の適用対象となる特許出願に適用されるものです。

原則として、出願日が平成30年6月9日以降である特許出願が、平成30年改正後の特許法第30条の適用対象となります(ただし、平成29年12月8日までに公開された発明について特許出願する場合には、改正後の特許法第30条の適用対象となりませんので、ご注意ください。)。詳細は、以下の「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」のiii、ivページを参照してください。

また、証明書の押印及び署名の廃止に伴い、「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」、及び「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」を改訂しました。さらに、旧氏併記に対応し、「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」を改訂しました。これらは、公表前に出願済みの出願にも適用されます。

職務発明制度に関して、特許法第35条第3項が適用される場合(原始使用者等帰属)であっても、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます(参考:大学等の皆様へ)。

参考情報

  1. 特許法第30条に関する審査基準については、第III 部 第2 章 第5 節 発明の新規性喪失の例外(PDF:255KB)をご参照ください。
  2. 平成30年改正前の特許法第30条に関する手続きについては、以下の「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」、及び「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」をご参照してください。
     
    ※平成30年改正前の特許法第30条に関する手続きについても、証明書の押印及び署名は廃止されます。また、証明書の記名も、出願人のうち少なくとも1人で足りることとします。証明書における押印及び署名の廃止と出願人の記名については、「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」、及び「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」をご参照下さい。

3. 発明の新規性喪失の例外規定についての注意

発明の新規性喪失の例外規定については下記の点で注意が必要です。

  • 発明の新規性喪失の例外規定はあくまでも特許出願より前に公開された発明は特許を受けることができないという原則に対する例外規定です。仮に出願前に公開した発明についてこの規定の適用を受けたとしても、例えば、第三者が同じ発明を独自に発明して先に特許出願していた場合や先に公開していた場合には、特許を受けることができません

例:特許出願と学会(論文)発表の時期

  • 海外への出願を予定している場合には、各国の新規性喪失の例外規定にも留意する必要があります。各国の国内法令によっては、自らの公開により、その国において特許を受けることができなくなる可能性もあります
  • 公開された発明が複数存在する場合において、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとするときは、それぞれの公開された発明について、適用を受けるための手続をする必要があります
  • 平成30年の特許法改正に伴い、特許法を準用する実用新案法についても考案の新規性喪失の例外期間が6か月から1年に延長されます

[更新日 2024年9月10日]

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