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起業家のとあるアイデアが、研究室の発明が、知的財産として権利化され、新たな事業が誕生する…
世界中に広がる発明品や、世界に名だたる企業が数多く誕生した日本。
そして今、情報ネットワークが地球全体を覆いつくし、企業の経済活動が国境の枠を越えて拡がり続ける現代社会にあって…
特許庁が目指しているのは、世界最高の知的財産立国の実現。
そのために、特許庁は、世界最速・最高品質の審査の実現、知的財産システムの国際化の推進、地域を支える中小・ベンチャー企業への知財支援に取り組んでいます。
1884年に商標条例、1885年に専売特許条例が制定。
以降130年以上にわたり、日本の産業財産権制度は時代の変化とともに発展し続けてきました。
特許出願件数が急増する中、特許庁は、事務処理の円滑化などを目的にペーパーレス計画を推進。1984年には、その財政基盤を確立するために、一般会計から分離し、独立の財源である特許特別会計を設置しました。1989年には、インテリジェント機能を備えた現在の特許庁庁舎が完成。1990年には、世界で初めて電子出願システムを導入しました。
さらに1999年には、インターネットで特許情報にアクセス可能なサービスを開始しました。
2002年には、知的財産基本法が制定。日本を知的財産立国とするための基礎が定められました。
2004年には、特許審査の迅速化に必要な措置を行う法律改正をすると共に、一次審査通知までの期間を、10年後に世界最高水準の11か月を達成するという目標が掲げられました。
一次審査までの期間を短縮するために、2004年度から、毎年約100人の任期付審査官を採用し、総勢490人の審査官を増員することで審査体制を強化。
また、先行技術調査には民間活力も活用。民間の調査機関による先行技術調査の件数を年間20万件以上に拡大させるなど、特許審査の効率化に取り組んできました。
その結果、2014年3月に、一次審査までの期間を11か月とする長期目標を達成しました。
そして今、特許庁は、世界最速かつ最高品質の知財システムの実現という新たな目標を設定し、取組を開始しました。
経済産業省の外局である特許庁は、知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を所管し、それらの審査、審判を行っています。
さらに、特許庁は知的財産施策の企画立案にも取り組んでいます。国際的な制度調和や途上国・新興国支援等の国際協力、中小企業等に対する支援、特許情報提供、制度改正などを、産業の発達に向けて積極的に進めています。
実体審査を経た安定性のある意匠権の付与によりグローバルな製品展開を支援
意匠公報をはじめ、雑誌・カタログ・インターネットに掲載された国内外の意匠を調査。関連分野の出願をまとめて審査することで、迅速に、安定性のある意匠権を設定。無審査国を含む海外における意匠権の信頼性も高めます。
法律と技術の知識を駆使し審査を遂行
五千万件以上の特許文献や学術論文をデータベース化。広範な先行技術調査と的確な判断により、国際的に信頼される質の高い特許権の設定を迅速に行い、企業のグローバルな事業展開を保障。発明の保護や利用を図り、発明を奨励し、イノベーションを促進します。
実体審査を経た安定性のある意匠権の付与によりグローバルな製品展開を支援
意匠公報をはじめ、雑誌・カタログ・インターネットに掲載された国内外の意匠を調査。関連分野の出願をまとめて審査することで、迅速に、安定性のある意匠権を設定。無審査国を含む海外における意匠権の信頼性も高めます。
時代の風を捉え、一貫性・客観性を有する審査を実施
法令に加え、最新の商取引の実態や、国内外の諸制度を踏まえ、安定して使い続けられる商標権を設定。ブランドの保護育成及び消費者の消費活動の円滑化に貢献します。
豊富な経験と高度な知識で、適正・公平な審理を実現
高度な専門性と十分な審査実務経験を有する審判官で構成される合議体により、徹底的に議論。
地裁に代わる第一審としての機能を適切に果たします。
審査官・審判官は、法律や実務を学ぶための法令により定められた研修や、指導審査官による実務指導などの体系的な育成プログラムを通じて、基礎的な知識を習得しています。
また、職員すべてのさらなるスキル向上のために、技術研修・語学研修・法律研修・海外留学の制度も充実しています。
日本の審査結果は、国際的にみて品質が高いとの評価を得ていますが、さらに世界最高品質の審査の実現に向けたさまざまな取組を行っています。
例えば、審査の品質管理の基本原則を示す「品質ポリシー」を策定するとともに、審査の品質管理やその実施体制からなる品質管理システムを文書化し、これらに従った品質管理に取り組んでいます。
また、外部有識者による委員会を設置して、専門家の視点から、品質管理の実施体制や実施状況について、客観的に評価していただき、その改善点についても提案をいただいています。
特許庁はこのように、迅速に高品質な権利付与を行うための取組を実施しています。
企業活動のグローバル化の進展に伴い、世界各国での権利取得はますます重要になっています。
そこで、特許庁においては、我が国における迅速かつ高品質な知財システムをグローバルな知財システムにつなげるための取組を進めています。
我が国特許庁は、複数の国または地域での安定した強い特許権の効率的な取得を支援する取組として、特許審査ハイウェイを提案しました。特許審査ハイウェイは、ある国で特許権を取得することが可能と判断された出願について、出願人の申請により別の国で簡便な手続で早期に審査を受けられる枠組みです。
2006年に、世界初となる特許審査ハイウェイを米国との間で開始しました。今では、欧州、アジア太平洋、中南米等の30以上の国または地域が特許審査ハイウェイの枠組みを取り入れており、全世界における特許審査ハイウェイの申請件数は、確実に増加しています。
また、特許庁は、WIPO、五大特許庁会合、日中韓会合等の国際会議での議論を通じて、制度調和の議論などの国際協力を積極的にリード。制度ユーザーを交えた国際シンポジウムなどを開催し、ユーザーの意見もききながら、議論を進めています。
さらに、アジア、アフリカ、中南米等の途上国・新興国とも協力関係を構築。研修生を受け入れたり、WIPOジャパンファンドを通じて途上国や新興国の知的財産制度の整備を支援するなどして、貿易・投資環境の改善に寄与しています。
特許庁では、国内の基盤を支え、地域経済を担う中小企業や新規産業の創生が期待されるベンチャー企業に対して幅広い知財支援を行っています。
日本の全都道府県に「知財総合支援窓口」を設置し、中小企業が経営の中で抱える知財に関する相談にワンストップで対応しています。
また、中小企業の権利取得を支援するために、特許料などの減免制度や、外国出願費用、模倣対策費用を補助する補助金制度を設けて資金面からの支援を行ったり、知財戦略や管理に役立つ情報あるいは海外の知財制度に関する情報を提供するなどして情報面からの支援も行っています。
そして、特許庁職員が中小企業を個別訪問したり、知的財産制度説明会を実施したりして、知的財産制度や支援策の普及活動を行っています。
技術情報の集積である特許情報へのアクセス性を高めることは、企業等の研究開発を促進するために重要です。
特許庁は、インターネットで誰でもアクセス可能な特許情報提供サービスを整備しています。また、中国語や韓国語の特許文献を日本語で検索可能なサービスを提供しています。
特許庁は、世界最高の知財立国の実現に向けて、イノベーション創出を促す知財システムの強化に取り組みます。
これまでも、そして、これからも特許庁は、時代とともに進化しながら、産業の発達を支え続けてまいります。