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こんにちは。キャスターの木村久美です。
これから、商標に関する情報をお伝えしてまいります。解説は峰剛一さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
さて、さっそくですが商標とは、
『これは私達の会社が作った商品だ!』ということを消費者に伝えるためにつけられている名前やマークのことです。
峰さん、商標にはいろいろなタイプがあるそうですが?
商標にはいくつかのタイプがあり、文字だけ、図形だけ、あるいは文字と図形を組み合わせたのもの。記号からなるものや、立体的なものもあります。
さらに、商標法が改正され、音や動きといった従来になかった商標の保護も開始される予定ですが、これについては、「新しいタイプの商標の概要編」で詳しく紹介していきます。
私たちの身の回りではたくさんの商標を目にしますね。番組取材班が街に出て調査してまいりました。
街に一歩出てみると、商標があふれています!
私たちは商標に囲まれて生活しているといっても過言ではありません。
商標の働きについても調査をしました。
ラベルに付いているロゴマークとか商品名で探しています。
新商品はどこが出してるかは気になりますね。ロゴマークを見て、有名な所なら大丈夫かなという感じがします。
いつも同じメーカーになっちゃいますね。ラベルとかパッケージとかを見て同じものを頼んじゃう。
まあ、見たことないメーカーだと買わないかな。
商品名とかメーカー名とか、見たり聞いたりして知ってるものを選ぶことが多いです。その方が何か安心な気がするんです。
なるほど、みなさんロゴマークや商品名を目安にして商品を探しているんですね。
峰さん、商標についてもう少し詳しく教えていただけますか?
VTRにもあったように消費者は商品を買ったりサービスを利用する時、「名前」や「マーク」を一つの目印として選んでいます。つまりモノを選ぶ際に商標で判断することが非常に多い訳です。
商標の主な働きはここにあります。
『同じマークが付いていれば、同じ生産者や販売者が出しているものである』ということを示しているわけです。
私たちは無意識のうちに、商標によって、誰が作った商品かを見分けているということですね。
そうです。同じマークがついていたら、同じ品質の商品だということがわかり、どこのお店でも安心して買うことができます。これも商標の力です。
さらに、商品やサービスの信用を積み重ねることで、商標に対して「信頼がおける」「安心して買える」というブランドイメージが生まれてきます。
つまり、良い商品を提供し続けると、消費者はその商品に付いている商標自体に良いイメージを持つようになるというわけですね。
はい。商標は、テレビコマーシャルや雑誌の広告などでも大活躍で、商標はこうした働きから『物言わぬセールスマン』と言われています。
ところが、もし、商標を勝手にまねられて、品質が悪いものが出てくれば、消費者にとってその商標は「信頼できない」「安心できない」ということになり ブランドイメージは低下してしまいますね。
この商品やサービスに付ける「名前」や「マーク」、すなわち商標を財産として守ってくれるのが「商標権」という知的財産なのです。
商標権についてもう少し詳しく説明いただけますか?
まず、商標を使う際に、他の人の商標と同じ又は似たネーミングを、同じ又は似た商品に使った場合、その商標が登録されていると商標権の侵害にあたり、訴えられる可能性があります。
逆に言えば、商標を登録しておけば、商標権に基づいて保護され、他人の同じ又は似た商標が同じ又は似た商品に使用された場合に使用の差し止めや損害賠償を請求することができるのです。
自分の商品を守るためには、商標を登録しておくことが大切です。
商標登録の重要性について説明いただきましたがそれでは、実際の登録はどのようにすればいいのでしょうか?
商標を登録するためには、特許庁に出願をして、審査を受けることが必要です。
まず、登録を受けたい商標と商標を使う商品やサービス、出願人の名前などを書いた『商標登録願』を作成します。 特許庁への提出は、パソコンからインターネットまたは、郵送や直接特許庁の窓口に提出することができます。出願にあたっては、出願料という手数料が必要となります。
その出願を受けて特許庁の審査となるわけですね?
はい。出願があると、特許庁ではまず書類に不備がないか審査を行います。その後、出願された商標が登録できるかを審査し、「登録査定」となった場合は、登録料を払うと商標登録され、商標権が発生します。
逆に、登録が認められなかったものについては、審判を請求することができます。
他人の出願について意見を出す機会はあるのですか?
はい、他人の出願が登録になったけれど、これに納得がいかない、 という場合には登録異議の申立てや、無効審判という制度があります。
そして、商標権についてもうひとつ重要なことがあります。
なんでしょうか?
それは、商標とその商標を付けた商品やサービスは、セットで考えなければならないということです。
特許庁に出願するときにも、商標を付けて販売する商品や提供するサービスを予め指定して記載することが必要です。
「サービス」のことを商標法では「役務(えきむ)」と言いますが、指定した商品を「指定商品」、指定したサービスは「指定役務」と言います。
商標権は、その「指定商品」「指定役務」を基にして権利の範囲が決まります。
「指定商品」について例をあげると飲料メーカーの場合、そのブランドのロゴが商標で、提供する商品の種類が「指定商品」となります。一方、ホテルの場合ですと、利用者に提供する「泊まる場所や快適な空間」といったサービスが「指定役務」となります。
なるほど。
商標を出願する際は「指定商品」もしくは「指定役務」の記載が必要となるんですね。
それでは登録できるものとできないものについて教えていただけますか?
まず、自分の商品と他の人の商品とを区別できないものは、商標として登録することはできません。
どのようなものでしょう?
たとえばイチゴですが、商品の普通名称や特徴を表す言葉は登録できません。
普通名称や特徴を表す言葉ですか?
例えば、イチゴに「イチゴ」や「新鮮」とつけても商標にはなりません。
なぜならこの場合、「イチゴ」は商品の普通名称ですし、「新鮮」はイチゴの特徴を表す言葉だからです。
ところが、自転車に「イチゴ」とつければ、自転車の普通名称や特徴を表す言葉ではないので、商標として機能することになります。
なるほど。
他に商標登録で注意しておきたいことはありますか?
国旗や赤十字のマークのように公共性の高いマークと似ているものは商標として登録することは出来ません。
また、同じ又は似た商標で、その商標を使う商品やサービス同士も似ている場合は一番早く出願した人に登録が認められます。
ところで商標に期限はあるのですか?
登録された日から10年です。ただし、何度でも更新することができます。
また、使っていない商標は登録を取り消されることもあるので、注意が必要です。また商標権の効力は日本国内のみとなります。
海外でも商標を登録したいと思った場合はどうしたら良いんでしょうか?
海外へ出願するには二通りの方法があります。
まず、出願したい国の商標を管轄する官庁に直接出願する方法があります。この方法だと、出願したい国ごとに手続きをする必要があります。 もう1つがマドリッド協定議定書に基づいて特許庁に出願する方法です。こちらは、一度の手続で複数国での権利取得が可能になります。
なるほど。
海外への出願を含め、実際に商標の出願するために、どのような書類を用意したらよいか、あるいは何を書けばよいか、細かいことが出てくると思うのですが?
特許庁では出願書類の作成方法についてホームページで紹介しているので、そちらを参考にしてください。
また、各県に設置されている知財総合支援窓口で相談を受け付けており、工業所有権情報・研修館でも、一般的な質問について、電話や窓口での相談を受付けています。その他専門家である弁理士に相談するという方法もあり、日本弁理士会のホームページから、弁理士ナビを利用して、弁理士を探すことができます。
それでは、最後に商標登録をして、商標権を得るとどのような利点があるのかまとめてみましょう。
商標権のメリットを整理すると商標権を持っていれば、商標を独占的に使えるだけではなく、「他の人が同じ又は似た商標を、同じ又は似た商品・サービスに使うこと」 を禁止することができます。
また、商標権は日本全国に及ぶ権利で、商標権を侵害する人に対し商標の使用差し止めや、損害賠償を請求することができます。
さて、商標の基本とその大切さなどをご紹介して参りましたがいかがでしたでしょうか?
商標登録をご検討の皆様、登録についてはご案内した窓口にお気軽にご相談ください。
峰さん、ありがとうございました。
商標について最新情報をお届けしている「商標チャンネル」、今回は、新しいタイプの商標の導入に関する情報をお届けします。
近年、デジタル技術の発達を背景に、言葉の壁を越えたブランディング戦略として、テレビやインターネットなどでブランドイメージを伝えるケースが増えてきました。
しかし、従来の制度では商標は『文字や図形や立体的形状など』が対象となっています。「動く図形」や「色彩」や「音」などは、商標として保護を受けることができません。
一方で、世界に目を向けると、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国、オーストラリアなどでは、音や色彩を商標として保護しています。 このような新しいタイプの商標の保護が世界的な流れとなっているわけです。
そこで日本でも新しいタイプの商標の保護制度が導入されることになりました。
峰さん、今回導入されるのはどのようなタイプの商標になるのですか?
今回導入される新しいタイプの商標としては動き・ホログラム・色彩・音・位置の5タイプとなります。
すでに海外で新しいタイプの商標を登録している日本企業があります。
この企業は「音」を商標として登録しているそうです。新しいタイプの商標について、この企業を例に見てみましょう。
久光製薬サウンドロゴ
CMなどで耳にするこの音。サウンドロゴと呼ばれるこの音を海外で商標登録しているのが久光製薬です。
商標はブランドだという認識をもつ久光製薬。商標にはブランドとして企業や商品のイメージをアピールする象徴としての役割があるのだと考えています。
ブランド価値の象徴というものが商標なんですよ。
やはり商標を見てそのブランドが確かかどうかというものを判断するものですから、そういった意味でもやっぱり商標というものはブランド、これを作り上げる、維持して行くためには大事な知的財産。
やはりそのブランドを分かってもらう、知ってもらう、そのために商標というのは非常に大事な象徴と言うかシンボルになるんですよね。
ブランド価値を伝える商標。
その商標にはコミュニケーションツールとしての役割もあると考えています。そして、技術の進歩にともなうコミュニケーションの多様化により音や動きなどを商標として保護することが重要であると考えています。
私はやはり今や商標というのはコミュニケーション、企業とお客さんのコミュニケーション機能、これを持っていると思いますよね。
ご承知の様に最近ではインターネットが普及したり、勿論テレビとかラジオとかそういった媒体がたくさん増えてきました。
そういったことを考えますと、やはりその動きだとか音だとか、そういうのも商標としての機能をする、所謂コミュニケーション機能というんですかね、それがやはりできるようになりましたね。
グローバルな事業展開を行う久光製薬。その為、サウンドロゴを商標登録して保護することは重要なことでした。
音商標とかは宣伝広告等によって使う商標じゃないですか。(広告宣伝のためには)たくさんのお金が、莫大なお金がかかるわけですよ。
それを継続して使用する為には商標権という制度できちんと権利化しないと安心して使えませんよね。そういった意味でもやはり新しい商標制度というのは必要だと思いますね。
宣伝広告には多額のコストがかかります。だからこそ久光製薬では、音や動きといった新しい商標についてもきちんと権利化して真似をされないようにすることが重要だと考えています。
さらに、真似をされないということ以外にも、大きな効果があると考えています。
真似されないがために商標権というものを取らなくちゃいけないと。まあ確かにそれは一方ではそういう考え方は大事です。しかしやはりあの、商標、本当の商標の本質を考えると、やはり実施権というものが私は本当に大事じゃないかなと思うんですね。
商標権という独占権を取る事によって、企業は安心して商品やサービスを提供できるわけですよ。もしそういった実施権がなければ、堂々と商品を展開する事はできないんですよね。
だから実施権というものがあるからこそ安心して商品を提供したり、また、莫大な費用を使って宣伝広告が出来るわけですね。そういう風に考えています。
登録する事で自分たちの商標を何処でも使え、安心して事業を展開できる。こうした商標をきちんと権利化し、新しいタイプの商標についても積極的に活用することが、企業にとってますます大切になるのだと久光製薬では考えています。
新しいタイプの商標についても積極的に活用されていますね。
そうですね。VTRにもありましたが、現在、様々な形の商標が現れてきています。
これらの新しいタイプの商標を保護する制度を積極的に活用していくことが企業にとって非常に重要になるのではないでしょうか。
さて、それでは新しいタイプの商標制度について詳しくお伝えしたいと思います。
スタジオに特許庁の佐藤さんにお越し願いました。佐藤さん、よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
早速ですが、今回導入された新しいタイプの商標制度について、どのようなものが新しいタイプの商標として登録できるのか教えていただけますか?
はい。まず、従来の商標法では、商標登録できるのは「文字」「図形」「記号」「立体的形状」もしくはこれらを組み合わせたもの又はこれらと色彩とを組み合わせたものに限られていましたが、先ほど峰さんもおっしゃていたようにそれらに加えて「動き」「ホログラム」「色彩」「音」「位置」についても商標登録ができるようになりました。
なるほど、今回の制度では5つのタイプが新しい商標として登録できるわけですね
それぞれについて、詳しくご説明いただけますか?
まず「動き」についてお願いします。
はい、「動き商標」としては、動く文字や図形などを商標として登録することができます。
CMなどで見かけることが多いかと思いますが、時間の経過に伴って、文字や図形などが変化するものが保護の対象となります。
続いて、ホログラムはどのようなものですか?
「ホログラム」とは、例えば、こういったもののことです。
ホログラム商標としては、図形等が見る角度によって変化して見えるものなどを商標として登録することができます。
「色彩」も商標登録できるそうですが、どのようなものが商標として登録できるのですか?
そうですね、従来から文字や図形に色がついているものは商標登録できたのですが、「色彩のみからなるもの」も商標登録できるようになりました。
例えば、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩のようなものが挙げられます。
また、単色だけでなく、色彩を組み合わせたものも「色彩のみからなる商標」の保護の対象となります。
例えば、セブン-イレブンは、豪州で、白を背景にオレンジ色、緑色、赤色の三本の平行線の組み合わせでの色彩商標の登録を受けています。
続いて「音」の商標についてですが?
「音」とはCMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音などです。
例えば、「windowsの起動音」もアメリカなどでは商標登録されています。
「位置」というと中々想像がつかないのですが、どのようなものですか?
「位置商標」とは、図形などが商品の特定の位置に付されているもののことをいいます。
例えば、非常に簡単な図形であっても、常に商品の同じ場所に付されていることで、消費者が特定の企業の商品であると認識するようなものがあげられます。
ここまで説明して頂いた、5つの新しいタイプの商標を実際に出願する際に気をつけておくことはありますか?
はい。「新しいタイプの商標」を出願する場合、出願書類には、従来の項目に加えて、次の項目を記載する必要があります。
まず、どのような「新しいタイプの商標」なのかがわかるように、 「音商標」や「色彩のみからなる商標」などの商標のタイプの記載が必要となります。
また、新しいタイプの商標を説明するための「商標の詳細な説明」を記載しなければなりません。
なお、「音商標」については「商標の詳細な説明」は記載不要となりますが、 楽譜又は文章を商標登録を受けようとする商標の欄に記載の上、 音源データの添付も必要となります。
新しいタイプの商標の権利範囲は、これらを考慮して定められることになります。
「新しいタイプの商標」を登録するために必要な料金も、いままでと変わりますか?
いえ、新しいタイプの商標であっても、従来の商標と同じ料金で登録することができます。
新しいタイプの商標について説明して頂きましたが最後に、これらの商標の保護制度の導入によってどのような効果が考えられますか?
はい、従来のタイプの商標と同じように新しいタイプの商標についても、商標登録することによって、侵害行為に対する差止めや損害賠償の請求といった権利行使が可能となります。
また、「マドリッド協定議定書」の仕組みを利用して複数国への一括出願が可能となりますので海外での商標登録が、今までより容易になるという効果が考えられます。
新しいタイプの商標を登録することで安心してブランド戦略の幅を広げることができるわけですね。
そうですね、企業の知的財産を守る商標制度となりますので皆さんに活用して頂ければと思います。
新しいタイプの商標についてお伝えしてまいりました。解説は特許庁の佐藤さんでした。
ありがとうございました。
商標について最新情報をお届けしている「商標チャンネル」,今回は地域ブランド育成を応援する商標「地域団体商標」についてご紹介しましょう!
皆さんは「地域ブランド」という言葉をご存知でしょうか?現在、全国各地で、特産品を地域のブランドとして知名度を上げ、地域を活性化しようとする動きが盛んになっています。
地域ブランドには、地域名と商品やサービスを組み合わせたネーミングが多くありますが、これらを早期に保護し、価値を守ることで地域ブランドの育成をサポートする制度があるそうですね?
それが「地域団体商標」という制度なんです。
地域ブランドにも農産品、水産品、畜産品、工芸品、温泉など多彩な分野がありますが多くの団体が、すでに「地域団体商標」の登録をしています。
「商標」ということは地域ブランドを「商標」として登録できるということですか?
そのとおりです。
通常の商標と同じく、この地域団体商標制度によって、登録を受ければ無断で商標を使用された場合や、よく似たブランド名を使われた場合には、使用差止や損害賠償を請求できます。
なるほど、地域のみなさんが大切にしている地域ブランドを守ってくれる制度なんですね。
はい。そして「地域団体商標」は地域ブランドを守るだけではなく地域の活性化など、様々な効果を生み出すメリットもあります。
すでに地域団体商標として商標権を取得した事例が多くあります。実際に地域団体商標を登録し地域ブランドの育成に取り組む方々を紹介しましょう。
地域団体商標 登録事例 黒川温泉
大切な名前を守る 黒川温泉観光旅館協同組合
熊本県、阿蘇山の北にある黒川温泉。
全国屈指の人気温泉地として知られています。黒川温泉では地域の旅館が一丸となり「街全体が一つの宿」としてイメージを作ってきました。
自分が産まれた所でもあり、皆さんそこで生活して祖先からつないでいく温泉地ですから、誇りを持てるような物をというのが原点にあります。
黒川温泉の人気が高まるとともに名前の模倣、無断使用が多くなりました。
そこで黒川温泉観光旅館協同組合は「黒川温泉」を地域団体商標として出願し、商標登録されました。
相当な効果がありました。商標登録することによってブランドイメージが保証される訳です。名前を勝手に使ってはいけないと、こちらが言えばそれに応対するというような事になってきましたね。
「日本のふるさと」「癒し」というイメージから全国の温泉ランキングで常に上位をしめる黒川温泉。
地域団体商標により、ブランドに対する意識も変化しました。
ブランドを磨いていくという皆さんの意気込みが芽生えて来たというのが1番の収穫ではなかったかと思います。
黒川温泉がお客様に対するサービス、おもてなしにしろ恥ずかしくないおもてなしをしようという意識が生まれたんじゃないかなと思いました。
地域団体商標は、地域が大切に築きあげてきた「黒川温泉」というブランドを守り、ブランドの向上にも効果を発揮する、地域の財産を次世代につなげる役目を持った制度なのです。
地域団体商標 登録事例 豊岡鞄
ブランドの向上と組合の活性化 兵庫県鞄工業組合
兵庫県豊岡市。鞄作り千年の歴史を持ち、カバンの全国生産80%のシェアを占めています。
豊岡市にある兵庫県鞄工業組合は、新しい販路開拓のために「豊岡鞄」を地域ブランドとし、育成に取り組んできました。
積極的な活動を行うなか、平成18年4月1日から地域団体商標制度がスタート。
「豊岡鞄」が地域団体商標として商標登録されたことで組合の活動が活性化されたと言います。
何かそういうシンボリックみたいなものがないと活動がしにくかったですね。
実際組合全体としても毎年毎年数が減る一方だったんですけど、ブランドを取ってから豊岡鞄のブランドをやりたいとか、まだ出来ないけど色んな勉強がしたいと新しく入ってくる組合員さんが毎年何軒かずつ出来ています。
地域団体商標により、ブランドの信用度が 向上しました。
「豊岡鞄」というブランドを活用して 企業の下請などから、自らメーカーにステップアップ する組合員も現れました。
OEMから自社のブランドを作ってみたいと、そこを豊岡鞄のブランドを使うことによってステップアップしやすくなる。当然、展示会等もされていたので、低予算で自社の製品、開発したものを表舞台に出すことが出来る企業がとってるブランドだとなかなかそうはいかないんですけど、組合がとってる地域ブランドでもあるので、本当に自信を持ってお勧めできる、これらは商標を取ってるということに関係していると思います。
地域団体商標を活用することで、地域ブランドのイメージの向上だけではなく、組合の活性化とともに売上げも増加しました。兵庫県鞄工業組合は将来を見据え、若手育成の学校を開校するなど「豊岡鞄」の更なる発展のための取り組みを続けています。
地域団体商標 登録事例 東川米 大雪旭岳源水
地域一体となって町おこし
東川町農業協同組合
北海道、大雪山のふもとに広がる人口、八千人足らずの東川町。
道内では米どころとして知られておりこの町にある東川町農業協同組合は東川米と大雪旭岳源水、2つの地域団体商標の登録を受けています。
この登録をすることによって全国から、東川のお米が食べたいんだと、何処に行ったら買えるんだと、というメリットもありましたし、お米には水がつきものなんですが、実は東川はですね、全町民が地下水で生活をしています。北海道で唯一、地下水で生活しているっていう部分は非常に珍しいと。
町民以外の方も、非常に興味を持たれて東川に移り住んでくる。地域自体が活性化しているという風に思います。
もともと地域内の絆が強い東川町でしたが地域団体商標によって組合の垣根を越えてさらに一体感を増し、地域全体が活性化されました。
今回お米と水が地域団体商標という国のお墨付きを頂いた事で、更にこの勇気と元気を頂いたお陰で、また皆がこの結束を固めた中で、更にこの地域の魅力を町民皆が営業マンとなって頑張ろうと、そんな気持ちが更に湧いてきたということにおいては本当に有り難い、地域団体商標、と感じていますね。
生産者の顔写真のシールや、独自の厳しい基準を設け絶えず品質の維持・向上を続けてきた「東川米」。
地域団体商標によって、ブランドに対する責任感が一層強まりました。
やはり地域ブランドということで登録された以上はこれから消費者の方に求め続けられるようなお米作りをこれからもしていかなきゃいけないのかなっていうのが、このブランドかなという風に思います。
地域団体商標は地域ブランドを守るだけではなくブランドの普及にもつながります。 さらに、東川町の魅力が周囲に伝わり、町外から移り住んだり、飲食店を開業する人も増えるなど地域団体商標は町おこしにも一役買っています。
地域団体商標を登録した事例を3つご紹介した訳ですが。
そうですね、どの組合も地域団体商標として商標登録することによって様々な効果をあげていました。
登録した方々へのアンケート調査やヒアリングの結果からも、地域団体商標を活用することで様々な効果が期待できることが分かります。
まず、商品サービスの売上げ、又は取引価格の上昇。他にも模倣品対策。品質の維持・向上。商品・サービスの宣伝とイメージ向上。さらに、組合のモチベーション向上が効果としてあげられています。
地域団体商標には幅広い効果が期待できるんですね。それでは、登録を受けるにはどのようにすれば良いのでしょうか?
通常の商標登録と同様に、大きくは「出願」「審査」「登録」という流れになりますが地域団体商標の登録では、出願する際に4つの大きなポイントがあります。
まず、1つめのポイントは、【出願人となれるのは誰か】です。
これまでは登録主体となれるのは事業協同組合などに限られていましたが、平成26年の商標法改正により、平成26年8月1日から商工会、商工会議所及びNPO法人についても地域団体商標登録の出願が可能となりました。なお、個人、株式会社、地方自治体、社団法人や任意の協議会などは出願することはできません。
2つめのポイント、地域団体商標として認められるブランド名についてですが。
はい。【地域団体商標として認められる商標の構成】は3つあります。
1つめは、「地域の名称」と「商品又はサービス」の普通名称の組合せです。
2つめは、「地域の名称」と「商品又はサービス」の慣用名称の組み合わせ。
3つめは、「地域の名称」と「商品又はサービス」の組み合わせに「商品の産地やサービスの提供の場所を表すためによく使われる言葉」が追加された構成です。
つづいて、地域団体商標の登録、3つめのポイントです。
3つめは【地域団体商標で使う地域の名称】です。
地域の名称が、商標に使用する商品又はサービスと密接な関係があるものでなければなりません。
地域団体商標を出願する際には、「地域の名称」が提供場所や主要な原産地、製法の由来地など「商品やサービス」との関係がはっきりするように記載することが必要となります。
それでは4つ目のポイントについて解説をお願いします。
4つ目は【広く知られている】ことです。
地域団体商標の登録を受けるためには、商標が実際に商品やサービスに使用されており、広く知られていることが必要となります。
これらはどのように証明するのですか?
はい。出願する際に、団体又は団体の構成員が商標を使用していることを証明する写真やパンフレット、商標として広く知られていることを証明する出荷伝票や新聞記事などの資料を提出する必要があります。
地域ブランドの価値を高めるためには、その品質を向上させ消費者の信頼を獲得することが大切です。これが全国的な知名度の獲得にもつながります。
地域団体商標に関する様々な情報や出願手続きについては特許庁のホームページに詳しく紹介されていますので、こちらも参考にして下さい。
地域団体商標制度について説明してまいりました。
地域団体商標は皆さんの地域ブランドをサポートし、その価値を守り、高めるための有効な制度です。皆様もこの地域団体商標制度を、是非ご活用下さい。
峰さんありがとうございました。