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平成16年1月
特許庁
各答の詳細については、「法令・基準」内の「基準・便覧・ガイドライン」に掲載されている「意匠審査基準」「意匠登録出願等の手続のガイドライン」「意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き」を参照してください。
問1.部分意匠の願書は、全体意匠の願書とどこが違うのですか?
問4.例えば、【背面図】に実線部分が表れないときは、【背面図】を省略することができますか?
問7.図を描く領域が狭く、実線部分がとても小さくなってしまいます。どのように記載したらいいですか?
問9.模様のみを、部分意匠として意匠登録を受けることができますか?
問10.「孔」の形状について、部分意匠として意匠登録を受けることができますか?
問11.部分意匠の意匠分類は、どのように付与されているのですか。また、部分意匠のみを検索することはできますか?
問12.図形の内側に破線部が記載されているとき、審査ではどのように取り扱われますか?
問13.実線部分の「位置、大きさ、範囲」が少しでも異なると非類似となるのですか?
問14.「その他の部分」は、類否判断の際にどのように取り扱われますか?
問15.全体意匠と部分意匠は、本意匠と関連意匠として意匠登録を受けることができますか?
【答】以下の2点を除いて、基本的には同じです。
【答】図面作成の基本は全体意匠と同様に、立体を表す場合には、原則「正投影図法」により、【意匠に係る物品】全体の形状の【正面図】【背面図】【平面図】【底面図】【左側面図】【右側面図】を作成し、一般には、「意匠登録を受けようとする部分」を実線とし、「その他の部分」を破線で描きます。
【図面作成例】
【答】〔図1〕のような立体において、上半部分について部分意匠として意匠登録を受けようとする場合、〔図2〕のような記載では、境界線が不明確で当該部分を特定することができません。
このように「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」との境界にしたい箇所に実線が存在しない場合には、「境界を示す線」として一点鎖線等を用いて境界を明確にしてください。そして、願書の【意匠の説明】の欄には、例えば、「一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」と記載してください。
【一点鎖線を使用した部分意匠の作図例】
【答】部分意匠の出願図面についても、「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」の記載方法が規定されている以外、提出が必要となる図面については、一般の規定が適用されます。
したがって、部分意匠の出願においても、図の省略が認められるのは、意匠法施行規則様式第6備考8又は10に規定される同一又は対称である場合の一方の図の省略等に限られており、基本的に「その他の部分」を表す破線のみの図であることを理由として図を省略することはできません。
創作のベースとなった物品における、当該部分の創作の価値を評価する部分意匠においては、出願図面によって、「意匠登録を受けようとする部分」が、創作のベースとなった物品全体の中でどのような位置、大きさを、範囲を占める部分であるかを明らかにすることが必要です。
そのために、創作のベースとなった物品の全体を開示することによって、その中でどのような態様となる部分について意匠登録を受けようとする出願であるかを明示することが必要であり、全体の開示がない場合は、意匠が具体的でないものとなります。
※平成23年8月1日以降の意匠登録出願については、以下を御参照ください。
意匠審査基準
第7部 第1章 部分意匠 71.2.2 部分意匠の意匠登録出願における図面等の記載(PDF:497KB)
意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き
第2部 部分意匠の表し方 2.3(8)「その他の部分」のみが表れる図を省略する場合(PDF:1,180KB)
【答】部分意匠においても、「意匠登録を受けようとする部分」(実線部分)の表面の凹凸形状が、【正面図】等の一組の図面で表現できないときは、全体意匠と同様に、当該部分の【断面図】を作成しなければなりません。
なお、部分意匠の【断面図】の切断面には、例えば、一組の図面において実線で表された「意匠登録を受けようとする部分」及び破線で表された「その他の部分」について、意匠法施行規則様式第6備考5及び15に基づき、約0.2mmの太さの平行斜線を引きます。このとき、平行斜線は、「意匠登録を受けようと する部分」と「その他の部分」とで、例えば、実線と破線により描き分ける必要はありません。
一方、外形線については、「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」とを、例えば、約0.4mmの太さの実線と破線により描き分けることをお勧めします。
(注)「その他の部分」の切断面に引かれた平行斜線が実線ではなく破線によって表されているもの、あるいは平行斜線を表していないもの等であっても、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて総合的に判断した場合に、断面を表す表現方法の錯誤であると認められ、断面形状を当然に導き出すことができるものである限り、切断面の表現方法が不十分であることをもって意匠が不明確であるとはしません。
【断面図の記載例】
また、原則、図面における「意匠登録を受けようとする部分」の特定については、一組の図面において「意匠登録を受けようとする部分」が特定されており、かつ、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法が願書の【意匠の説明】の欄に記載されていなければなりませんが、部分意匠の意匠登録出願において「意匠登録を受けようとする部分」を特定する場合に、一組の図面の他に【断面図】を加えないと作図上当該部分を特定できない場合には、一組の図面に 【断面図】を加えて当該部分を特定することができるものとしています。
その場合には、意匠登録出願の際に願書の【意匠の説明】の欄に、例えば、「断面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」旨記載することを奨励しています(意匠審査基準71.2.2参照)。
【答】創作のベースとなった物品全体に対する、「意匠登録を受けようとする部分」の大きさは、部分意匠として認められるか否かの判断において、直接の要件とはなりません。
部品として権利取得ができない分離不能な部位の創作についても、意匠登録を受けることができるようにするのが部分意匠導入の意義であり、当該物品の部分に創作が認められ、その形態が明らかであれば、部分意匠の創作のベースとなる物品との関係で、占める割合が小さいことだけをもって、部分意匠として成立しないということはできません。
ただし、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が微細であるために、肉眼によってはその形態を認識することができないものについては、意匠登録を受けることができません(意匠審査基準71.4.1.1.3(1)参照)。
【答】「意匠登録を受けようとする部分」の形状について、物品全体の図のみでは十分に表せない場合には、全体意匠の出願の場合と同様に、【部分拡大図】を加えることによって詳細を示します。
※部分意匠における【部分拡大図】については、以下を御参照ください。
意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き
第2部 部分意匠の表し方 2.3(4) 部分意匠における【拡大図】について(PDF:1,180KB)
【答】原則、「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」を含む、部分意匠の意匠に係る物品全体の形態に、願書の「意匠に係る物品」の欄に記載された物品の区分に属する物品を認識するのに必要な最低限の構成要素が少なくとも明確に表されていなければなりません(意匠審査基準71.2.2(4)参照)。
【答】部分意匠といえども、物品の形態でなければなりませんので、例えば、繊維製品のあらゆる物品(ティーシャツ、靴下、ネクタイ、ハンカチ等)に表すことを目的とした花びら模様を創作したときに、図面に実線で花びら模様のみを描き、【意匠に係る物品】の欄に「繊維製品に表す模様」として部分意匠の意匠登録出願をしても、意匠登録を受けることができません(審査基準71.4.1.1.1(2)参照)。
意匠登録を受けられない事例
この場合には、下記のように意匠登録を受けたい物品ごとに、部分意匠として意匠登録出願をしなければなりません。
【答】「孔」あるは「切り欠き部」自体は、空間であって物品の外観とはいえませんが、「孔」あるいは「切り欠き部」を囲む壁面を「意匠登録を受けようとする部分」とし、結果として、「孔」あるいは「切り欠き部」について、部分意匠として意匠登録を受けることが可能です。
【「孔」の形状に関する部分意匠の図面作成例】
【答】部分意匠については、【意匠に係る物品】の欄に記載された物品の区分及び「その他の部分」をも含んだ物品全体の形状、模様等にしたがって、全体意匠と同様に意匠分類が付与されています。
なお、特許庁ホームページに掲載されている「特許電子情報図書館」においては、「意匠公報テキスト検索」又は「日本意匠分類・Dターム検索」により、部分意匠のみを検索することができます(ただし、「意匠公報テキスト検索」は、2000年以降に発行された意匠公報掲載の部分意匠のみが対象)。
例えば、「意匠公報テキスト検索」では、願書の【意匠の説明】の欄に必ず部分意匠の特定方法に関する記載があることを利用して、検索画面の「意匠の説明」の欄に「部分意匠」と入力してテキスト検索することにより、ある特定の意匠分類が付与された部分意匠のみを検索することができます。
【答】例えば、下記の図の壁板のように図形の内側に破線部が記載されている場合には、一般に、図形中の破線等によって表された位置に、形状等を特定しない部分(下記の事例では、部分意匠として意匠登録を受けようとしない、形状を特定しない窓)を有する意匠として取り扱われます。
そして、「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」との境界は、破線部の外縁にあるものとして取り扱われます。
したがって、下記の事例では、「意匠登録を受けようとする部分」は、[図1]のように平板長方形状壁板において正面部中央左寄りに破線で表された長方形状(薄墨を施した部分)を除いた部分となります。
【答】位置、大きさ、範囲は、当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであればほとんど影響を与えない、と考えられています(審査基準71.4.2.2.1(5)参照)。
【答】まず、審査官は、例えば、実線で描かれた「意匠登録を受けようとする部分」と破線で描かれた「その他の部分」とを、当該【意匠に係る物品】を認識するための基礎としています。
次に、破線で描かれた「その他の部分」に基づいて、「意匠登録を受けようとする部分」の「位置、大きさ、範囲」を認定しています。
ただし、「その他の部分」の形態のみについては対比の対象としませんので、ほとんどの場合、「その他の部分」の形態の相違が類否判断に直接影響を与えることはありません(審査基準71.4.2.2.1(5)参照)。
【答】全体意匠と部分意匠は、本意匠と関連意匠として意匠登録を受けることができません(審査基準71.9参照)。
【答】例えば、部分意匠の意匠登録出願と認められる場合に、願書の【部分意匠】の欄を削除して、全体意匠の意匠登録出願とする補正、逆に、全体意匠の意匠登録出願と認められる場合に、願書に【部分意匠】の欄を追加して部分意匠の意匠登録出願とする補正は、出願当初の意匠の要旨を変更したものとして却下となります(審査基準71.10.3参照)。
[更新日 2014年4月18日]