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株式会社RingsCare
そう語るのは、RingsCare代表の大平智祉緒さん。彼女が提供するのは、単なるメイクセラピーではなく、看護の本質であるケアリングと、“美整容”を通じた継続的な関わりによって生活全体を向上させる、新しいケアのかたちです。
メイクセラピーは、心理カウンセリングの手法を取り入れたメイクアップ技術で、外見を整えることでメンタルケアを行うもの。一方、“Rings Care”は、美しくなることを目的とするのではなく、寄り添い、肌に触れ、お肌を整え、ほんの少し彩りを添える——そのプロセスを大切にしながら、継続的に関わることで、その人らしさを引き出し、生活の質を向上させるケアです。
「認知症で鏡を見るのを嫌がっていたお年寄りが、肌を優しく整えられることで安心し、やがて自分で眉を描いたり、口紅を塗ったりするようになる。そうした変化を見逃さず、日常のケアに活かしていく」と大平さん。
美しさを取り戻すことは、その人らしさを取り戻すこと。そして、尊厳を取り戻すこと。それが“Rings Care”の考えるケアの本質です。
大平さんが“Rings Care”を立ち上げた背景には、ターミナルケアの現場での忘れられない経験がありました。
ある患者さんが亡くなった際、親友が「口元の産毛を剃ってあげてほしい」と涙ながらに頼みました。それまで外見に気を配っていなかったように見えた患者さんですが、大切な人の目には、もっと彼女らしい姿があったのかもしれない。大平さんはそう感じたといいます。
また、認知症の患者さんに看護学生がマニキュアを塗ってあげたところ、普段は表情を変えないその方が、きれいになった爪をじっと見つめ、嬉しそうに微笑みました。その瞬間、大平さんは確信しました。「誰にでも、最期まで自分らしく生きてほしい。そのために、美しさをケアの一部として当たり前にしたい」と。
こうして、“Rings Care”は誕生しました。
大平さんは当初、「Nursing & Beauty Care」として事業をスタート。しかし、「美容」という言葉の印象が先行し、医療現場での受け入れは容易ではありませんでした。
そこでI-OPENプロジェクトを通じ知財の専門家と出会い、考えたのが“Rings Care”という名称。「人のつながりを大切にし、ケアの輪を広げる」という想いを込め、商標登録しました。
「商標を持つことで、自分のやるべきことが明確になり、活動の軸が定まりました。『美しさ』は単に外見を飾るものではなく、その人の尊厳やアイデンティティに深く関わるものです。それを伝えるために、“Rings Care”というブランドを育てていきたい」と大平さんは語ります。
“Rings Care”では、画一的なメイクではなく、利用者一人ひとりの人生に寄り添うケアを大切にしています。
「どんな仕事をされていたのか」「ご家族との関係は」「どんな趣味を楽しんできたのか」——そうした背景を大切にしながら、その方にふさわしい整容を提供します。
大平さんは、「メイクとは、その人の物語を見つけること」と言います。
“Rings Care”が目指すのは、メイクセラピーを超えた、新しいケアリングのかたち。
“美整容”をツールに、その人らしさを大切にするケアを、これからも広げていきます。
2019年、訪問型看護美整容ケアサービスを事業化。2023年、株式会社RingsCare設立。また、看護師を中心とした根拠に基づく外見ケア研究会を発足させ、ケアとしての化粧の教育と啓発にも取り組む。
【知的財産活用】
療養中や要介護の方に美容ケアを届ける訪問型看護美整容ケアサービスを展開。特許庁I-OPENプロジェクトに参画し、弁理士のアドバイスのもと、“Rings
Care”の商標権を取得。(商標登録第6641760号)
【I-OPEN】
株式会社RingsCareは、特許庁I-OPENプロジェクトで支援した企業です。特許庁I-OPENプロジェクトは、スタートアップ企業、非営利法人、個人等が、知財やビジネスに精通した専門家の伴走支援を受け、知財を活用しながら、社会課題解決を目指すプロジェクトです。
URL:https://www.i-open.go.jp/
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