ここから本文です。
小嶋織物株式会社
京都府南部に位置する木津川市。温暖で水や緑が豊かなこの土地の伝統産業が織物です。
18世紀から続く歴史あるこの織物業で、今、知財を活用した新たな挑戦が行われています。
その主役が、糸づくり・製織から最終製品までの一貫体制で織物ふすま紙と織物壁紙を製造販売している小嶋織物株式会社です。
織物ふすま紙・織物壁紙において小嶋織物はトップシェアを誇っています。
一方で、ライフスタイルの変化に伴う和空間の減少や、ビニル壁紙の定着などによって市場は急速に縮小し、伝統産業が途絶えてしまうのではないかという危機感も生じています。
この危機に新たな道を開くために立ち上がったのが、取締役の小嶋恵理香さん。
東京のテレビ番組制作会社で3年間活躍した後、父親が3代目社長を務める小嶋織物に入社しました。そのとき、26歳。
華やかなテレビ業界から伝統の織物産業へ、大きなキャリアチェンジでした。
「里帰りして小嶋家の集まりに参加したとき、小嶋織物と親戚を守るのは私だと思いました」と小嶋さん。
入社後、検査業務に携わって製品を間近で見たことで、織物の素晴らしさに改めて気づいたそうです。そして人が人を思うような温かい空間に、同社の壁紙が使われたら、との思いを強くしました。
小嶋織物が自分の代で途絶えることは決してあってはならず、そのためにも小嶋織物が持つ技術をしっかりと伝承していきたいという強い決意が湧いてきたそうです。
現在一般的な壁紙の99%は塩ビ製。伝統的な壁紙市場の危機という現実と、伝統の技術を確実に次の代へ受け継いでいきたいという想いの中で始まったのが、新たな壁紙の開発を通じた、新たな市場の開拓でした。小嶋さんが取り組んだのは、小嶋織物の伝統技術と林撚糸株式会社の導電繊維に関する先端技術を融合させること。誕生した導電性織物壁紙は『光る』というまったく新しい特性を持った壁紙です。
伝統工芸から生まれた未来の壁紙であり、これまでになかった『面』として輝く機能には、設計者やデザイナーの多様なアイデアによって様々な用途が期待されています。
小嶋さんが感じていたのは、織物ふすま紙・織物壁紙が建築資材の一部として使われていることへの疑問。ふすま紙は古来よりお殿様の愉しみとして空間を彩るアートでした。そうした魅力を人々に伝えつつ、導電性の壁紙という新たな商品を通じて、忙しい日々の中ふと壁面を感じることで楽しんだり癒されたり、そんな一瞬を与えられる空間への可能性に挑んでいます。
今後は博物館のようなショールームの立ち上げ、オープンファクトリー戦略などを実施して広くアピールしていく考えです。
18世紀から受け継がれてきた伝統の技術と、先端技術の組み合わせによって誕生したまったく新しいタイプの壁装。
知財が伝統産業を守り、新たな発展へと導いていくことが期待されています。
1932 年創業の京都府木津川市に拠点を置く織物メーカー。麻・綿・レーヨン糸を使用し、織物ふすま紙や織物壁紙を一貫生産する。先染め糸を活かした高品質な製品や特注品にも対応し、デザイン性と機能性を両立。特許技術の知見を活用した導電性織物壁紙の開発にも取り組む。伝統技術と最新技術を融合し、新たな市場を開拓することを目指している。
【関西デザイン経営プロジェクト】
小嶋織物株式会社は、令和5年度の関西デザイン経営プロジェクト事業で支援した企業です。関西デザイン経営プロジェクトは、(1)デザイン経営の普及・啓発、(2)デザイン経営の導入支援、(3)デザイン経営による地域中小企業の共創を通じて、モデル事例の形成と地域の活性化を促進する事業です。
URL:https://www.kansai.meti.go.jp/2tokkyo/10design_keiei/design_top.html
展示紹介ムービーはこちら >
別ページでYouTubeが開きます。(外部サイトへリンク)
知財のチカラ事務局
support@chizainochikara.jp
平日
10:00~18:00(土日祝日を除く)
メディアの皆様へ
本イベントに関するお問い合わせは、
下記連絡先までお願いいたします。
特許庁 「明日を変える知財のチカラ」
メディア事務局