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大分県立大分工業高等学校
この不思議な形の⼩さな機械は、⼤分県⽴⼤分⼯業⾼等学校の⽣徒たちがつくった⽔⼒発電機(⽔⾞)です。⽔陸両⽅に使えて、固定設置を必要とせず、持ち運び可能、災害時にも活⽤できるという特徴があり、その技術で特許を取得しています。
⽔⾞製作のきっかけは、地域の⼥⼦⾼校⽣が通学路の夜道で危険な⽬にあったことでした。
「⾃分たちと同じ⾼校⽣が困っている。⼯業の⼒で解決できないか」そう考えた⽣徒たちは、学習の⼀環としてこの課題に取り組むことにしました。そして通学路の近くを流れる⽔路を利⽤して⽔⾞で発電し、その電⼒で灯る防犯灯を設置することを発案しました。こうして「DAIKO
⽔⾞プロジェクト」がスタートしました。
どんな⽔⾞を製作するか模索し、現地を調査する中で、⽣徒たちは早速壁にぶつかります。
⽔利権の関係で、⽔⾞を簡単には設置できないことがわかったのです。しかし常設でなければ⽔利権の制約を回避できます。
そこで⽣徒たちは、持ち運び可能な「携帯型⼩型⽔⾞」というアイデアを思いつきました。
2022年6⽉に試作機第1号ができ、早速実験を⾏いました。⽔⾞は回転し電灯も点灯したものの、防犯灯として利用するためには明るさが不⼗分でした。その原因を探り、試⾏錯誤をしながら改良・試作を重ねていきました。
学習を進める中で、有識者から「今の⽔⾞では⽔害時に川に近づけず、発電もできない。災害時にも安全に発電する仕組みにする必要がある」と助⾔を受けました。難題でしたが、⽣徒たちは何とか⽔⾞を完成させたいという思いを強くします。そして、⼤学や専⾨家の協⼒も得ながら、トライ&エラーを繰り返し、試作機第3号となる「⽔陸両⽤型の⾃⽴式⽔⾞」を開発しました。
これを⽂部科学省、特許庁、⽇本弁理⼠会及び
INPIT(独⽴⾏政法⼈⼯業所有権情報・研修館)が主催する「令和4年度パテントコンテスト」に応募したところ、独創性、完成度及び実施可能性が⾼く評価され、優秀賞を受賞しました。そしてコンテスト主催者のサポートを受けながら、特許出願・取得することができたのです。
特許技術は無償で開放し、社会のさまざまな⽅⾯で実⽤化されることを⽬指しています。例えば、松江⼯業⾼等専⾨学校(島根県)と共同研究を⾏い、⽔⾞に太陽光発電、⽊炭蓄電池をプラスしたハイブリッド発電機の開発に取り組んでいます。またアフリカ・ケニアの無電化地域で、ハイブリッド発電を活⽤し、⼦どもたちの夜間の学習環境を整えるプロジェクトも進める予定です。
「暗い通学路を明るく照らして安全にしたい」という地域の課題解決から始まったプロジェクトは、SDGs・脱炭素社会実現へと⾶躍しています。現在、⽔⾞発電は最⼤9.6ワット、太陽光パネルとのハイブリッドにより
24時間発電も可能になりました。決して大きな発電量ではありませんが、賛同者が増え⽔⾞の輪が広がれば、⼤きな⼒になるはずです。次代を担う若者たちが、知財を⼒に、より良い未来を創ろうとしています。
⼤分県⼤分市。「技術の道で未来をひらく」を掲げ、機械、電気、電⼦、建築、工業化学、⼟⽊の分野で教育を⾏う。探究的な学習に重点を置き、知的財産教育にも⼒を⼊れ、⽔⾞以外にも⽣徒による特許取得実績がある。
【知的財産活用】
⽔陸両⽤の⾃⽴式⽔⾞の技術で特許取得(特許第 7314433 号)。
特許を無償で提供し、学校や企業などとの共創により社会実装を⽬指す。
【知財⼒開発校⽀援事業】
⼤分⼯業⾼等学校の⽔⾞プロジェクトは、INPIT
の知財⼒開発校⽀援事業の⽀援を活⽤したプロジェクトです。知財⼒開発校⽀援事業は、⾼校及び⾼等専⾨学校での知財学習の取組を、活動経費とノウハウの両⾯で⽀援する事業です。
URL:https://www.inpit.go.jp/jinzai/educate/chizairyoku/info.html
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