ここから本文です。

2025年大阪・
関西万博特設サイト
明日を変える知財のチカラ

ロゴ

  • 株式会社シモジマ

魚たちに安全な未来を



増え続ける海洋プラスチックごみ

2050年の海は、魚よりプラスチックごみの方が多くなる ──。
とてもショッキングな予測です。
プラスチックごみの原因は、名前の通りプラスチック製品。レジ袋、ペットボトル、お菓子の袋、カップ麺の容器、洗剤のボトルなど、身の回りにあふれている様々な製品が捨てられ、ごみとなり、海にたどり着いて海洋プラスチックごみとなります。
もちろん日本に暮らす私たちにとっても人ごとではありません。
それどころか日本人のプラスチックごみ廃棄量は、なんと世界2位。
プラスチックごみによる海洋汚染の大きな責任を背負っていることになります。
海中のレジ袋をクラゲと間違えて食べて死んでしまったウミガメのニュースに私たちは心が痛みますが、その原因の一端が私たちにあることも事実なのです。


きっかけは高校生からの1本の電話

そんなプラスチックごみの問題に真正面から取り組んでいるのが、株式会社シモジマ。レジ袋や紙袋などの包装資材を製造・販売している同社では、魚が口に入れたら吐き出してしまうレジ袋を開発しました。
「当社にかかってきた、高校生からの1本の電話がきっかけでした」と同社の佐藤元一さん。
「『魚が嫌うレジ袋を考案したので、レジ袋を製品化してほしい』というご相談でした。私は直接電話をくださった方には必ず会うことをポリシーにしています。この電話からも強い熱意を感じました」(佐藤さん)


魚が嫌うレジ袋

電話をかけてきたのは、「魚が元気に過ごせる社会を取り戻したい」と活動を続けていた当時高校1年生の4人組、洗足学園高校(神奈川県川崎市)のFISHレスキュー隊でした。
「魚が苦みを嫌う性質に着目し、レジ袋の原料にデナトニウムという物質を混ぜることを思いつきました。デナトニウムは世界で最も苦いとされる物質です」と、FISHレスキュー隊の山﨑柚芽さん。
「これを混ぜることで、海洋生物が間違ってレジ袋を食べてしまっても、すぐに吐き出す仕組みです」。
このアイデアが高く評価され、日本政策金融公庫が主催する高校生ビジネスプラン・グランプリで準グランプリを受賞。
グランプリ最終選考のための実証に向けてレジ袋を作りたいと様々な検討を進める中でたどり着いたのが、シモジマでした。 そして日本ポリエチレン株式会社の協力のもと、レジ袋にデナトニウムを配合することに成功。魚が口に入れても吐き出すことが実証されました。その後、海洋で水と二酸化炭素に分解する海洋生分解性のレジ袋の開発に挑戦することになり、三菱ケミカルグループ株式会社と株式会社キラックスとシモジマの3社共同で開発に成功しました。
FISHレスキュー隊の発想に驚き、実現への熱意に応えたいと、ともに汗をかいた結果です。


知財を活用し普及を目指す

“ENERFISH”(エネルフィッシュ)には、魚を手で守るマークが印刷されています。このマークは、FISHレスキュー隊がベースを考えシモジマがデザイン化したもので、同社はこれを独自のロゴマークとして商標を取得しました。
「魚を守る」というメッセージがダイレクトに伝わるマークは、人々の環境への意識を掘り起こすと同時に、環境問題に取り組むシモジマの認知を広げ、賛同する企業との新たな協業もスタート。 “ENERFISH”のほかにも、廃棄予定の漁網を使ったゴミ袋の共同開発、PETの循環型リサイクルなどの取り組みも進んでいます。
そして現在は、 “ENERFISH”に続き、鹿が誤食しても胃の中で数週間のうちに分解がみられるレジ袋“ENERBAMBI”(エネルバンビ)を開発しています。


志があれば道は開ける

高校生のアイデアが“ENERFISH”としてカタチになる経緯には、I-OPENを通じて特許・意匠・商標全般についてのサポートがありました。 FISHレスキュー隊の皆さんの「こんな未来を実現したい」という想いと、その想いを汲み社会実装まで実現したシモジマの取り組みにより、魚たちの未来はきっと明るくなるはずです。

FISHレスキュー隊

洗足学園高等学校の生徒が発足した4人組のチーム。海洋プラスチック汚染問題の解決を模索する中で、「魚が吐き出すレジ袋」のアイデアを着想。東京工業大学(現:東京科学大学)や株式会社シモジマと連携し、サンプル開発に成功。「高校生ビジネスプラン・グランプリ」で準グランプリを受賞。現在はそれぞれ別の大学に進学しながら環境保全に関する活動を継続中。


株式会社シモジマ

1920年に創業した包装資材の専門商社。浅草橋に本社を置き、包装用品、店舗用装飾品、食品包材、事務用品などを扱う。包装資材を販売するチェーンストア「シモジマ」や「パッケージプラザ」などを、全国に260店舗以上展開しているほか、ECサイト「シモジマオンラインショップ」も運営。


【知的財産活用】
レジ袋“ENERFISH”の商品名とロゴマークの商標取得(商標登録第6613513号、商標登録第6738104号)
さらにレジ袋“ENERBAMBI”の商品名とロゴマークも商標取得(商願2025-077789号、商標登録第6738103号)


【I-OPEN】
FISHレスキュー隊と株式会社シモジマは、特許庁I-OPENプロジェクトで支援した団体・企業です。特許庁I-OPENプロジェクトは、スタートアップ企業、非営利法人、個人等が、知財やビジネスに精通した専門家の伴走支援を受け、知財を活用しながら、社会課題解決を目指すプロジェクトです。 URL:https://www.i-open.go.jp/

トップへ戻る

お問い合わせ

知財のチカラ事務局

support@chizainochikara.jp
平日 10:00~18:00(土日祝日を除く)

メディアの皆様へ
本イベントに関するお問い合わせは、
下記連絡先までお願いいたします。

特許庁 「明日を変える知財のチカラ」
メディア事務局

media@jpoexpo.com
ページトップへ