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Synflux株式会社
アパレル企業が集まる東京・原宿。この地で「FASHION FOR THE PLANET(惑星のためのファッション)」をビジョンに掲げ、ファッションデザインのソフトウェアや新素材の研究・開発などを行うのが、Synflux株式会社です。
「私たちは衣服というより、サスティナブルな衣服を生産するための技術をつくっているんです」
そう話すのは、同社代表で、大学時代からサスティナブルなファッションについて研究を続けている川崎和也さん。川崎さんはファッション業界に、どのようなイノベーションを起こしているのでしょうか。
ファッション産業でしばしば取りざたされるのが、大量生産、大量消費、そして大量廃棄の問題です。その中で川崎さんが着目したのは、生産工程で大量に発生する廃棄物の問題でした。
「人間の体は丸みを帯びています。一方、洋服の材料である布は四角く平面です。四角い布を丸い体に合わせるためには、不要な部分を切り落とすしかない。その結果、15%から30%もの端切れ、つまり資源の無駄が生じてしまいます。それを焼却処分する際の環境負荷も見過ごせません」
そこで同社は、“Algorithmic Couture”(アルゴリズミック・クチュール)という技術を開発しました。アルゴリズミックは、「アルゴリズム的な(問題を解決するための手順や計算方法)」の意味で、クチュールは「仕立て」というフランス語。つまり「問題を解決するための仕立て」です。
具体的には、これまで人間の手で行ってきた型紙づくりに、AIと3Dテクノロジーを活用。人間の体にフィットしながらも、廃棄を最小化した型紙を自動生成する技術です。
“Algorithmic Couture”(アルゴリズミック・クチュール)は、ファッションの持続可能性を高めるアプローチとして、アパレル企業や有名ブランドからも注目されています。
例えば、2022年に株式会社ゴールドウイン(東京都港区)との共同プロジェクトをスタート。その一環で、廃棄量を従来の3分の1まで低減させた「THE NORTH FACE」ブランドのジャケットが発売されました。また、ここ「大阪・関西万博」、「未来の都市」パビリオンのカナデビア株式会社のスタッフユニフォームも、「NEUTRALWORKS.」ブランドとの共同プロジェクトで開発されたもので、“Algorithmic Couture”(アルゴリズミック・クチュール)の技術が採用されています。
「画期的な技術だからこそ、1社で独占しない。たくさんの企業が使ってくれることでインパクトが生まれるんです」
独自技術“Algorithmic Couture”(アルゴリズミック・クチュール)が、さまざまなファッション企業やブランドで実装されることで、一歩ずつ、ファッション業界がサスティナブルなものへと変わっていきます。ファッション産業を製造現場から変えていく、川崎さんの挑戦は続きます。
次代のファッションをつくりだす思索的デザインラボラトリー。デジタル技術を活用し、持続可能な未来を目指す研究開発や社会実装に従事している。Kering Generation Award Japanファイナリスト、第41回毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞、H&M Foundation Global Change Award アーリー・バード特別賞など受賞多数。
【知的財産活用】
洋服の製造工程で廃棄される端切れを減らすため、体にフィットする型紙を自動製作するシステム(特許第7240059号、特許第7242110号、商標登録第6606346号)を開発。複数の有名ブランドが同システムを活用して製品の製造を行っている。
【I-OPEN】
Synflux株式会社は、特許庁I-OPENプロジェクトで支援した企業です。特許庁I-OPENプロジェクトは、スタートアップ企業、非営利法人、個人等が、知財やビジネスに精通した専門家の伴走支援を受け、知財を活用しながら、社会課題解決を目指すプロジェクトです。
URL:https://www.i-open.go.jp/
展示紹介ムービーはこちら >
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