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Vol.50
広報誌「とっきょ」2021年11月22日発行

注目のあの話題を徹底解説!

知財TOPICS

特許や意匠、商標など知財にまつわる注目の最新ニュースについて、内田・鮫島法律事務所の先生が分かりやすく解説!
今回は、松山市発祥の野球拳おどりと株式会社 明治「たけのこの里」のトピックについて解説します。

私が解説します!
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所のプロフィール写真

弁護士法人
内田・鮫島法律事務所

理学・工学系の経歴を持つ弁理士が多く所属。中小企業から、日本を代表するメーカーまで幅広い技術系企業の法務をはじめ、知的財産やIT法務などを専門的に行っている。

TOPIC 01松山市が発祥のお座敷芸「野球拳」を元にした「野球拳おどり」松山市と松山商工会議所が出願し、商標登録へ
松山市が発祥のお座敷芸「野球拳」をもとにした「野球拳おどり」

愛媛県松山市発祥のお座敷芸「野球拳」が元になった「野球拳おどり」の名称について、松山市と松山商工会議所が商標出願を行い、8月26日付で登録に至った。「野球拳おどり」は夏の松山まつりで披露されることでも知られている。地域名を含む特産品の名称と違い、地域名を含まない踊りの名称が商標登録に至ることは珍しい。

解説
「野球拳おどり」の商標登録のハードル
野球拳おどり

商標法には、地域名+商品・サービス名の商標(例:「米沢牛」など)について、商標登録のハードルを下げる地域団体商標という制度があります。しかし、「野球拳おどり」には地域名が含まれていないため、地域団体商標ではなく、通常の商標として出願され、登録されました。

「野球拳おどり」と聞くと、大正時代から受け継がれた松山市独自の伝統芸能であると容易に識別できることなどから登録が認められたものと考えられます。地方公共団体が地域ブランド関係の商標を出願することはありますが、その中でも比較的珍しいケースであるといえるでしょう。(文責:市橋景子)

TOPIC 02明治「たけのこの里」の形状が立体商標として登録
例外的な制度を利用することで実現
明治「たけのこの里」の形状

「たけのこの里」は1979年に販売開始されて以来、幅広い世代から支持を集めているロングセラー商品。以前の商標出願の際は、「商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものである」として拒絶されたが、消費者に長年親しまれていることを証明し、7月21日付で登録へ。人気を二分する「きのこの山」は2018年に立体商標に登録されている。

解説
ロングセラーの実績が登録を後押し

通常、商品の形状自体は立体商標として登録できませんが、例外として、長年の使用により、その形状自体が他の商品と区別可能な場合は登録が認められます。「たけのこの里」は、その例外ケースに当たります。

登録までの審査では、テレビCM、新聞広告の他、アンケート調査で回答者の89%が「たけのこの里」の形状だけで商品名を回答した結果を提出。全国的な知名度が認められ登録に至りました。お菓子の立体的形状に関する過去事例と比べ、本商標はロゴなどを含まないシンプルな形状で登録が認められた点に注目です。商品の魅力とロングセラーとしての実績が登録を後押ししたといえます。(文責:山口建章)

「きのこの山」の商標に関するエピソードはとっきょVol.40をチェック!

たけのこの里
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