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Vol.57
広報誌「とっきょ」2023年8月8日発行

INFORMATION

特許庁からのお知らせ

グリーン・トランスフォーメーション(GX)技術における日本の存在感の大きさが特許情報分析により示唆されました

産業革命以来の化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換する、「グリーン・トランスフォーメーション(以下GX)」を実行することが求められています。このたび、特許庁は、このGXに関する技術(以下GX技術)について、各国・地域の出願動向を概括するために、特許庁が作成したGX技術区分表(GXTI)を用いた網羅的な調査を初めて実施しました。その結果、GX技術全体で見ると、国際的に展開された発明の件数において、日本が最大であることが示されました。また、太陽光発電、建築物の省エネルギー化(ZEB・ZEH等)および二次電池などの分野での価値の高い発明の創出において日本が強みを有することが示唆されました。

①背景

特許庁はGX技術区分表(GXTI)を2022年6月に作成・公表しました[図1]。このGXTIを用いてGX技術に関する特許情報分析を行うことで、各国・地域のGX技術の動向を可視化することや、各企業のGX技術分野でのポジショニングを客観的に把握することができます。また、GXTIを活用することで、企業は知財戦略などの立案や、投資家などに向けて自社の技術優位性をエビデンス・ベーストで示すことも可能です。このGXTIを用い、特許庁は網羅的な特許出願動向調査を実施しました。

図1GXTIの構造

GXTIの構造
②調査手法について

主に「発明件数」と「国際展開発明件数」の観点で分析。ある技術分野における「発明件数」を国籍・地域別または出願人別に分析することで、各カテゴリーごとの技術開発の状況を把握することができます。また、二つ以上の国・地域へ出願される発明は、1カ国のみに出願される発明に比べ、出願人自身にとって価値の高い発明と考えられるため、「国際展開発明件数」に注目することで、発明の価値や国際的な影響力を考慮した分析が行えます。

③調査結果の概要

GX技術全体の「発明件数」では、中国籍の出願人による「発明件数」が急増しており、2013年には日本国籍出願人による「発明件数」を超え最多となっていることが分かりました[図2]。一方で、日本国籍の出願人による「国際展開発明件数」は調査期間を通じて最も多くなっており、相対的に価値が高いと考えられる「国際展開発明」の件数で存在感を有しています[図3]。その他、本調査ではGXTIの技術区分別の調査も実施。一例としてGXTIの中区分「gxA01 太陽光発電」に関する調査の結果、当該分野では日本は価値の高い発明の創出において強みがあると考えられる一方、米欧も存在感を示していることが分かりました。

図2GXTIに含まれるGX技術全体における発明件数の年次推移

GXTIに含まれるGX技術全体における発明件数の年次推移

図3GXTIに含まれるGX技術全体における国際展開発明件数の年次推移

GXTIに含まれるGX技術全体における国際展開発明件数の年次推移
GXTIに基づく特許情報分析の結果概要

GXTIの詳細や、今回の調査・解析方法、結果の概要を特許庁HPにて公開しています。下記リンクよりご覧ください。

[URL] GXTIに基づく特許情報分析の結果概要/特許庁

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