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地域的な包括的経済連携(RCEP)協定における産業財産権分野の概要

2020年11月15日に署名し、2022年1月1日に発効した「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」(※)における産業財産権分野の概要をご説明します。

  • (※)2021年11月2日、RCEP協定の発効要件が満たされ、我が国及び寄託を終えたオーストラリア、ブルネイ、カンボジア、中国、ラオス、ニュージーランド、シンガポール、タイ、ベトナムの10か国について、2022年1月1日にRCEP協定が発効しました。その後、2022年2月1日に韓国、2022年3月18日にマレーシア、2023年1月2日にインドネシア、2023年6月2日にフィリピンについても発効しました。

【地域的な包括的経済連携(RCEP)協定における産業財産権分野の主な規定の概要】

(産業財産権分野の規定は第11章「知的財産」中に盛り込まれている。)

1. 手続の簡素化・透明化

(1) 国際協定(第11.9条)

各締約国は次の国際協定を批准し、又はこれに加入することを規定した。

  • 国際的に一括して特許出願を可能とする「特許協力条約」
  • 国際的に一括して商標登録出願を可能とする「標章の国際登録に関するマドリッド協定」

(※ただし、ミャンマーには本規定履行までの猶予期間が認められている。)

(2) 商標の出願手続の簡素化・透明化(第11.22条、第11.28条)

各締約国が次のものを提供することを規定した(第11.22条)。

  • 商標の処理、登録、及び維持のための電子的な出願のシステム
  • 商標の出願及び登録に関する公にアクセス可能なオンラインの電子データベース

(※ただし、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムには本規定履行までの猶予期間が認められている。)

また、商標の一出願多区分制度を導入することを規定した(第11.28条)。

(3) 特許の出願公開(第11.44条)

特許出願について、その出願日又は優先権が主張される場合には最先の優先日から18か月を経過した後、速やかに公開することを規定した。(※ただし、タイには本規定履行までの猶予期間が認められている。)

2. 知的財産の保護強化

(1) 商標権保護の強化(第11.26条、第11.27条)

悪意で行われた商標出願を拒絶・取消する権限について規定した(第11.27条)。(例えば、他の締約国において、日本企業が保有する周知商標と同一又は類似の商標についての出願が悪意で行われた場合には、当局が当該出願を拒絶する又は登録を取り消す権限を有することとなる。)

また、周知商標であると決定するための条件として、自国又は他国で商標として登録されていること等を要求してはならないことを規定した(第11.26条)。

(2) 商標・意匠の保護対象(第11.19条、第11.49条)

商標について、音商標が保護の対象となることを規定した(第11.19条)。(※ただし、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ベトナムには本規定履行までの猶予期間が認められている。)

また、意匠について、各締約国が次のいずれかのものが意匠としての保護の対象となることを確認することを規定した(第11.49条)。

  • 物品の一部に具体化された意匠
  • 物品の全体との関係において当該物品の一部について特別に考慮された意匠

(3) インターネット公知情報の先行技術・先行意匠としての認識(第11.45条、第11.50条)

各締約国が、インターネットにおいて公衆に利用可能とされた情報が特許における先行技術、及び意匠における先行意匠の一部を構成し得ることを認識することを規定した。

3. エンフォースメント強化

(1) 当局による損害賠償の支払い命令権限(第11.60条)

民事上の司法手続において司法当局が、知的財産権の侵害行為から生じた損害賠償の額を決定するに当たり、権利者が提示する合理的な価値の評価を考慮し、侵害者に対し損害賠償を支払うよう命じる権限を有することを規定した。

(2) 不正商標商品等の廃棄命令権限(第11.72条)と職権による輸入差止め手続の確保(第11.69条)

著作権侵害物品及び不正商標商品に対して、権限のある当局が廃棄命令権限を有すること(第11.72条)、及び職権で輸入を差し止めることができる手続を採用又は維持すること(第11.69条)について規定した。

協定のテキスト全文はこちら(外務省ホームページ)(PDF:外部サイトへリンク)

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[更新日 2024年2月16日]

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