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日英包括的経済連携協定における産業財産権分野の概要

2020年10月23日に署名し、2021年1月1日に発効した「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定」(日英包括的経済連携協定)における産業財産権分野の概要をご説明します。

なお、本協定では、日EU経済連携協定(以下、「日EU・EPA」という。)の規定をベースとしつつ、更に効果的に知的財産を保護し、利用の促進を図るべく、日EU・EPAよりも高いレベルの規定を導入しました。これを踏まえ、以下では、日EU・EPAとの主要な相違点についてご説明しています。

【日英包括的経済連携協定における産業財産権分野の主な規定の概要】

(産業財産権分野の規定は第14章「知的財産」中に盛り込まれている。)

1. 手続の簡素化・透明化

(1) 国際協定(第14.3条)

両国が締結済みである国際協定に定める義務を履行することについての約束を確認するとの規定において、日EU・EPAにおいて規定される国際協定に加え、特許法条約、商標法条約、商標法に関するシンガポール条約、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定、意匠の国際分類を定めるロカルノ協定、及び標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定が含まれることを規定した。

(2) 複数意匠一括出願の導入(第14.36条)

一の願書によって二以上の意匠の登録出願を認める複数意匠一括出願制度を導入する義務について新たに規定した。(※なお、本規定には導入までの猶予期間が認められており、我が国においては、複数意匠一括出願制度は2021年4月1日に施行予定。)

2. 知的財産の保護強化

(1) 悪意の商標出願の排除/外国周知商標の保護(第14.24条)

商標の登録の出願が悪意で行われた場合に当該商標出願を拒絶する又は当該登録を取消する権限を自国の権限のある当局に与える義務について、新たに規定した。また、当該規定において、他者の外国周知商標と同一又は類似の商標出願も、悪意の商標出願と判断された場合には拒絶・取消されることを明確化した。

(2) 特許権・意匠権保護のさらなる強化(第14.35条、第14.38条)

日EU・EPAに規定される特許・意匠の排他的権利に加え、特許の排他的権利に「輸出」(第14.38条)、意匠の排他的権利に「販売の申出」(第14.35条)が含まれることを規定した。また、意匠権の存続期間について、日EU・EPAでは「少なくとも20年」との規定であったところ、「出願日から25年の期間が満了する前に終了しない」ことを規定した(第14.35条)。

3. エンフォースメント強化

(1) 商標権を侵害するラベル・包装の使用に対する刑事罰義務化(第14.58条)

商標を付した模倣ラベル等とノーブランド商品を別々に製造・管理し、販売時にノーブランド商品に模倣ラベル等を貼付することでブランド商品の模倣品とするなどといった目的でのラベル等の使用や輸入を刑事上の制裁の対象とすることについて新たに規定した。

(2) デジタル環境における知的財産権の侵害に対する権利行使規定(第14.59条)

インターネットウェブサイト上での著作権侵害や、電子商取引プラットフォームやソーシャルメディアを通じた商標権の侵害を、民事上及び刑事上の権利行使手続の対象とすることについて新たに規定した。

協定のテキスト全文はこちら(外務省ホームページ)(外部サイトへリンク)

関連情報

外国産業財産権制度情報(特許庁ホームページ)

[更新日 2024年2月16日]

お問い合わせ

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