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2017年5月17日
日本国特許庁は、5月15日~16日に、第7回日アセアン特許庁長官会合、アセアン特許庁シンポジウム2017を石川県金沢市で開催しました。
今回の会合等では、アセアン各国における「知財ビジネス環境」強化の観点から、日アセアン知財協力の方向性を議論し、日アセアン知財共同声明、及び2017年度の日アセアン知財アクションプランに合意しました。
アセアンは、我が国からの輸出額が、米国、中国に次ぐ規模です。また、アセアンは我が国企業の海外現地法人数が増加している地域であり、我が国製造業企業の中長期的有望事業展開先国・地域のトップ10にアセアン10か国中5か国が入っています(※)。このように、アセアンは我が国企業の今後の事業展開先として非常に有望視されています。
一方、アセアンは、2015年にアセアン経済共同体(AEC)を設立し、本年2月に「アセアン知財アクションプラン2016-2025」を含む「AEC2025統合戦略アクションプラン」を公表し、知的財産保護環境の整備を一つの主軸として、アセアン地域の更なる発展に向けた取組を進めています。
日本国特許庁は、この機を捉えて、我が国企業のアセアンへの進出をさらに後押しするため、アセアン知的財産協力作業部会(AWGIPC)と連携し、「知財ビジネス環境」を強化する新たな日アセアン知財協力の方向性を模索してきました。
1. 日アセアン知財共同声明
日本国特許庁とアセアン各国知財庁との間で、協力体制の強化に加え、「アセアン知財アクションプラン2016-2025」を考慮した中長期の日アセアン知財協力の方向性を議論し、「日アセアン知財共同声明」を採択しました。
2. 2017年度の日アセアン知財アクションプラン
第7回日アセアン特許庁長官会合では、中長期の日アセアン知財協力の方向性を踏まえ、これまでの日アセアン協力を継続しつつ、新たな協力を取り込み、以下の計画を策定しました。
3. 各国との今後の協力
今回の日アセアン特許庁長官会合の期間中、日本国特許庁は、アセアン各国の知財庁長官等と会談し、各国の制度・運用の整備状況や課題に応じた二国間協力の強化を確認しました。
特に、インドネシア、ベトナムとの間では、日本との特許審査ハイウェイプログラム(PPH)の運用に係る支援強化、タイとの間では、新人審査官向けの研修支援の継続などについて意見交換を行いました。
アセアンに進出する企業関係者等を中心とする多くの聴衆が集まる中、「アセアンにおける知財ビジネス環境の現状と将来の発展」をテーマとしたシンポジウムを金沢で開催しました。
冒頭、谷本石川県知事よりご挨拶をいただくとともに、小宮日本国特許庁長官から、アセアン知財協力に関する講演を行いました。また、日本産業界、弁理士からもアセアンへの期待、要望に関する講演がなされました。
また、アセアン各国からは知財庁長官等12名が講演者として出席し、ビジネスの基盤になる各国の最新の知財制度に関して講演を行いました。
その後、日本産業界、弁理士も交え、将来の「アセアン知財ビジネス環境」について、アセアンにおける「迅速、的確な権利設定」、「知財情報の提供」、「エンフォースメントに関する取組」の観点から、パネルディスカッションを実施しました。
今回のシンポジウムを通し、企業を中心とする参加者には、急速に経済発展を遂げるアセアンの知財最新情報や今後のアセアン全体の方向性を掴む有効な情報を提供させていただきました。
日本国特許庁は、今回のような会合等の開催や、知的財産制度の整備を通じて、アセアン各国知財庁の取り組みを、今後も支援していきます。そして、我が国企業が、アセアンにおいて適切な知的財産権の保護を受けられるように貢献して参ります。
第7回日アセアン特許庁長官会合 in 金沢
アセアン特許庁シンポジウム2017 in 金沢
[更新日 2024年2月16日]
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