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アレキサンドリア会合(第22回 三極特許庁会合、2004年11月15日-19日)結果概要

I.開催日・場所

  • 2004年11月15日(月曜日)~19日(金曜日)
  • 米国特許商標庁 (バージニア州 アレキサンドリア)

II.参加者

  • 日本国特許庁 (JPO):小川長官、小野技監 他
  • 欧州特許庁 (EPO):ポンピドー長官、デサンテス副長官 他
  • 米国特許商標庁 (USPTO):デュダス長官、ピンコス副長官 他
  • オブザーバーとして世界知的所有権機関 (WIPO):アースリングPCT部長 他

III.三極特許庁会合とは

三極特許庁会合とは、USPTO、EPO及びJPOの各特許庁が、三庁に共通する課題を協力して解決することを目的とし、1983年から毎年開催しているものです。このたび第22回目の会合が開催されました。

IV.結果概要

1.サーチ・審査結果の相互利用の推進

三極特許庁では、増大する審査負担に協力して対処するために、各庁に重複してなされている特許出願について、サーチ・審査結果を相互利用することについて検討を行っており、2003年1月よりサーチ・審査結果の相互利用プロジェクトを行っています。

(1)サーチ・審査結果の相互利用プロジェクトの総括

1他庁のサーチ結果の利用が、審査の質の向上及び各庁の審査負担の軽減に効果があることを確認しました。特に、EPO及びUSPTOより、日本語特許文献のサーチの困難性が指摘され、JPOのサーチ結果の利用に対する期待が示されました。

2第2国出願の特許庁(第2庁)が利用できるように、第1国出願の特許庁(第1庁)のサーチ・審査結果がタイミングよく提供されることが望ましいという原則について三極特許庁で認識を共有しました。特に、JPOの一次審査結果がタイムリーに他庁に利用可能になることに強い要請がなされました。

3EPO及びUSPTOは、日本における早期審査制度及びPCTの普及促進に向けた活動について理解を示し、一層の活動強化を期待しました。

(2)今後の取組

1「特許審査ハイウェイ構想」の検討
第1庁で特許になった場合に、出願人の選択により、第2庁において簡素な手続で早期審査の申請が行えるようにし、第2庁で早期に特許取得を可能とする「特許審査ハイウェイ構想」について、JPOの提案に基づき三極特許庁で検討を行います。

2サーチ・審査結果を利用することに適した新たな制度的枠組みの検討
ヒルマールール及び米国特許法102条e項の言語差別規定の解消を前提としつつ、第1庁のサーチ・審査結果を利用することに適した新しい国際的な制度的枠組みの検討を行います。

3三極審査官会合
技術分野毎のサーチ・審査結果の相互利用の推進を行うために、2005年4月にJPOにおいて4分野での三極審査官会合を行うことを確認しました。

4戦略作業部会の開催

サーチ・審査結果の相互利用に関する様々な課題について重点的に検討を行うために、「三極戦略作業部会」を2005年2月又は3月にEPO又はUSPTOが開催します。

2.ドシエ・アクセス・システムの開発とその最大有効活用に向けた検討

三極特許庁は、各庁に共通する出願のサーチ・審査負担軽減と、出願人の手続負担軽減を目指して、各庁における審査手続書類(ドシエ情報)を他庁が利用できるドシエ・アクセス・システムの構築を図っています。

(1)ドシエ情報の機械翻訳

JPOから、日本語のドシエ情報を日英機械翻訳を利用して他庁審査官が英語で利用できるシステムをAIPN(Advanced Industrial Property Network)としてリリースしたことを報告し、USPTO、EPOは英語翻訳の精度向上のためのフィードバックをJPOに対して行うことを確認しました。
EPOは、独英、仏英等の機械翻訳システムの開発に着手したことを報告しました。
三極特許庁は、機械翻訳システムの翻訳精度向上について、今後も情報交換等の協力を行うこととなりました。

(2)米国における情報開示義務の手続負担の軽減

出願人の米国における情報開示義務の手続負担を軽減するために必要なJPO側とUSPTO側のドシエ・アクセス・システムの機能の開発を両庁が協力して推進することとなりました。また、他庁のドシエ情報を取り込む際のルールを併せて検討します。

(3)優先権書類の電子的交換

ドシエ・アクセス・システムを用いて優先権書類の電子的交換を行うことにより、出願人の優先権書類提出負担を軽減することを検討しています。そのために必要なデータ交換技術標準の検討を行い、2005年5月に開催予定の三極専門家会合において技術標準を確定することを目指します。

3.制度調和

三極特許庁は、特許制度を早期に調和させることの重要性を再認識し、WIPOで議論されている実体特許法条約の議論項目を絞って検討するとの三極合意パッケージを基に議論を続けます。

4.その他

(1)WIPOのPCT業務についての検討

三極特許庁は、WIPOにおけるPCT業務の一層の効率化の必要性を認識し、意見交換を続けます。

(2)情報普及ポリシー

日米欧の民間事業者団体から三極特許庁長官宛てに送付された、三極特許庁のインターネット・サービスに関するレターへの対処として、三極特許庁は、1今後ともインターネットを情報普及のツールとして活用すること、2民間事業者との対話を継続すること、で意見が一致し、この方針を三極ウェブサイト上で公表することを決定しました。

(3)新規先端技術ワーキング・グループの設立

ナノテクノロジーのような新たに出現する先端技術に対して、適切な審査のための対策を検討するために、新規先端技術ワーキング・グループを設立しました。

左からデュダスUSPTO長官、ポンピドーEPO長官、小川JPO長官

左からデュダスUSPTO長官、ポンピドーEPO長官、小川JPO長官

[更新日 2004年12月6日]

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