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平成14年11月
三極特許庁会合とは、米国特許商標庁、欧州特許庁及び日本国特許庁の各特許庁が、三庁に共通する課題を協力して解決することを目的とし、1983年から毎年開催しているもの。このたび第20回目を迎えた。幹事庁は三庁持ち回りで、今回は欧州特許庁の主催年であった。
会合期間のうち初日から3日間は予備会合、最終日を首脳会合として、近年の三極におけるワークロード(WL)問題の増大に鑑み、三極特許庁が各庁の現状及び三極協力の将来戦略に関して意見交換・議論を行った。また、2002年5月の三極専門家会合で作成された案に基づいたプロジェクト新規枠組みについて検討し、当該枠組みを採択した。各プロジェクトごとの専門家による意見交換・議論は、サーチ・審査結果の相互利用、先端技術分野の特許実務に関する比較研究、三極ネットワーク、データ交換等の分野で行われ、5.(3)に述べるような成果があった。
会合期間のうち4日目には、第20回会合であることを記念し、三極特許庁協力20年記念シンポジウムが行われた。シンポジウムでは、三極会合創設時の三長官より当時のビジョンを(日本からは若杉元長官)、現在の三極特許庁代表よりWL克服についての展望を(日本からは小野特許技監)、三極それぞれのユーザ代表より特許に求めるものを(日本からは江崎知的財産協会理事長)、それぞれテーマとしたプレゼンが行われた。さらに、上記三極特許庁代表及びユーザ代表によるパネルディスカッションが行われた。
三極が共通に抱えるWL問題につき、各庁の状況につき報告を行うと同時に、WL問題克服に向けての各庁の将来戦略について情報交換を行った。
2002年5月の専門家会合で作成された案に基づき、旧プロジェクトを整理・統合した新規のプロジェクトレイアウトを採択した。今後はこのプロジェクトレイアウトに基づき作業を進める。
a)サーチ・審査結果の相互利用
2002年6月の日米長官合意に基づき、サーチ結果の相互利用に関するプロジェクトの内容について調整が進められた。日欧間においても、サーチ結果の相互利用に関するプロジェクトにつき両庁間で検討を開始することとした。そして、これらバイの経験及び結果を三極特許庁で共有することが合意された。
b)先端技術分野の特許実務に関する比較研究
b-1)タンパク質立体構造関連発明に関する比較研究報告
三極特許庁は、タンパク質立体構造関連発明についての比較研究報告書を採択した。本比較研究により、三極特許庁は当該発明において、特許可能な保護対象への該当性、産業上の利用可能性、実施可能要件、サポート要件、明瞭性、新規性、進歩性につき、一部事例を除き全体としてほぼ同様の見解を有することを確認した。本報告書は、三極ウェブサイトで公表するとともに、ユーザー・コミュニティへの情報提供の観点から各庁がウェブサイト以外でも公表することが合意された。
比較研究報告内容はこちら:
b-2)スニップス及びハプロタイプに関する比較研究
三極特許庁は、スニップス(SNPs)及びハプロタイプ(Haplotype)に関する比較研究を2003年1月に開始し、2003年6月の三極専門家会合での報告を目指すことで合意した。
c)PCTガイドライン改訂
PCTにおける拡張国際調査の導入等に伴い、2004年1月までにPCTガイドラインの改訂が必要とされている。三極特許庁は2003年2月に開始されるPCT/MIA会合(国際調査機関・国際予備審査機関会合)でのPCTガイドライン改訂の議論に向けて、改訂ガイドライン案の共同提案を検討することとなった。
d)三極ネットワーク
三極ネットワークに対して、韓国特許庁(KIPO)及びカナダ特許庁(CIPO)がそれぞれ接続することを合意した。
e)データ交換
三極特許庁は、DNA配列に関する出願に対して、三極特許庁のWL軽減のためにサーチ結果交換を実施することを合意した。第1段階として、まず試行的に交換を行い、2003年11月の長官会合までに評価を行うこととした。
f)ドキュメンテーションに関する新たな展開
日米特許庁は、欧州特許庁が進めている新規な検索エンジンの開発に関するプロジェクトについて、情報交換することに合意した。
[更新日 2003年2月18日]
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