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第5回商標三極会合概要について

米国特許商標庁(USPTO:United States Patent and Trademark Office)、欧州共同体商標意匠庁(OHIM: Office for Harmonization in the Internal Market(Trade Marks and Designs))及び日本国特許庁(JPO:Japan Patent Office)による第5回商標三極会合(The Fifth Trademark Trilateral Cooperation Meeting)が、2006年12月11日~13日に、スペイン・アリカンテで開催されました。
商標三極会合は、USPTO 、OHIM及び JPOの三庁が、商標制度・運用に関する幅広い政策的・実務的な課題について意見交換・情報交換を行うことを目的として、2001年5月から行われています。
今回の会合では、デボアOHIM長官がホストを務め、USPTOからベレスフォード商標担当局長、JPOから関審査業務部長他が出席し、三極での共同声明も作成されました。
主な議論内容及び共同声明の概要は以下のとおりです。

1.商品役務表示分類便覧プロジェクト

三極商品役務表示分類便覧プロジェクト(商標出願の際に三極が相互に受け入れられる商品・役務表示リストを作成するプロジェクト)をさらに進めることに合意しました。今後、各庁が個別に選択した新たな商品・役務表示約1000の例示を毎年加えていくこととなります。また、三極以外の第三国の当該プロジェクトへの参加について議論が行われ、第三国が三極リストで受け入れ可能な商品・役務表示を明らかにし、第三国が提案する新たな商品・役務表示を検討することにも合意しました。今後、その具体的な進め方について三極で検討することとなっています。

2.中国との協力

中国における商標出願は中国商標局の審査能力を大幅に超えており、審査・審判の処理期間が大幅に伸びることが予想されます。今回の会合により、三極間でこのような懸念が共有されました。三極の審査・審判等の運用に関する情報は、中国の業務処理能力の増強や効率化等に貢献できると考えられることから、まず、このような事項について中国に対して情報提供を行うことに合意しました。
また、三極会合が行っているプロジェクトや活動のうち、中国にとって有用であると考えられる情報は中国に提供するとともに、より効果的な対中国協力を可能とすることができるよう三極それぞれが行っている二国間協力の内容を互いに通知し合うことに合意しました。 

3.マドリッド協定議定書

各庁において、マドリッド協定議定書(以下「議定書」という。)を利用した国際出願が増加していることは歓迎されましたが、基礎要件(※)が母国語以外の言語を使う国への出願の制約になっていること、また、国際出願で指定される商品・役務の表示の解釈がどこの国でも同じでないことから、多くの国際出願が拒絶理由通知の対象となっているといった問題点も指摘されました。
商品・役務表示の問題を解消する観点で、三極における商品役務表示分類便覧プロジェクトの重要性が確認されるとともに、三極において、議定書への参加国拡大を図る方策、国際出願の基礎要件の弾力化についても検討することとなりました。
※:議定書においては、国際出願を行う商標が、出願人の母国で登録されているか又は出願されていることが要件となります。したがって、例えば日本の企業が韓国に韓国語表記の商標を国際出願する場合、当該商標自体が日本国内で登録又は出願されていなければ日本からの国際出願はできないこととなります。

4.新たな国際出願の方策について

USPTOの提案により、三極のいずれかの庁になされた商標出願を三極全ての庁へ出願したものとして扱うアプローチついても検討することとなりました。

5.情報技術についての意見交換

各庁のシステム構成、インターネットを利用した出願人へのサービス提供(電子出願、検索など)について情報交換を行いました。今後も、システム構成、図形商標の認識技術、商標情報標準規格(ST66)などについて、三極メンバーそれぞれの取り組みについて情報交換を行うことが合意されました。

6.次回会合について

来年秋頃を目処に、日本で開催されることとなりました。

※【共同声明】(ポイントのみ)

日本国特許庁、米国特許商標庁及び欧州商標意匠庁(OHIM)は、2006年12月11日から13日まで、アリカンテにて第5回商標三極会合を開催した。
情報技術協力の分野において、三庁は多くの特定プロジェクトに関する情報交換を継続する旨合意した。これらは、商標関連データ交換のためのST66規格、オープンソースソフトウェアを含むソフトウェア解決手法、イメージ検索ソフトウェアの開発、ウェブ上でのビジネスサービスリストの作成、電子通知や電子出願を含む電子ビジネスサービス、一元的又は二元的データベース構造の使用、並びに分類と登録の連携を含むものである。
三庁は、他国の知的財産庁に対して、最近の三極商品役務表示分類プロジェクトを公開することに合意した。第三国庁の当該プロジェクトへ参加は三極のメンバーと同じ条件ではないが、当該プロジェクトに関する協力は歓迎する。そのための条件と技術的要件は、今後定めることとする。
三庁は、中国商標局の継続的な関与と協力の重要性を認識した。三庁は、(審査等の)運用課題に関し中国商標局との情報交換を行うべく、多分、次回三極会合のマージンで会合を予定することとなるだろう。
この観点で、三極の活動及びプロジェクトで中国商標局にとって興味のあると考えられるものについて情報を提供することに同意する。更に、三庁は、中国との二国間協力活動について、現実的な範囲で相互に情報交換を行うことに合意した。
JPOが開発、強化した三極ウェブを、年間を通じて三庁間の情報交換の促進に利用することを決定した。
三庁は、マドリッド協定議定書の現状と将来について情報交換した。三極の商品・役務表示リストがユーザにとっての分類に関する不確実性を減じ、結果として拒絶を減らすことができることを期待する。
三庁は、マドリッド協定議定書の参加国を拡大する必要性を認識し、そのための方法を探求する。また、この観点で基礎要件の緩和が望ましいかについても検討する。

共同声明の原文はこちら。(PDF:19KB)

[更新日 2006年12月21日]

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