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2008年12月10日~12日に、米国特許商標庁(USPTO)、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)及び日本国特許庁(JPO)の三庁による商標三極会合を米国・アレキサンドリアにて開催しました。2001年から2007年までほぼ毎年開催しており、今回で7回目です。
今次会合には、前回会合(東京)に続き、中国商標局(CTMO)がオブザーバーとして参加しました。1日目は日米欧の三極のみの会合として、三極会合と他の知財庁との関係や、商品役務表示便覧プロジェクト、共通統計データの情報交換の方法等の政策事項について議論しました。2日目及び3日目には中国も交えて、審査の質の向上、IT化の進展、審査・審判の業務の効率化等について情報交換・議論を行いました。
主な議論内容については以下のとおりです。
三極間での協力をさらに他国にも拡大し、国際調和を促進することが重要との観点から拡大の方法を議論しました。まず、前回会合でJPOより三極による中国への協力事項として提案していた、商標に関するシンポジウムを中国で開催することについて、JPOが、具体的な開催案を提示したところ、三極が協力して開催することが確認されました。
また、三極と他の知財庁、国際機関との間でのさらなる協力の可能性を検討するため、三極は、具体的な協力事項のリストを作成し、それをもとに2009年3月にベルギー・ブラッセルで行われる商標ハイレベルフォーラムの際に三極で議論することとなりました。
なお、三極間の連携を一層深めていくために、今後、国際会議等において三極が参加したときは、常に三極が会合を持ち、更に密接に交流することに合意するとともに、共同声明を採択しました。
三極では海外で商標権を取得する出願人の手続負担の軽減等に資することを目的として、商標出願の際に三極が相互に受け入れられる商品・役務表示のリストを作成し、将来的にはこれを国際標準化することを目指して、このプロジェクトを実施しています。今次会合では三極以外の第4庁の当該プロジェクトへの参加について、条件等を定めることに合意しました。
なお、本リストへ新たに追加するための提案件数を月90件から150件に引き上げることとしました。また、商品・役務の分類や本プロジェクトに関する議論に世界知的所有権機関(WIPO)を招くことに合意しました。
三極間で交換された各庁の処理に関する統計データについては、今後、ブラッセルでの商標ハイレベルフォーラムの機会に会合を行い、どういう指標を交換するか、外部公表の可能性も含めたデータの活用方法、情報交換の共通のプラットフォームとして三極ウェブを活用すること等を検討することとなりました。
各庁の意匠制度、意匠部門についての情報交換を実施しました。米国からは、意匠の重要性から、ここ数年間で意匠部門を急速に拡大しつつある(意匠審査官60名から100名強に増員)ことなど説明があり、またOHIMからは、商標三極同様、意匠も三極会合の定期的な開催を行いたい旨説明がありました。これを受け、商標三極会合と並行して行われた意匠担当者レベルの会合において、三極の意匠専門家が情報交換、意見交換することは各庁及びそのユーザーにとって利益となりうることを確認しました。今後、三極による意匠会合の開催方法について、意匠の担当者間で意見交換を行い、2009年3月までに結論を得ることとなりました。
CTMOを含めた各庁より、(i)過去1年間の進展(ii)IT関連の進展(iii)審査の質(iv)商標業務の改善(v)審判業務の効率化に関する報告と意見交換が行われました。
USPTO及びOHIMは、ITの活用促進や詳細な業務分析を通じて、さらなる審査の品質向上(品質管理に注力)、業務の改善、顧客サービスの向上を追求していることを説明しました。
JPOからは、最適化計画の進捗、JPOビジョンの策定、業務改善活動、ITによる業務の効率化、図形商標検索の精度向上のためのイメージ検索技術の検討、審査業務の見直し、顧客サービス改善、ビデオによる普及啓蒙、e-learningの活用、新商標の検討の動向などについて報告を行いました。
CTMOは、審査処理促進のため、最近、新たに300人の審査官補、100人の審判官補を採用し滞貨を解消するための処理能力を高めている旨の報告を行いました。また、中国商標法の改正に関して、2007年9月に公表した時点での改正案に盛り込んでいた相対的拒絶理由の審査廃止については、他国からの意見を踏まえ、再検討の結果、廃止しない方向で考えている旨の説明がありました。
次回会合は、OHIMがホストとなり、スペイン(アリカンテ)で開催し、これにはCTMOをオブザーバーとして招待することが合意されました。
三極は、中国商標局(CTMO)が今後もオブザーバー参加することを期待する。
[更新日 2009年2月4日]