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第9回商標三極会合について

第9回商標三極会合について

<商標三極会合にて 左より橋本審査業務部長、USPTOベレスフォード商標担当コミッショナー、OHIMカンピーノ長官>

2010年12月7日から9日、日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)及び欧州共同体商標意匠庁(OHIM)(以下、「三極」という。)による商標三極会合がJPOで開催されました。

商標三極会合は、率直な意見交換や情報交換を行い、商標の制度や運用の改善につなげることを目的として、2001年5月から、ほぼ毎年1回開催されており、今回で第9回を数えます。

今回の会合では、橋本JPO審査業務部長が議長を務め、USPTOからはベレスフォード商標担当コミッショナー他5名が、OHIMからはカンピーノ長官他6名が出席し、協力プロジェクト、商標分類の共通化、IT、他の知財庁との関係等について精力的に議論を行いました。

また、初めて日米欧のユーザー団体を招請し三極とユーザーとの会合を開催しました。さらに、前回会合の合意に基づき、世界知的所有権機関(WIPO)(ルビオ上級部長顧問他2名が出席)に加えて、韓国特許庁(KIPO)(パク商標審査政策課長他5名が出席)が初めてオブザーバーとして一部のセッションに参加しました。なお、中国国家工商行政管理総局(SAIC)もこれまでに引き続きオブザーバーとして招聘していましたが、直前にキャンセルとなり、三極から遺憾の意が表明されました。

この商標セッションと並行して、今回で第3回目となる意匠セッションを開催し、意匠に関する事項についても議論を行いました。

主な議論の内容及び共同声明の概要は、以下のとおりです。

1. 商標セッション

(1)協力プロジェクト

OHIMが主導するTMビュー(共通の検索エンジンにより、各庁の商標データベースにアクセスし、情報を提供する検索ツール。)にJPO、USPTOが参加可能かどうか技術的な検討をするワーキンググループの設置を合意しました。また、三極とSAICの主催により中国において開催しているセミナーを引き続き開催することで合意しました。

(2)各庁の進展

KIPOを含めた各庁より、(ⅰ)過去1年間の進展、(ⅱ)審査処理と生産性、(ⅲ)審査の質の管理、(ⅳ)今後の商標制度の動き等に関する報告と意見交換が行われました。

(3)商標分類

三極で受け入れ可能な商品・サービスの三庁IDリストについて、その利用促進を図ること及び第三国の参加の拡大について引き続き検討していくことで合意しました。また、この三庁IDリストプロジェクトと欧州各庁間における調和プロジェクトとの互換性について調整していくことで合意しました。

(4)ユーザーセッション

日本知的財産協会、日本商標協会、日本弁理士会、FICPI(産業財産権代理人国際連盟)、ビジネスヨーロッパ及びINTA(国際商標協会)が参加し、三極と意見交換を行いました。次回会合においては、ユーザー会合の時間を十分に確保し、引き続き開催することで合意しました。

(5)共通統計指標

三極会合開催時における最新の統計及び暦年の統計を交換することで合意しました。統計項目については、更に精査していくことで合意しました。

(6)IT

三極で共通な、案件の状態を表示するための共通ステータスディスクリプタについて、引き続き検討していくことで合意しました。

(7)他の知財庁との関係

次回会合に、オブザーバーとしてSAIC、KIPO及びWIPOを招請することで合意しました。三極の構成及びガバナンスについて、引き続き議論していくことで合意しました。

2. 意匠セッション

今次会合の意匠セッションには、新たにWIPOがオブザーバーとして参加しました。1日目は、各庁から各庁の意匠制度の近況について報告を行いました。2日目は、前回会合の合意に基づき、三極間で交換すべき統計項目及び、その定義に関する検討を行いました。

また、次回会合における議題として、(ⅰ)優先権主張を伴う意匠の同一性判断、(ⅱ)品質監理の手法、(ⅲ)意匠図面に関する要件について検討を開始することで合意しました。

3. 次回会合

次回会合は、USPTOが主催し、米国で開催することで合意しました。また、来年5月に開催されるINTA年次総会時に、フォローアップ会合を開催することも合意されました。

【共同声明】(ポイントのみ)

商標

(1)協力プロジェクト

USPTO、OHIM及びJPO(以下、「パートナー」という。)は、協力プロジェクトの共通関心事項について、引き続き議論することに合意した。

パートナーは、三極パートナーの商標出願及び登録のデータが、TMビューにおいてサーチ可能かどうか判断するために、技術的要件を分析するワーキンググループを設置することに合意した。

パートナーは、パートナーとSAICにより開催されたセミナーをフォローアップすることに合意した。

(2)商標分類

パートナーは、パートナーの負担を考慮しつつ、三庁IDプロジェクトへの他国の参加の更なる拡大について検討することを合意した。

(3)ユーザーセッション

パートナーは、ユーザーセッションが有意義であることを確認した。

パートナーは、来年の三極会合においてもユーザーセッションを開催することに合意した。

(4)共通統計指標

パートナーは、最新の統計を引き続き共有することに合意した。パートナーは、先の暦年の統計及び会合の前直近の四半期月を最終月とする1年の統計を提供する。

パートナーは、共通統計指標のいくつかのデータ要素の定義を精査することに合意した。

(5)IT

パートナーは、商標出願と登録の共通ステータスディスクリプタに関して、引き続き議論することに合意した。

(6)他庁との関係

パートナーは、オブザーバーとして次回会合にSAIC、WIPO及びKIPOを招待することに合意した。

パートナーは、三極の構成及びガバナンスについて引き続き議論することに合意した。

(7)エンフォースメント分野における各庁の取り組み

パートナーは、エンフォースメント分野におけるそれぞれの活動について情報を共有した。パートナーは、引き続きこの分野における情報を交換することに合意した。

意匠

(1)情報交換のための共通統計項目

  • ⅰ)パートナーは、一連の統計項目を定義とともに設定し、年に二回当該データを交換することに合意した。
  • ⅱ)パートナーは、交換した統計情報の利用について、特段の定めがない限り、利用は制限されず、また、一般への公開も可能とすることを確認した。

(2)三極間における今後の検討事項について

パートナーは、三極の枠組における意匠セッションの有用性を確認し、三極間における協力関係を更に発展させることに合意した。今後の検討事項として、OHIMから以下の三項目について提案がなされ、パートナーは、これらを次回会合の議題に含めることに合意した。

  • -優先権主張を伴う意匠の同一性判断
  • -品質監理の手法
  • -意匠図面に関する要件

共同声明の原文はこちら。(PDF:90KB)

[更新日 2010年12月27日]

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